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マインドならぬ“マウントフルネス”な社会を生き抜くためのアホな参考書(褒め言葉)

あなたが気づかないうちに、実はマウントをとられていませんか?無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが今回紹介するのは、さりげなくマウントをとるためのノウハウを集めた一冊。はびこるステルスマウントで評価が上がっていた、なんてことを回避するためにも必読かもしれませんよ。

【この時代にあえてマウント】⇒『人生が整うマウンティング大全』

人生が整うマウンティング大全

マウンティングポリス・著 技術評論社

こんにちは、土井英司です。

みなさんは、かつてホイチョイ・プロダクションが出した『見栄講座』という本をご存知でしょうか?

※参考:『見栄講座─ミーハーのための戦略と展開

脱・マニュアルが叫ばれた時代に、究極のマニュアル本として出され、世を驚愕させた、歴史的ベストセラーです。

「見栄キャリアウーマン」(キャリアウーマンが卒業すべき大学や行動様式が書かれている)や、「見栄スキー」(スキー板を車に取り付ける際の向きなど、カッコつけるためのマニュアル)など、見栄を張るためのくだらないノウハウが書かれており、大爆笑しながら読んだのを覚えています。

本日ご紹介する一冊は、そんな『見栄講座』を彷彿とさせる、現代における究極のマニュアル。

「マウンティング」が忌避される現代に、あえてマウンティングを生き抜くためのノウハウととらえ、その技術を紹介した、とんでもなくアホな一冊です(笑)。

第1章で紹介されているのは、「グローバルマウント」「学歴マウント」「教養マウント」「達観マウント」「虎の威を借るマウント」などのマウントのパターンとレシピ。

それぞれに例文が載っているのが、またアホらしくてたまりません。

第2章では、「武器としてのマウンティング術」を紹介。

「自虐マウンティング」「感謝マウンティング」「困ったマウンティング」
「謙遜マウンティング」「無自覚マウンティング」など、一見マウントに見えないけれど、しっかりマウントを取る高度な技が紹介されています。

これまで、さりげなく紳士的なマウントを取ってきた方も、本書でノウハウが公開されたことにより、今後は戦術変更を余儀なくされるかもしれません。

知らないうちにマウントを取られ、「相手がすごい人に見えていた」という人も、これでトリックを知ることにより、人を見る目が養われるに違いありません。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

ニューヨークマウント
“申し訳ありません、その日はあいにくのニューヨーク出張でして、同窓会に参加することができません”

“ピーター・ルーガー、NYに住んでいた頃によく行きました。ニューヨークで食べる、いつもの味が懐かしいなあ”

“ミュージカル『オペラ座の怪人』の大阪公演に行かれたんですね。私も数年前にブロードウェイ公演にクライアントからご招待いただいたのですが、本当に素晴らしかったです。大阪はどうでしたか?”

仕方なく東大マウント
“もともと音大志望でしたが、親に言われて仕方なく東大を受験することにしたんです”

名門高校出身マウント
“高校では高3の夏までバカばっかやってました。それでも現役で東大に入れたことは、開成の七不思議と言われています”

東大卒否定マウント
“東大卒とこれまでに何度も仕事をしたことがありますが、心の底から頭が良いと思える人はほとんどいなかったですね”

ワイン愛好家マウント
“この生産者さん、とても気さくな方ですよね。シャンパーニュ訪問時には本当にお世話になりました

俗世解脱マウント
“若い頃はブランド品を買いまくっていたけれど、今は家族との幸せな関係性だけで十分。充足感に包まれる日々に感謝”

質素マウント
“上場企業の経営者だった頃は接待漬けで贅沢はやり尽くしたけど、結局、ご飯と味噌汁が一番のご馳走だと思うんだよね”

ゴールドマンマウント
“彼氏がゴールドマン・サックスで働いているんだけど、毎日夜遅くまで働いていて、なかなか会えないんだよね”

「他人と比較するな」論に振り回されるな~人間は何かと比較しないと幸福感を感じられないように設計された生き物~

ピーター・ルーガーのくだりは、同店が高級店であること、予約がなかなか取れないこと、普通の日本人ゲストとVIP客だと通される席が違うことなどが書かれていたら、もっと良かったかもしれませんが、おそらく編集者はそこまでご存じなかったのかもしれませんね。

と、ここまで真面目に書評してきましたが、本当にくだらない本です(笑)。

ただ、それはわれわれ人間が、こういうことで人を評価する、くだらない存在だということ。

本書を読んで、くだらない他者評価をする人に対する防御力を鍛えつつ、同時に自らを戒め、本物になるための自己研鑽を重ねたいものです。

ぜひ、読んでみてください。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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