3年にも渡ったコロナ禍で、これまでにない苦戦を強いられた飲食業界。ことに席数の多い大型居酒屋が受けた打撃は大きなもので、閉店を余儀なくされた店舗も少なくありませんでした。そんな中にあって、大箱店を擁しながら見事にV字回復を果たした居酒屋企業を取り上げているのは、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さん。堀部さんはメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で今回、とある地方都市で複数の専門居酒屋を展開する企業が、業績回復のために打った手を詳しく紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです
大箱店V字回復でやった事と次の施策
年商10億円規模のご支援先。人口20万都市ですのでトップシェア群。
好立地の物件はかなり押さえられていらっしゃり、坪家賃は高くとも売上は絶好調。その結果、営業利益もCFもかなり良い感じ。
今日は事業を回復させてきたポイントと、次の狙いを見ていこうと思います。
■お店の概要
人口20万人ですので同じ業態をすると自社カニバリが起きるので、専門居酒屋で展開をされています。
市場規模の大きい海鮮や焼き鳥などは席数も100席くらいの大箱で。
それ以外の業態は市場規模が小さくなるので50席くらいの中箱で。
このような考え方で展開をされています。
■一番苦しかった時
もちろんコロナ禍ですね。100席以上の店は全く埋まらず!本当にここから回復するのか?
これは全員が思われていた不安でした。しかし今やV字回復!実際に下記のような収益性の高さです。
■今の収益モデル
<店前業態1>
売上 :1,400万円
原価 :406万円(29%)
人件費:308万円(22%)
水光 :42万円(3%)
家賃 :70万円(5%)
その他:42万円(3%)
営利 :532万円(38%)
めちゃくちゃ素晴らしいですよね。売上が伸びてもLをコントロールできる形なのと、以前よりも値上げした分、効率が良くなられました。
また地方都市の魅力がやっぱり家賃!確かに地域的には坪家賃は高い。しかし東京に比べたら1/3くらいです。
これもあって、この売上を達成しつつも家賃比率5%に抑えられているのは大きいです。
<店前業態2>
売上 :2,400万円
原価 :720万円(30%)
人件費:480万円(20%)
水光 :72万円(3%)
家賃 :120万円(5%)
その他:48万円(2%)
営利 :920万円(40%)
これぞ居酒屋の醍醐味!ここまで収益性が高いと気持ちが良いですよね。
もちろん商品力は凄く高く、地方都市で事業を伸ばし切る強みです。
■V字回復のためにやった事
ひたすらに宴会強化です。
「えっ、今更宴会?ダメじゃないの?」
このような声もあると思います。ただ元々こちらは売上の60-70%は宴会。
そのため、ソロのお客様や小規模宴会は伸ばしたとしても、売上は絶対に伸びませんでした。
そのため、センターピンは絶対に宴会。
ただ危機感と共にチャンスになった事があります。それは「馴染み店が無くなった」事です。
■もう一度習慣を作る
今までは特に販促する必要もなく、「宴会ならここ」というポジションでした。
しかし。
これが3年も空白になると幹事さんも変われば価値も伝わっていないのでゼロからのスタート。
でもこれは他社さんも一緒。
そのため、徹底して媒体強化です。
- ぐるなび
- 食べログ
- ホットペッパー
- 自社サイト
- グーグル
コテコテですがそれを全て宴会仕様に。
- 予約数=アクセス数×予約率
上記で見たときに予約率は「1%」を基準設定。
- プランの細分化
→食事だけ、通常飲み放題、豪華な飲み放題 - 座席写真の見える化
→最新写真で内装面の魅力訴求 - サービス面の見える化
→駅近や最大収容人数や送迎案内など - ネット予約のフル開放
→全媒体フル開放で予約を取り切る体制
こんな感じです。
めっちゃシンプルですし、コロナ禍前は宴会に強い店はどこもやりましたよね。
ただこれがパコーンとハマりました。
同業他社が宴会訴求が遅れたり、UXが悪いまんまだったり。
宴会を探し始めた幹事様にとって、最も魅力が伝わりやすくなった。
これで宴会売上を伸ばす事ができました。
■今で宴会はどれくらい?
売上構成比率で50%くらいです。だいぶ戻ってきましたね。
今年の3-4月に関してもまだ同業が遅いので、ここは伸ばし切れるチャンスは大きいです。
ここで顧客管理をしっかりリスタートさせ、宴会においてもLTV最大化を狙っていきます──(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年2月26日号より一部抜粋。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、2月分のバックナンバーをお求め下さい)
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
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