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Middle-aged Asian woman in distress

実家の両親が衰えてきて不安。離れて暮らす40代一人っ子独身女性に公認心理師が助言したこと

親が年老いていく様を目の当たりにし心配になる。多くの人がいつか直面することです。一人っ子で、両親と離れて暮らしていれば、悩みや心配はなおさら大きくなるかもしれません。今回のメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』には、両親の衰えを心配する一人っ子の40代独身女性から相談が寄せられました。公認心理師の永藤さんは、相談者が心配しすぎなのではないかと伝え、現時点での両親との適切な関係の作り方についてアドバイスしています。

ちょっと御相談がありまして:一人っ子の憂鬱

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Question

40代前半女性会社員、東京在住、独身です。今は両親とは新幹線で1時間半ほどの距離で、一人暮らしをしています。60代後半と70代前半の両親との仲は、細かいことはいろいろありますが良好ですし、1~2ヶ月に一度は実家に帰って交流しています

ただ、最近両親が立て続けに具合が悪くなったり病院に通うようになったりして、とても心配です。父は腰痛持ちで、母は先日白内障の手術をしました。

もともと私は心配性の気があり、悪いことばかり想像してしまって眠れなくなったりします。年老いた両親を田舎に残して、一人で勝手気ままに東京で生活をしていていいのだろうか、もっと親に寄り添うべきなのではないだろうか、東京の会社を辞めて両親とともに暮らした方がいいのではないだろうか、など、毎日考えて、泣きそうになります。

でも、今の仕事は自分の好きな仕事ですし、支店が実家の近所にあるわけでもないし、基本的には対面での仕事なので、在宅勤務はできません。でも両親にとっては、子どもは私しかいないのです。ときどき心が張り裂けそうになります。

【永藤より愛をこめて】

うーーん、そうですか。ご両親の具合が悪くなった、ということで、さぞご心配だと思います。そしてあなたがご両親からとても大切に育てられ、優しい心の持ち主であることは伝わってきます。

ただ、ご両親の具合についてですが、それはあなたが即同居しなければならないほどではなさそうですね。70代くらいになって、肩も腰も膝も絶好調という人はそもそも少数派だと思いますし、白内障も50代で40~50%、60代で70~80%、70代では80~90%の人が発症すると言われています。

そもそも、ご両親はあなたに帰ってきて、同居してほしいと思っているのでしょうか?それよりも、ちょいちょい帰ってくるあなたが、東京で楽しく生活している様子の話を聴くのが楽しいのではないでしょうか。自分たちのことが自分たちで賄えるにもかかわらず、頼んでもいないのに娘が帰ってきたら。ちょっとそれはご両親にとっても負担になってしまうのではないかしら、と思うのです。

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もちろんご両親からのSOSのサインは見逃さないよう注意が必要です。だいたいの親は、子どもに迷惑をかけてはいけないと思って、大変なのに我慢しちゃったりすることがありますので。

「何かあったら遠慮せずにいつでも連絡してね」。今はそれだけきちんと伝えておいて、現状のペースを保ちながら良好な関係を続けていくのが親孝行なんじゃないかな。

アドラー心理学では、子育てのゴールは子どもの自立であると考えます。あなたはすでに自立した立派な大人。ご両親にとっても誇りでしょう。

自立したあなたが、今度はご両親をサポート(支援)する。すべてやってあげるヘルプやレスキュー(救助)ではなく、あくまでもサポートです。ご両親の意向を聴いたうえで、大人同士お互い心地よく関わりあっていけるとよいのではないでしょうか。

相手の気持ちも確かめずに、勝手に不眠になったり泣きそうになったり心を張り裂けさせたりしなくてもいいと思いますよ。

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image by: Shutterstock.com

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有限会社ヒューマン・ギルド 取締役研修部長 公認心理師(登録番号: 29160号) 。日本アドラー・カウンセラー協会認定シニア・アドラー・カウンセラー。日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメント・ファシリテーター 平成元年 三菱電機株式会社 入社。その後、ビジネス誌編集、語学専門学校専任教師など、20年以上にわたるビジネス経験を経て、自身が働く中で壁に当たった際に出会ったアドラー心理学を修得。 現在、日本におけるアドラー心理学の一大拠点であるヒューマン・ギルドにて、アドラー心理学研修講師(企業・自治体、教育機関、個人等)、カウンセリング、書籍執筆などを担当。

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【著者】 永藤かおる 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第2金曜日・第4金曜日

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