子どもを支配して自己肯定感を踏みにじる「毒親」。毒親から虐待された子どもはメンタルを壊され、大人になってからも人生に苦しみ続けると言われています。近年よく見るようになったキーワードですが、それよりもずっと昔から、芸能界にも「毒親」は存在していました。安達祐実さん、宮沢りえさん、そして三浦春馬さんそれぞれの苦しみを、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが回顧します。
娘にカネをせびる毒親~安達祐実の場合
『週刊文春』が“毒親”の記事を掲載していました。
“人の不幸は蜜の味”ですから、不謹慎ですがこういった話が好きな人達も世の中にはたくさんいるのでしょう。
今回の主人公は、昨年末に2度目の離婚を発表した安達祐実です。
サブタイトルは“母は何度も娘に「カネをくれ!」”
若い方は御存知ないかもしれませんが、安達祐実がブレイクしたのは1994年4月期の『家なき子』というドラマで、決め台詞は「同情するならカネをくれ!」でした。
まだ黄色の通学帽が似合うような目のクリクリした子供にこんなセリフを言わせたドラマは37%を超える視聴率を稼ぎ出しました。
週刊誌は、記事のタイトルが“匂わせ”でどうしても中身を知りたいと思わせるものや、タイトルが過激であればあるほど購買意欲が伸びるものです。
この“毒親”がテーマの記事を入稿する場合、タイトルを決めたりするときには取材記者と担当編集者の間では“実録ドラマ”ばりの壮絶な言葉のキャッチボールが繰り広げられます。
それはそれは楽しい空間で、滅多に体験できるものではないと言えます。
私もこれまでたくさんの有名芸能人を取材してきましたが、プライベートの話を聞けば聞くほど、取材対象者が打ち解けて話が弾んでくればくるほど聞かされたのが、この“毒親”なる存在でした。
“毒親”なる言葉は昔はありませんでしたが、別に特別な話ではないんだな…と感じたのを憶えています。
記事によると安達は、実母の夫の医療費、2人の子供の養育費と称して実母に金を無心されていたようです。
私が取材した別のケースでは、タレントの頭越しに直接所属事務所に現金を要求するパターンもありました。
「娘(息子)がこんなに活躍しているんだから、少しぐらい資金援助してもいいんじゃない?」と露骨に口に出す親もいたり、子供に内緒で給料の一部をピンハネしている親もいました。
後者の場合、具体的に言えばタレントの手取りが月150万円だとしたら、実際には本人には120万円しか振り込まれないわけで、親に毎月30万円が密かに送金されていたという具合です。
この報酬の流れを親にぶつけると「あの子が今いるのは誰のおかげだと?」という答えが決まって返ってくるわけです。
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娘をヘアヌードにする毒親~宮沢りえの場合
私が最も印象に残っているのは、今は森田剛と幸せな生活を送っている宮沢りえのお母さんです。
通称“りえママ”と呼ばれていた彼女は、娘を一流の女性タレントにするため、ありとあらゆる“手段”を使っていたのは業界では有名な話です。
娘を16歳でふんどし姿にしてカレンダーの撮影をさせたのも、18歳で篠山紀信さんにヘアヌード写真集を撮ってもらったのも、全てはこの“りえママ”のアイデアと言われています。
知人の古株芸能プロダクション関係者によれば、いい意味でも悪い意味でも必死だったと…。
母親の愛情を信じて何も疑いもせず、反論もせず、従ってきた娘はどんな思いだったのでしょうね。
金の無心も、本人の意思が全く無視された人生も、それでも私を産んでくれた親だから…と思わなければいけない子供だとしたら、不幸な星の下に生まれた運命を受け入れなければいけなかった辛さは想像もできません。
足枷が外れた後の彼女たちや彼たちには幸せになって欲しい…と心から願うばかりです。
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彼もまた毒親にもがき苦しんだ~三浦春馬の場合
最近でいえば、2020年7月に天国に召された三浦春馬さんのケースが頭から消えません。
本人が人間関係に敏感だったことは疑う余地はありませんが、亡くなる5~6年前くらいから、金銭問題に心を痛めていたのは間違いないようです。
有名になってもつつましやかに生きていきたい春馬さんと、そういった考え方とは違う近親者…その間でもがき苦しんだ話は取材した私の耳に届いていました。
三浦さんの所属事務所関係者がポロッと漏らした「お母さんとは全く連絡が取れず、困っているんだよねぇ…」という言葉は、今でも時々頭の隅に蘇ってきます。
三浦さんが生前残した権利等について話し合おうにも、実母と連絡が取れず困っている…と。
もちろん親がいなければ子供も産まれないですし、子供に親を選ぶ権利はないと言われています。
そんな境遇の渦中にいても、自分の事は後回しにしてきた宮沢りえと三浦春馬さん。
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絶縁宣言できればどんなに良かったかとさえ思ってしまいます。
それでも私たちに振りまいてくれたあの笑顔だけ、今は心に残したいと思っています。
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プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao