楽天の安楽智大投手が起こしたパワハラ事件が事実と判明し、最終的に本人の「自由契約」という形になりました。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』では著者で現役医師の和田秀樹さんは、安楽の行為は「もはやパワハラではなく犯罪だ」とし、そのことを指摘しないテレビメディアを痛烈に批判。さらに。テレビ局と芸能事務所の「体質」についても言及しています。
楽天・安楽のパワハラは度を越している
楽天の安楽とかいうピッチャーがパワハラで訴えられ、球団社長が「ほぼ事実と判明しました」と説明し、このピッチャーは自由契約になったそうだ。
同僚選手に暴力をふるって日ハムから無期限の出場停止処分を受けていた中田を取った巨人に入るのではないかとつい心配してしまう。日テレや読売新聞ではきれいごとをいうが、日本でいちばんモラルのない球団に成り下がった巨人は何をするかわからない。
この安楽とかいうピッチャーのパワハラは度を越している。
逆立ちをさせてパンツをはがしたり、罰金と称して金を巻き上げたりしている。
これはパワハラというより完全に犯罪だろう。
昔、いじめ問題をあつかうテレビ番組に出た際に、出ていた女の子は集団レイプのことをいじめと言っていたが、いじめとかパワハラとかいう名で犯罪が矮小化されるのはまずい。
いつもは正義の味方づらをするコメンテーターたちは誰一人として警察に突き出せと言わない。
強いものが弱いものをいじめるというのが当たり前の社会がテレビ局なのだろう。
ジャニーズ問題だけが大騒ぎされているが、テレビ局の芸能事務所に対する過度な忖度は改まる気配がない。
昔、『発掘! あるある大事典II』という番組で、実験データやアメリカの大学教授のコメントねつ造がバレて、その番組は打ち切られることになり、制作していた関西テレビは民放連から除名される事件があった。
私が聞いた話では、スポンサーから入る6000万円のうち3000万円をピンハネして、日本テレワークという制作会社に3000万円を払っていたのだが、テレワークが罪をかぶることになった。
ところが実はテレワークは、実験データやアメリカの大学教授のコメント(海外ロケをしたことになっている)などのVTR部分は別の下請け会社に発注していた。
ところがこの番組が人気番組になるにつけ、司会の堺正章のギャラが100万円から500万円にあがり、ヒロミなどのほかの出演者もあがったので、VTRに払う金がどんどん減り、海外ロケや実験ができなくなってやらせを始めたという話だ。
結局、芸能プロダクションに頭が上がらないテレビ局の体質が生んだ事件なのに、それは表ざたにならなかった。実際は、1分ごとの視聴率をみるとVTR部分のほうがスタジオ部分より高い。紳助の事件などでMCが変わっても、視聴率は変わらない。
芸能プロダクションのいいなりというのは、ジャニーズだけの問題でないのに、それを誰も言わないのが病理だ。
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話はそれたがテレビの世界では、強いもの勝ちで弱いものはこのように搾取される。
その延長で、プロ野球でも強いもの勝ちで、弱いものは犯罪レベルのパワハラにあう。
この安楽というピッチャーは高校時代からものすごいスターだった。
そして、おそらくは高校時代から下級生や弱い同級生をいじめていたのだろう。それが習い性になっていたはずだ。ところが高校のほうも見て見ぬふりをしていたに違いない。
今は、いくらでもスマホそのほかで証拠を作れる。スターは何をやっても許されるという価値観が古いのだということを、この手のスターのつもりでいる人間たちがわかる日が来るのだろうか?たぶん、安楽も巨人がとって根性は治らないだろうし、巨人がとりそうだから明らかに犯罪でも警察は動かないことだろう。
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image by: Orixbaseballclub, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年12月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。12月分のすべてのメルマガが届きます。