MAG2 NEWS MENU

明治生まれのパン「シベリア」を100年変わらず作り続けるパン屋さんに人が集まる理由

カステラで羊羹を挟み込んだ三角形の菓子パン「シベリア」をご存じですか?今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、明治生まれのシベリアを100年変わらぬ味で提供し続けるパン屋さんを取り上げています。

100年変わらぬ菓子パン、明治生まれの「シベリア」を知っているか?

カステラで羊羹を挟み込んだ「シベリア」をご存知でしょうか。

明治時代後半に誕生し、冷蔵庫の普及していない、大正・昭和初期に、ひんやりとした食感と涼しげな名前で好まれていました。

大正時代には、どこのパン屋さんでも作っていたそうです。

昭和初期には、子どもたちが食べたいお菓子No. 1とも言われていました。

カステラと羊羹なのに、和菓子屋さんではなく、パン屋さんが作っていたのは、パン窯の余熱を利用してカステラを焼き、あんぱん用のあんを流用できたからです。

では、なぜ「シベリア」なのでしょうか。

由来は、「羊羹部分が大雪原を走るシベリア鉄道に見える」や「日露戦争に従軍した菓子職人が考案した」、「シベリアのツンドラを表現した」など、さまざまな説がありますが、真実は謎のままとなっています。

この「シベリア」を製造販売する、最古のお店だと言われるのが、横浜市にある「コテイベーカリー」。

1916年(大正5年)創業。100年超えの老舗パン屋さんです。

レシピは100年変わらず、当時のままの製法で作られています。

この「シベリア」は恐ろしく手間が掛かる商品で、1日に96個作るのに、6時間を要しています。

午前9時の開店に間に合わせるため、店主と奥さんが毎日午前0時に起きて、作業に取り掛かっています。

そんな苦労をするのも、老舗の伝統を守るため。100年の歴史を人に伝えるため。

明治生まれの「シベリア」の脇を固めるのは、昭和の懐かしいパンばかり。

甘食やぶどう食パン、あんぱん、クリームパン、カレーパン、コロッケパンなど。

いまどきのお洒落なパンはありません。

一番の売りである「シベリア」を作ることに時間が掛かるため、他のパンにまで、手がまわらないという裏事情もありますが。

それでも、毎日たくさんのお客さまがやって来ます。

それは、「シベリア」のあるお店として、知られていることと、昭和の安心できる味を提供していることで、お客さまが納得しているからです。

新しい味を求めていないのです。

このお店に来れば、古くても安心できる美味しさを手に入れることができます。

お店は、いまのスタイルを守り続けています。

見ためは庶民的な町のパン屋さんですが、100年以上の歴史を持つ老舗です。

初代から受け継いだ「シベリア」の味を、手を加えることなく、作り続けているのです。

パン業界の宝であり、日本の食文化の財産とも言えます。

一見、どこにでもある小さなパン屋さんです。

地味で垢抜けない見ためかもしれませんが、その中には伝統を守る強い意志があり、古き良き食文化を100年以上も守ってきた老舗なのです。

ずっと残り続けて欲しいものです。

image by: Shutterstock.com

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け