探偵が実際にどんな調査をしているのか、皆さん気になりませんか?もっとも多いのは「不倫調査」という話を聞くこともありますが、中には珍しい依頼もあるとか。メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、今回の記事で、実際にあった変わった調査依頼について詳しく語っています。
最近の調査 横浜のキャバ嬢
前はコーナーでやってましたが、最近紹介してなかった「実際にあった調査」をお伝えします。
依頼者は旦那さんで、対象者はキャバクラで働いている奥さん。今回の依頼は、勤務先であるキャバクラでの飲酒をやめさせたいという内容。なんと、キャバクラには車で通っているのだ。つまり、毎回飲酒運転しているということ。
なので具体的な依頼としては、我々探偵がキャバクラに潜入し、奥さんが飲酒しているところを確認、そして車に乗るところを撮影、警察に通報する、というもの。
旦那さんとしては、危ないから飲酒運転をやめて欲しいと何度も頼んだのだが、全く言うことを聞かない。大きな事故を起こす前に一度痛い目を見たほうがいいとの考えだ。
調査決行の日、我々は2人でペアになり、そのキャバクラにお客さんとして入店。奥さんを視界に入れつつ、他のキャバ嬢と会話をする。
10分程経った後、常連と思われる客が来た。話を盗み聞きしていると、その常連は土建屋の社長で、かなり羽振りがいい様子。一緒に来ているのはおそらく社員である2人と取引先であろう態度の1人。
絶対に飲むじゃんという状況。少しすると、奥さんもそのグループにつく。そして、ウイスキーの水割りを「いただきます」と言って飲む。確実に飲酒だ。
その後も、普通に水割りを作っては常連達に渡し、自分も飲む。一連の様子を確認し、我々は店を後にした。
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
ちなみに、こういったキャバクラに入るときは、絶対に職業を聞かれる。その時はなんと答えているか?探偵によって様々だが、僕の場合はいつも「先輩とセキュリティの会社を経営しています。」と言っている。セキュリティ、例えば防犯カメラのことなら探偵なので詳しいし、女性の方はその分野にはあまり興味が無いので深く聞いてこない。そして、深く突っ込まれそうになったら「その部分は先輩に任せているからわからない」と逃げることもできる。
先日、別の案件で部下が「バーテンダーです」とかっこつけたら、「えー!どこのバー!?今度行きたい!」「マティーニってどうやって作るの?」という反をされ、完全に失敗していた(笑)。場所があるものと、深く知らない分野はやめておいたほうがいい(笑)。
我々は店を出て、奥さんの車が監視できる場所で張り込みを行う。数時間後、完全に酔っぱらった状態の奥さんが現れ、車に乗り、発進した。一部始終を撮影する。そして、警察に家に来るように電話。
奥さんが家に着いたところで警察が到着し、質問を投げかける。奥さんは、「家で飲んで、今乗ってただけ」と供述。数十分会話をし、警察は離れていく。
今回の目的は、これによる逮捕ではなく、辞めさせるための作戦。なので、ここで気持ちが変わらなければ、我々が撮った証拠を警察に届ける、という形だ。
しかし、それから数日し、依頼者さんから連絡があった。
「よく考えたら、ここまでしないと危険性がわからない人と、今後一緒に生活していくことは難しいように思う。離婚します」
離婚理由が、飲酒運転…。僕はあまり聞かないケースだが、依頼者さんは、心に決めたようだった。
以上、こんな変わった調査でした!
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com