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自民・松野前官房長官の「裏金グルメ天国」国民には地獄?食いすぎ飲みすぎ嘘つき国会議員“脱税メシ”の呆れた実態

原則非課税の政治資金から支払った多額の「会合費」のうち、数万円程度の小額を収支報告書に記載する一方、高級店での飲食代など数十万円単位の高額支出は記載せずに「裏金」で処理していた自民・松野博一前官房長官。訂正後の収支報告書は、グルメ好きも思わず唸る“名店リスト”さながらとなっています。この豪快な飲み食いぶりに関して、メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』の著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんは、「事実上、個人が自由に使えるお金だったわけで、本来なら課税対象」と脱税の疑いを指摘。松野氏は毎晩、どこでどんな料理に舌鼓を打ち、いかなる「政治活動」に励んでいたのでしょうか?
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:松野前官房長官の訂正収支報告書が物語る裏金の豪華な使い道

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岸田総理肝入りの「政倫審」はウソつきの始まり

バカな話である。自民党安倍派のパーティー券販売による裏金作りが、誰の指示でいつから始まったのか、いったん取りやめることになったのに誰が再開を主導したのか、いまだにわからない。

どこかの秘密組織でもあるまいし、党のガバナンスが機能していれば、すぐにでも「かくかくしかじか」でございますと発表できるだろう。

岸田首相の目だってまったくの節穴ではない。側近の情報収集力をもってすれば、派閥の裏金作りの実態などとっくに把握済みのはずである。

しょせん同じ穴の狢ゆえ、都合の悪いことはみんなで隠しておこうというだけのこと。だから、ウソをついてもおとがめのない政倫審とやらを開いて、出席者に都合のいい言い訳をさせ、よけいわからなくさせる。

とにかくその儀式さえ通過すれば、野党が“人質”にとっていた新年度予算を衆院可決、年度内成立に持ち込めると岸田首相は踏んだ。

ところが、審問される立場というのは誰しも嫌なもの。政倫審に出たくない、公開はいやだ、あいつが出ないのなら俺もと駄々をこねる面々がいて、一時は開催すら危ぶまれる事態となった。

困り果てた岸田首相は、俺も出るからお前らも出ろといわんばかりに、呼ばれてもいないのに自ら出席することを決定。

そうなると、いくらなんでも総理の顔に泥を塗るわけにはいかず、しぶしぶ政倫審に出席した二階派の武田良太氏、安倍派の塩谷立氏、西村康稔氏、松野博一氏、高木毅氏は案の定、知らぬ・存ぜぬのオンパレードとあいなった。

松野博一前官房長官に5年で1千万円超の裏金

誰もがメンツのために動いただけの茶番劇。空虚感ばかりが漂うなかで、わずかに垣間見えたのは、裏金で贅沢三昧の日々を過ごす政治家の姿である。

前官房長官、松野博一氏の政治資金の使い方について、枝野幸男議員が質問した一幕。

直近5年間で派閥から1千万円を超える裏金のキックバックを受けていた松野氏は資金管理団体「松風会」の収支報告書を今年2月5日付で訂正した。2020年に315万円、2021年に550万円、計865万円の還流分を記載していなかったとして、その分を増やした収入額に変更。支出については、2020年に11万円、21年に293万円、22年に545万円を増額、そのほとんどは会合費だった。会合といってももちろん、ペットボトルの飲料付きのそれではない。

枝野氏「2022年に突然、松風会の会合費が550万円も増えている。どこからどう出していたのか」

松野氏「会合は、ほぼ毎日あり、そのうち私主催の会合は週1、2回だ。会合費が増えた分は派閥の還流分を使っていたと思う」

キックバックされた裏金を会合に使い、その分を新たに記載して訂正したという。では、松野氏は裏金でどのような会合を開いていたのか。

税逃れで食うメシは蜜の味?松野氏の裏金グルメ天国

食欲の秋を満喫したであろう22年9月4日から10月11日までの1か月余の間に利用した店舗名と支払金額を収支報告書から抜き出して並べてみる。

  • 赤坂にのまえ:22万円
  • リストランテサバティーニ青山:38万円
  • ケンゾーエステイトワイナリー六本木ヒルズ店:27万円
  • 中国飯店富麗華:14万円
  • 渡なべ:17万円
  • ホテルオークラ東京:38万円

それぞれ何人で飲み食いしたのか知らないが、いずれ劣らぬ名店ばかりで、代金が高額なのもうなずける。

松野氏らが政治の話し合いをするには、ゴージャスな食事と高級酒が欠かせないようだ。

もとの収支報告書に支出計上された会合費は77万円ほどにすぎなかったが、訂正後は622万円に急増した。

松野氏によると、追加された約545万円分の飲食代はすべて裏金でまかなったことになる。

松野氏はキックバックで受け取った現金を衆院議員会館内の事務所で、他の資金とは別に保管していたという。会合によって、その裏金を使うかどうかを判断していたようだ。

たとえば、22年4月8日には4件もの会合を開いているが、そのうちホテルオークラへの6万3120円支出は当初から記載されていたのに、同じ日の▼ニューオータニ14万5320円▼同2万5620円▼東京會舘22万6512円については不記載、つまり裏金が使われていた。

松野氏個人が自由に使える金=本来なら課税対象

同じ日付で、記載、不記載が分かれることについて枝野氏はこう疑問を呈した。

家族で利用したとか、政治資金かどうか怪しいものを裏金で支払ったと疑われても仕方がないのではないか」

松野氏は「清和会から還付されたものの帰属先は政治団体であることは捜査でも認識をされており、政治資金としての活動目的に適合したものと考えている」と反論する。

検察が裏金の帰属先を政治団体「松風会」と認識したから、そこで使うカネは政治資金だというのだが、むろんこれでは答えになっていない。

「松風会」の2021年末繰越残高は、55万円から890万円に訂正された。この差額835万円がキックバックによる裏金であり、松野氏は21年末の時点でそっくりその金額が事務所の金庫に保管されていたことを認めている。

松野氏は検察の指摘に従い松風会の収入として訂正記載し、裏金を使った店の領収書をかき集めて事後的に政治資金としての体裁を整えた

政治資金なら所得税はかからないが、事実上、個人が自由に使えるお金だったわけで、本来なら課税対象とされるべきである。

訂正された松野氏の収支報告書から浮かび上がったのは、安倍派が作り続けてきた裏金の使途のごく一端にすぎない。

同じ安倍派幹部、萩生田光一氏などは収支報告書を訂正したものの、収入・支出・繰越額ともに不明としているから、松野氏のように会合費や会食費を追加するといったこともなく、いぜんとして裏金の使途は不明のままだ。

重税にあえぐ国民は、政治家の脱税メシを許さない

物価高騰のなか、確定申告の時期を迎えた一般市民は、1円たりともごまかしのない書類を要求され、税負担を耐え忍ばねばならない。

一方、その税のおかげで、年2000万円をこえる歳費と賞与、1200万円の調査研究広報滞在費を受け取り、都内一等地にある議員宿舎に格安家賃で住み、JRグリーン車、私鉄、バスも乗り放題という恩恵に浴している国会議員たちは、そのうえにパーティー券販売で裏金をつくり、政治活動と称して遊興にふけっている。

検察や国税が動き出してヤバくなれば、怪しげな裏の支出でも、領収書が見つかりましたと言って、収支報告書を訂正し、すべて政治活動に使ったので納税の義務はないとしらばっくれているのだ。

税と社会保障費を足した国民負担率は46.8%にも達している。重税感にあえぐ国民をよそに、税逃れの裏金議員がのうのうと暮らしているのは、健全な民主主義社会の姿ではない。

岸田政権は政倫審に国民の関心を引きつけ、その開催実績をもって問題が解決したかのように見せかける算段だろうが、ゆめゆめ騙されてはならない。

4月に国賓待遇で訪米し上下両院合同会議で演説をすることになった岸田首相が、調子に乗って、解散・総選挙に打って出ることもありうるだろう。

われわれ一般市民にできるのは、裏金議員たちをこれ以上のさばらせないための投票行動をとることである。

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