MAG2 NEWS MENU

不都合な真実。日本における「幸せになるための“残酷な”条件」とは?

「幸福の条件」というものは、実は常に新しくなっています。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者土井英司さんは、最新の幸福の条件について、経済学の視点から語った衝撃的な一冊を紹介しています。

【最新調査でわかる「幸福の条件」】⇒『残酷すぎる幸せとお金の経済学』

残酷すぎる幸せとお金の経済学

佐藤一磨・著 プレジデント社

こんにちは、土井英司です。

一時期、幸福に関する議論が流行し、Xなどでは、古い理論のまま、幸福を語っている人がちらほら見られます。

本日ご紹介する一冊は、最新のエビデンスに基づき、幸福を論じた、興味深い一冊。

著者は、拓殖大学政経学部教授で、労働経済学、家族の経済学、幸福の経済学を専門とする、佐藤一磨さんです。

本書のなかで著者は、幸福に関する衝撃的なデータを披露しています。

いくつかご紹介しましょう。

これだけでもきつい結果ですが、詳細を読むと、さらに衝撃的なことがいくつかわかってきます。

なお、幸福が年収7.5万ドルで頭打ちになるというカーネマンらの分析結果は、最新の研究によって否定されているらしいので、アップデートできていない方は、ぜひ読んでおきましょう。

最新の調査結果では、「年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける」ようです。これまたシビアな結果ですね。

タイトルには「お金」とありますが、実際には、パートナーシップや兄弟構成、働き方、親子の同居などが幸福に及ぼす影響が広く論じられています。

世間の論調とは異なり、現在の日本で幸福に生きるための真実が見えてくる、貴重な文献だと思います。

(この本、一部の論者にとっては極めて不都合な内容なので、おそらく口コミしてもらえないでしょうね…)

個人的には、とても読み応えのある本だと思いました。おすすめです。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

人生の「幸せのどん底」は48.3歳

日本における幸せな女性の特徴は、「未婚」よりも「既婚」、「共働き」よりも「専業主婦」、そして「子あり」よりも「子なし」である

年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける

経済成長と幸福度は関連がない

経済成長のマイナスの影響は、幼年期からの勉学にさく時間の増大

スターリング大学のクリストファー・ボイス博士らのイギリス全土の民間企業の就業者も含んだデータ分析
・もともと健康状態がいい人ほど管理職に昇進
・管理職に昇進した3年後にメンタルヘルスが悪化

妻が管理職だと夫の幸福度は低い

妻の幸福度は、夫が(1)管理職の正社員、(2)非管理職の正社員、(3)非正社員、(4)非就業の順になっていました

女性活躍推進法の施行によって、男性の仕事満足度は低下

「妻が高学歴」だと世帯年収が低い

女性も若い男性と結婚したほうが夫婦関係満足度が高まり、逆に自分よりも年上の男性と結婚すると、夫婦関係満足度が低くなっていた

年下婚のメリットは10年で消える

夫が長男の場合、妻の幸福度は低下しています。ただし、その影響は大きいとは言えません。むしろ、義両親との同居のマイナスが強く、夫が長男の場合の2・4倍の大きさです

じつは長男ほど学歴が高く、その結果として年収も高くなることがわかっています

妻の幸福度が夫よりも低い場合のみ、離婚確率が上昇する

弟がいる長女の場合ほど、STEM(科学・技術・工学・数学)の分野を専攻する割合が約7.4%低くなっていました

本書を読むと、メディアやインフルエンサーに影響されて人生を決めることのアホらしさを痛感しますね。

あなたを「都合の良い人間」に仕立て上げようとするあらゆる勢力から距離を置き、本当に大切なものは何かを見極める、良いきっかけになる本だと思います。

ぜひ読んでみてください。

image by: Shutterstock.com

土井英司この著者の記事一覧

Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン 』

【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け