2016年頃より欧米やアジア各国において一大ブームとなっている、日本で70~80年代に流通した都会的で洗練された音楽「シティ・ポップ」。当時リアルタイムで聞いていた世代は現在40~60代となっているが、彼ら以外の日本人、10~20代の若者世代の間でも“定番化”してきている。松原みきの『真夜中のドア』や竹内まりやの『プラスティック・ラブ』、EPOの『DOWN TOWN』、大貫妙子の『都会』など、今なおそのサウンドが大きな支持を集めているのは周知のとおりだ。
しかしながら日本のポップスは昨今、BTS(防弾少年団)の米ビルボード1位獲得が物語るように、韓国のK-POPに世界的なシェアを奪われているようにも感じられる。はたして日本のシティ・ポップと韓国のK-POPとでは、どちらが世界に受け入れられているのだろうか。そして世界のZ世代の心を奪うのはどちらなのか。
踊らないK-POPアーティストがいない理由
ここでシティ・ポップの定義を明確にしておこう。音楽ライターの都鳥流星氏によるこちらの記事によると、シティポップとは「70~80年代に日本で発表された『海外のカルチャーに憧れを抱き、都会やリゾートでのライフスタイルを求める若者文化を背景にして生まれた和製ポップス』」を指し、「きめ細やかに紡がれたアレンジやミックスのクオリティーが評価され、数年前より海外リスナーたちがアナログ盤を買い求めるために来日し、渋谷・新宿のレコード店をハシゴするという一大ブームを巻き起こすまでに至った」という。
ミュージシャンとして名が上がるのは、上記の松原みき、竹内まりや、大貫妙子のほか、滝沢洋一、山下達郎、角松敏生、吉田美奈子、松下誠らだ。
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一方のK-POPとは、90年代に「コリアンポップス(英: Korean Pop)」と呼ばれた韓国のダンスミュージックの通称で、「ダンスグループ」だけに使われるワードだという(ウィキペディアによる)。ハードな訓練に裏打ちされたダンスやセクシーなパフォーマンスで全世界的な人気を誇り、2012年にはPSYの『江南スタイル』が14カ国のチャートで1位となり、前述のようにBTSは2020年10月、アルバム『Dynamite』がビルボードの世界チャートで1位を獲得している。
1997年に金融危機に見舞われた韓国政府が、経済立て直しのためにK-POPに戦略的な投資を行ったことも広く知られている。
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日本でも東方神起、BIGBANG、Wonder Girls、少女時代、KARA、BLACKPINK等の人気は特に高かった。
若者世代は2つのジャンルをどう見ているのか
ビルボード1位といった派手な勲章はないものの、世界の若者たちが日本に音源を買い求めに集まるなど、着実な人気を誇るシティ・ポップ。片や韓国が国を挙げて売出しにかかったK-POP。あたかも“日韓代理戦争”のようになりつつあるポップス対決だが、「聴く側」の若者たちはどのように受け止めているのか。音楽好きだという20代の大学生に尋ねてみた。
「高校生の頃はK-POPばかり聴いていましたし、ファッションもBTSの影響が大きかったですね。シティ・ポップは50代の父親の影響で聴きだしたんですが、新鮮ですぐに好きになりました。今はどちらも聴いています。そういう友人も多いですよ」
若者にとって国家観の争いなどに興味はなく、好きなものは好き、というのが本音のようだ。
ビジュアル面でも定番化しつつあるシティ・ポップ
リアルタイムでシティ・ポップに触れ、今も変わらず聴き続けているという50代の男性テレビ関係者は、その世界的なブームについて以下のように話す。
「さまざまな理由が語られていますが、まずネットの普及でどこの国のどのような音楽にもアクセスできるようになったことは大前提ですよね。その中からシティ・ポップが注目されたのは、ノスタルジーが大きいのではないかと思います。考えてみれば当時のシティ・ポップは時代の最先端を走るアーティストたちが、自分のセンスに洋楽のいいところを貪欲に取り入れて曲を作っていたわけですから、その本場の若者たちがたとえ元ネタとなった洋楽を知らなくても、どことなく懐かしさを感じることは不思議ではないですよね」
そんなシティ・ポップは、色使いや絵柄といったビジュアル面でも定番化しつつあると指摘するのは、音楽全般に詳しい40代の男性ネットメディア編集者だ。
「ピンクやエメラルドグリーン、グラデーションなどかつての日本で流行したイラストレーション的なデザインがアイコンになっているんです」
そう言って、「シティポップの世界観をイメージした」というボールペンを紹介してくれた。
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その他にも「シティポップ柄」と称したクリアファイル等も発売されており、ネットメディア編集者男性が言う通り“定番化”しつつあるのは間違いないようだ。
韓国でデビューした日本人シティ・ポップ歌手も
そんなネットメディア編集者男性は、シティ・ポップとK-POPの関係性をどう見ているのか。
「若者世代の間では、あまり垣根がないというのが現実ではないでしょうか。実際に2019年には韓国で日本人女性がシティ・ポップ歌手としてデビューを飾っていますし」
その女性とはYUKIKAの名で韓国で活動していた寺本來可さん(31)で、2020年リリースのファーストアルバムは米英などのiTunesのK-POPアルバムチャート1位を獲得している。
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事実、韓国はシティ・ポップ再評価熱も高く、アメリカや日本でも活動するシティ・ポップDJのNight Tempo(ナイト テンポ)も韓国出身。もはや若者にとって日本と韓国は争う対象ではなく、融合しつつあると言っても過言ではない。つまり、良いものは良い、いつの時代に聴いても「良いものだけ」が残るのだ。シティ・ポップもK-POPも。
そんな日本のシティ・ポップが、どのようにして誕生し世界に広まったのかを詳しく知りたい方には、以下の記事のご一読を強くお勧めする。
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滝沢洋一と「マジカル・シティー」が呼んだ世界的シティ・ポップブーム 48年目の真実【第3回 最終回】
がまぐまくNEWSに3月5日から掲載されています。https://t.co/SjXiZJ5AKj
どうぞご覧ください。 pic.twitter.com/xiVEunVlO2— koki ito (@itokoki) March 5, 2024
シティポップな(?)
モチトッキ……??????#NEXZ#トモヤ#セイタ#ソケン#リオ#モチトッキ pic.twitter.com/Qi4qg6QnHI— 侘びすこ???? (@wa_BISCO) March 5, 2024
シティポップなかっこいいプールのイラストです。#シティポップ #イラストhttps://t.co/GmbLhZTmiz pic.twitter.com/cmvOOGZ10v
— AKITO OHTANI (@ohtaniakito) March 4, 2024
『シティ・ポップ 文化論』#日高良祐 編著
講座『シティ・ポップから考えるー都市・音楽・イメージ』の記録をもとに
シティ・ポップの「シティ」はどこか#加藤賢
さまざまなアーティストやリスナーが「シティ」という言葉を触媒に、自分たちの想像力を膨らませていく中で成長してきたジャンル。 pic.twitter.com/6ZcSUe9OWv— 香桃 もこ (@mocopecopoco) March 2, 2024
シティポップブームで泰葉が再評価されるにつれ、昔離婚報道だなんだでクソコテみたいに暴れてたあの泰葉は全くの別人だったのでは?と錯覚する
— モニャ(まさ) (@monyaHK) March 5, 2024
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