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和田秀樹氏:古市憲寿とかいう社会学者が重宝される異常。松本人志を擁護するテレビの「差別と忖度」を憂慮する

活動休止に追い込まれた松本人志の性加害疑惑について、「古市とかいう社会学者から冤罪という言葉が出てきた。このくらい忖度ができる人間がテレビの世界では重宝されるのだ――」と指摘するのは、精神科医・作家の和田秀樹氏だ。松本問題や地震報道で露呈したテレビの本質と、差別・忖度体質とは?(メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」より)

新年の震度7を“伝えなかった”テレビ各局

今年に入ってから悲惨なニュースが多い。

元旦の夕方4時10分に石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震(令和6年能登半島地震)が発生し、4日(水)20時までに、震度3以上を観測する地震が少なくとも168回、うち最大震度5弱以上の地震が少なくとも14回観測されているとのことだ。東京の人間なら震度5でも、ものすごくびびることだろう。

さて、この地震は久しぶりの大地震と感じさせるものだ。毎日の報道で亡くなる人が増え、また生存者や死者が発見されれば行方不明者が減るはずなのに、それも5日現在ではまだ少しずつ増えている。高齢者が多い地域らしいので気がつかれないひともいるのだろう。

そして、翌日には羽田空港で着陸して滑走中の飛行機が海上保安庁の飛行機と衝突して、海上保安庁の職員が5人死亡、飛行機は全焼と言っていい状態だったが、乗客はけが人はでたものの、全員脱出できたという。ただ、痛ましいのは、この海上保安庁の飛行機は正月返上で能登半島地震の支援に向かうものだったという。

東京の報道は「やってる感」丸出し

さて、不愉快なのは、東京の報道姿勢だ。

確かに1日の地震以降は、高齢者の娯楽を奪うくらい、すべての局がその報道に切り替えた。

しかし、2日になると手のひらを返したように日本テレビは駅伝中継を一日中行うし、他局も、それどころかNHKもほとんどがプログラム通りの正月番組となり、翌3日にいたってはニュースは数時間に1回になってしまう。

これでは、被災状況がどのようになっているのかもわからないし、支援物資を送りたくても何が足りていないのかもわからない。

そして、4日、5日から通常のニュース情報番組が再開されると、今度は被災者に同情するふりをした番組が、ほかのニュースを押しのけて流される。

私が同情するふりといったのは、2日と3日の報道姿勢を見ている限り、自分たちの都合を優先して、能登に人を送ってさえいないと思われる局があるからだ。

高いギャラをもらっている報道番組のキャスターたちもゆっくりと正月休みをとっている。

松本人志に忖度し、古市ナントカに汚染されるテレビ

ただ、それ以上に不愉快なのは、NHKも含めた放送局の横並び報道体質と芸能事務所への忖度である。

よその放送局がやっている間は、ずっと地震で、ほかの番組を見たい人の権利は奪われるのに、よそが正月番組をやり始めると、今度は地震報道が見られない。

同情しているふりをするために横並びで地震報道を行い、よそがやめたら、次は芸能事務所に忖度してくだらない娯楽番組ばかりを流して、地震報道はどの局もほとんどしなくなる。

要するにずっと地震報道を、あるいは飛行機事故の報道をしていたら、芸能事務所はちゃんとギャラをもらっているのに、「うちの忙しいタレントを出してやったのに、ボツとはどういうことだ?」とすごまれるのにビビッて、どんなに被災者が出ていても、ニュースはほとんどやらない。

これだけ芸能事務所を怖がっているから、ジャニーズ問題が起こり、松本人志にはビビッて自分の番組でしか報じない。

こんなことではテレビタレントやテレビのプロデューサーたちによる性被害はなくならないだろうし、弱者に寄り添った報道は期待できないだろう。<中略>

少しずつではあるが知名度があがり、Youtubeの視聴者も増えているのに、(編集部注:著者の和田秀樹氏は)まったくテレビから声がかからない。よほど危険人物と思われているのだろう。

先ほど、テレビ局の芸能事務所に対する忖度の話が出たが、松本人志事件に関しては、早速、古市とかいう社会学者(どんな論文を書いているかは知らないがテレビには出ている)から冤罪という言葉が出てきた。やはりこのくらい忖度ができる人間がテレビの世界では重宝されるのだろう。

古市憲寿は「差別と忖度」の小道具である

この人は、高齢者には85歳なり90歳なり以上は免許を取り上げろという発言をした人でもある。テレビで生き残るためには芸能事務所に忖度し、老人差別をすることが大切なようだ。

実際、高齢者は集団自決しろとかいった成田悠輔とかいう自称経済学者は、テレビで引っ張りだこで、弟までサンジャポの準レギュラーになった。テレビに出る人間は賢い。

杉田水脈のような差別主義者でも、LGBTは集団自決とは言わない。でも、高齢者は集団自決と言ったほうが日本のテレビ局には喜ばれる。

高齢者差別と芸能界への忖度、弱い女性の被害は無視して強い女性の味方をするというのがテレビコメンテーターの3条件とすれば、私がテレビに出られないのはもっともな話だ。

ただ、そんな人間のクズになってまでテレビに出たいと思わないのが本音だ。

指原莉乃さんに説教される男どもの情けなさ

ところが、松本人志の番組で、男たちが全員忖度する中、指原莉乃さんが、

「女性がついていく方が悪いのではないかとネットで出ていることがそもそも一種のセカンドレイプ。そういうのがなくなればいい。裁判するかもしれないのでやったやってないはそこで話をすればいい。8年前のことというニュアンスもよくない。時間がたっても同じように扱うべき。被害者とされる人に常に寄り添ってもらえるようになったらいい」

と発言して物議を醸している。

これはまさに正論だ。

性犯罪というのは時間が経たないと訴えることができないことが多く、イギリスでは時効がないことになっている。ドイツでは30年だ。昔のことで済まされる話でない。

性犯罪のPTSDは一生苦しむ人は珍しくない。とくに日本ではカウンセリングを専門とする精神科の主任教授が一人もいない悲惨な国なので、レイプの時効など廃止すべきだ。

「被害者とされる人に常に寄り添ってもらえるようになったらいい」というのも正論で、日本のフェミニストという人たちの多くは、自分の出世のために女性の地位を上げろということはあっても、性被害者のために立ち上がろうとか、非正規雇用の女性を救おうという人はほとんどいない。

松本人志と木原誠二の靴を舐めるテレビ

忖度とは別かもしれないが、自民政治刷新本部事務総長に木原誠二幹事長代理が就くそうだ。

週刊文春が大喜びにして記事にするのをわかっていて、こんな重職につけるというところが岸田氏のセンスなのかもしれないが、私の予想では相当な弱みを握られていると考えている。ますます、私はそれに確信をもっている。

実際、どのテレビメディアも彼が本部長になっても疑惑についてはまったく触れない。中国のことを批判できない言論統制国家だ。

野党も頼りないことをやめて、政権が変われば「偉い人の身内の犯罪も取り締まる」と言えば少しは票が増えるのに。それとも、野党の幹部まで弱みを握られているのだろうか?

ということで、今年の年頭の誓いのようなものを述べたい。まず、テレビに出るためとか、日大に残るための忖度はしないということだ。

Youtubeをはじめとするメディア(ところがこれもコロナの頃は本当のことをいうと削除されたり、チャンネルごと削除すると脅された)もあるのだから、本当のことを言い続ける。Youtubeより絶対本当のことをいうのがこのメルマガだ。

可能なら、テレビよりは本当のことを言えるラジオの番組をもちたい。これについては準備中だ。実現すると嬉しい。

新しい言論のやり方として小説も考えている。ノンフィクションだと名誉棄損になるので、小説という形で、私の推測を表現したいのだ。

もちろん、映画も撮りたい。私は日本の高齢者は、青春時代に裕次郎であれ、健さんであれ、映画に慣れ親しんできた世代なのだから、高齢者向けの映画は当たると思っている。

テレビコメンテーターが差別する高齢者をもっと元気に

実際、地方の映画館は、ほとんどシネコンになっているが、それはみんなイオンモールのようなショッピングモールに入っている。そして平日にショッピングモールを歩いている人は半分くらいが高齢者だ。この人たちは、モールの書店で私の『80歳の壁』などを買ってくれた人たちだ。

実は、最近、吉永小百合さん主演、山田洋次監督の『こんにちは、母さん』という映画を観た。

高齢者の恋愛を描くとのことだが、松竹側の意向なのか、山田氏の考えなのか、社会派的要素が強すぎて、高齢者の恋愛は、ほんの一部という感じだった。

私としては、まっこうから高齢者が主役で高齢者に楽しんでもらえる映画が作りたい。とにかく、嘘をつかず、忖度をしない人間でいたい(映画の出資者には多少忖度するかもしれないが)。

そして、本当のことを広めていって、高齢者に元気になってもらいたい。テレビの嘘と医者の嘘を信じていたら、高齢者が長生きできる可能性はあるが(これにしてもエビデンスはまったくないが)、ヨボヨボになっていくのは間違いない。

コロナ禍のときに、テレビとテレビ医者を信じた人がどんな風になったかを思い出すといい。

自称フェミニストは「若い女性」の味方に過ぎず

もう一つ、私が考えているのが、女性高齢者を元気にしていくという路線だ。おそらく女性の高齢者はいろいろな意味で、がまんを続けてきた世代といえる。もちろん、若い女性だって、中高年の女性だって、差別やセクハラなど不満はあるだろう。

ただ、それが少しずつましになっている過程なのも確かだ。

女性の高齢者は、男性ホルモンが増えるので、いろいろな意味で元気になるし、恋をするポテンシャルも高い。

ところが、まだ古い価値観に縛られている人は多い。そのせいで、夫が死んでからの10年ほどの孤独に苛まれる人も少なくない。

私は高齢者の味方ではあるが、さらに女性の味方である。日本の女性の味方と称する奴やフェミニストと称する人間は「若い女性」の味方に過ぎない。私は高齢の女性も含め、すべての女性の味方でいたい。

ということで、本年は女性向けの本もたくさん出すので乞うご期待ということで。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2024年1月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。1月分のすべてのメルマガが届きます。

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image by: Tonio Vega, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

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