優秀でも採用してはいけない人、これが残念なことに存在するようです。今回、無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょうおんさんは、人事に携わる人には知っておいてほしい「採用してはいけない人」について語っています。
優秀でも決して採用してはいけない人
人の採用に関わると、どうしても優秀な人、高いスキルを持っている人、素晴らしい実績を挙げている人に目が奪われてしまうんですよ。でもね、それらを採用のセンターピンに置くと、ロクなことにならないというのは、長年採用に携わった人は理解しているはずです。
どんなに優秀でも、決して採用してはいけない人というのがいるんですよ。それが、生きる方向性が狂っている人です。
これは営業系の人に多いんですが、数字を挙げるためには多少の無理は許される、多少のルール違反は見逃してもらえると考える人が、まさに生きる方向性が狂っている人です。そういう人を会社に入れてしまうと、会社自体が社会から追放されることになるのが風の時代です。
しかも優秀ということは、そういう無理とか、ちょっとしたルール違反を隠すテクニックも上手なんですね。だからなかなか不正が見つからないのです。そして人間というのは、最初はおっかなびっくり、ビビりながら不正をするのですが、これがいつまで経ってもバレないとなると、段々と大胆になるんです。というか、感覚がマヒするんですね。
ですから、「この程度ならば~」のレベルが変わってくるんです。最初は、数百円、数千円というレベルの不正だったのが、バレないと分かると数万円、数十万円、1年も経ったら100万円レベルの不正をやるようになるんです。それを優秀な人間がやったら、これは簡単には見つかりませんよ。で、見つかった時には刑事事件にしなきゃならないくらいのスケールになっているってことになるんです。
これはおカネの不正だけの話じゃありません。最近だとセクハラとかパワハラなんてのも同じで、多少のことは目を瞑ろうなんて甘い考えをして、事態を放置していたら自殺者が出たり、裁判沙汰になったりするんです。そもそもマネジメントとして、「多少のことは目を瞑ろう」なんて考えた時点でアウトもアウト、即退場なんですけどね。
でも方向性が狂っている人とは、そんなマネジメントの人も含まれるんですよ。ですから、自分が不正をするという話に止まらないんです。部下の不正や問題行動を見過ごしてしまうということも起こるということですよ。これなんかは、マネジメントの人に哲学がないから、つまり
■ 私が不正をしているわけじゃないんだから、問題ないよね
って考えちゃうということです。自分が手を下さなくても、マネジメントとしてそれを放置していたら同罪なのだということが分からないんですね。そして哲学がない人って、悪いとは分かっていても、強く注意したり、止めさせたりする気概を持っていないんです。つまり前回書いた「揺らがない哲学」って、自分にだけ適用されるものじゃないんです。自分の周りの人、影響下にある人、全員に厳しく適用させる、その気概を持てるかどうか、そこが哲学なんですよ。
つまりマネジメントに哲学がないと、関係する多くの部署でこのような不正が起こるんですね。むしろ下っ端の人が単独犯で悪さをする方がマシだったりするんです。そして優秀な人というのは、マネジメントに抜擢されやすいわけですから、組織としては本当にヤバいことなんですよ。
他人事としてこういう話を聞くと、「そりゃそうだよね」って思う人が大半なんですが、いざ自分がその立場になったら、どれくらい強く自分の哲学に従って生きられるのかって考えてみて欲しいんですよね。そこでグラッとするようなら、まだあなたには哲学が無いってことですから。
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