ビジネスの現場に身を置く人間の「常識」と言っても差し支えないPDCAサイクル。このPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のプロセスからなる目標達成のためのフレームワークはまた、個人の夢の実現にも有用のようです。今回のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』では、「5つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」の石川さんが、なりたい自分になるには「なれる自分」を目標にしてPDCAを回し続けることが重要であると力説。さらにその最初の準備として、周囲の人間に「宣誓」すべき理由を説いています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:夢を実現させるPDCAサイクル!
夢を実現させるPDCAサイクル!
理想の生活をしたい!なりたい自分にないたい!
このような夢を叶えるためには、なりたい自分の将来像を見定め、計画を立て、それに向かって実行しなければなりません。
そして夢が、ただの夢物語で終わらせないようにするために、検証し、改善する。つまり、PDCAを回し続けることが重要です。
難易度の高いゴールになればなるほど、安易な道はありません。そこで、「なりたい自分」になるために、「なれる自分」に落とし込む必要があります。
例えば、「総理大臣になりたい」という難易度の高いゴールを設定したとします。大切なのは、そこに至るまでのプロセスです。
どれだけ優秀な人物でも、「いきなり」総理大臣になることはできません。
総理大臣になるためには、衆議院議員になる必要があります。衆議院議員になるためには、政党の候補者として選ばれる必要があります。そのためには、地方議員になるか、議員の秘書になるか、政党支部に勤務するか、公募を待って挑戦するか、方法は様々ですが、いずれにせよ、どれかの道をたどる必要があります。
「総理大臣=なりたい理想の自分」と考えたら、まずは「議員秘書=なれる自分」など、なれる方法を考える。これが「なりたい自分」を「なれる自分」に落とし込むということです。
わかりやすいように総理大臣という極端な例でお話ししました。
しかし、係長がキャリアアップのために「いきなり」取締役になりたい、簿記3級の知識しかないのに「いきなり」公認会計士になりたい、と言っているのと同じです。
居酒屋で同僚と「こんな会社辞めてやる」と愚痴をいいながら、「接待のない外資系の会社に転職してやる」「金持ちになってこの会社を買収してやる」と叫んでいるのも本質的には同じです。
「なりたい自分」をいくら叫んでも現場は変わりません。大きなゴールだけをイメージしても、夢と現実のギャップがあります。
係長が、将来、取締役になって経営陣として会社を回していきたいのなら、まずは係長、そして課長、部長というように、なれる自分を目標にしてPDCAを回す必要があります。
どうやったら「なりたい自分」になれるのか、まずは「なれる自分」に落とし込んでいくことが必要なのです。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
では、「なりたい自分」になるための最初の準備は何からすればいいのでしょうか。それは「選手宣誓」をすることです。
選手宣誓と言って思い出すのが夏の甲子園。
汗だくだけど、爽やかな高校球児。語り口調で個性豊かな宣誓も増えましたが、少し前までは絶叫系。
「宣誓!われわれ選手一同はスポーツマンシップに則り、正々堂々闘うことを誓います!」というフレーズばかりでした。
どちらにしても宣誓した以上は正々堂々と闘う。球場に来ている何万人の前で、そしてテレビの向こう側にいる大勢の前で誓うのですから、その宣誓には効果があります。
あなたをそんな高校生に置き換えてみます。
ゴールをしっかり見定め、実現するための手段について確かなイメージを掴んだあなたは、まるで甲子園大会の開会式に参加しているかの状況です。
でも、このままでは何かが足りません。なんとなく筋が一本通らないというか、ほんとに勉強を続けられるかどうか、自信がないというか、どこか決まりが悪いのです。
そんなときに必要なのが、目標達成するという選手宣誓です。奥さんや子ども、気の置けない友人、職場の同僚、理解のある上司に宣誓します。
例えば、「自分は将来中小企業診断士になりたい。資格を取得して日々お金の問題で悩んでいる中小企業の社長さん達の力になりたい。そのために必死で勉強する」と宣誓します。
ただし、相談をしてはいけません。相談すると反対意見も出てきます。また説得するわけではありません。納得させるのです。
私が税理士の試験の受験をしているときは、社内でも宣誓していたので、講義がある日は残業を頼まれず、試験日近くには有給休暇をとって勉強に専念できるように、職場の皆さんが協力してくれました。
このように宣誓することには、理解を得るという大切な目的があります。そして自分に逃げ道を残さないという重要な役割もあります。
自分の心の中だけでは消えてしまう火も、一緒に守ってくれる人がいれば消えることなくずっと灯り続けることができます。ひとりで努力するのは苦しいけれど、奥さんや子どもが「頑張って!」と言ってくれれば心が安らぐはずです。
あなたも信じてくれた人たちを裏切ることができないでしょう。いい意味で自分にプレッシャーを与え、追い込むことで、本来の力以上に強いパワーが湧いてくるのです。
夢を叶えるためにはゴールを明確にし、「なれる自分」からなっていく。そのために選手宣誓をする。
この視点を手に入れれば夢を叶えたも同然。
ぜひやってみてください。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com