安売りのスーパーに行列ができるのはよく聞く話ですが、高い食品がどんどん売れるスーパーで「入場整理券」を求めて長蛇の列ができると聞いたら驚く人は多いのかもしれません。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、そんな愛知のローカルスーパー「生鮮館やまひこ」尾張旭店について詳しく紹介しています。
入場整理券の必要なスーパー!高い食品がガンガン売れる理由
愛知県のローカルスーパー「生鮮館やまひこ」。
テレビでも何度か紹介されている、非常に面白いスーパーです。
特に、「尾張旭店」が有名で、このお店独自の惣菜やお弁当、デザートに、毎日行列ができるほどです。
惣菜コーナーだけの入場整理券が発行され、買うためだけに、テーマパークのような行列に並んでいるのです。
行列の先に陳列されているのは、「ほぼ具オニギリ」「ほぼ具福巻き」「ほぼ具キンパ」「ほぼ具茶碗蒸し」「ほぼ具グラタン」「ほぼ具のり弁」「ひたすら丼」「イナライス弁当」「デカ盛りど~ん」などのご飯&おかず系に加え、フルーツスムージー、フルーツサンド、ロールしきれないケーキなどなど。
ローカルチェーンとは思えない種類と数がありますが、これらのほとんどが、昼ごろにはほぼなくなってしまいます。
たとえば、「ほぼ具オニギリ」は、穴子、ベーコン、鮭いくら、海老、牡蠣、筋子、飛騨牛、スパム、明太子、合鴨ロース、サバ、肉巻き、焼豚など。
オニギリを包むように、まわりに具が張りついています。
大きさはソフトボールほどですが、おにぎりには見えず、丸めたおかずのようです。
1つ298円(税抜き)からとやや高めですが、販売開始30分で500個も売れてしまいます。
「ほぼ具のり弁」は、とにかく豪華版。
海老天、和牛ローストビーフ、飛騨牛、明太子、牡蠣などをそれぞれメインにしながら、他のおかずが容器いっぱいに並べられています。
1680円(税抜き)などですが、これもすぐに売れてしまいます。
「ひたすら丼」の中の「痛風丼」は、超特大明太子、生ホタテ貝柱炙り、鮭の筋子、あん肝がのっていて、まさに身体を心配してしまうような、ユニークな商品です。
また、このお店はフルーツスムージーが大人気となっています。
カップに入ったスムージーの上に、串に刺さったフルーツが丸ごとのっていたりして、驚きと笑いを提供してくれます。
スイカのスムージーの上にデラウェア(ぶどう)が1房のっている「デラスイカ」。
桃スムージーの上に丸ごと白桃がのった「だって桃が好きだもも」。
イチゴ1パックすべてを使った「イチゴろう」。
ぶどうのスムージーと粒がたくさんのった「シャインマス男」と「ナガノパー子」。
桃スムージーの上にピオーネがのった「桃ピー」。
柿スムージーの上にピオーネがのった「柿ピー」。
梨スムージーの上にピオーネがのった「梨ピー」。
スムージーは598円からと、これも高めの価格となっています。
しかし、SNS映えすることで、次々に売れています。
このように、他店では見たことのない、たくさんの商品が、お客さまを楽しませているのです。
毎日のように通う人も多くいます。
高くても、つい買ってしまうのです。
見ているだけでも楽しいのですが、買わずにいられない魅力があるのです。
こんな面白い商品を次々に生み出しているのは、驚くことに、たったひとりの女性です。
惣菜部の開発担当、おおたのりこ(太田典子)さん。
生活のすべてを商品開発に捧げ、休日も食べ歩きをして、新商品のヒントを探し続けています。
ここ尾張旭店は、この方がいなくては立ち行かないと言っても良いほど、重要な人物です。
ご自身のインスタを持ち、毎日のように商品を紹介しています。
売り場に並ぶ商品を動画で撮りながら、独特な口調で紹介しています。
おおたさんのファンは、毎日インスタをチェックして、お店に足を運びます。
このインスタの効果が高いので、惣菜やお弁当のチラシは一切出していません。
それほど、おおたさんの力が絶大だということです。
ひとりに頼ってしまうのは、会社組織としてはリスクの大きなやり方ですが、おおたさんに続く人材が、まだ育っていないということでしょうか。
こんなスーパーは、非常に稀有な存在で、食のテーマパークのようでもあります。
お客さまは幸せです。
遠くからでも行く価値はあります。
image by: 生鮮館やまひこ公式HP