2020年にEV事業を始動させ、翌年の上海モーターショーでスマートEVを発表して以来次々とヒットを飛ばすファーウェイ。そんな中国のIT大手が高級EVの売り出しに「本気」の姿勢を見せ始めたようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、ドイツの超高級車マイバッハの販売価格を2,000万円も下回るという中大型セダンを取り上げた記事を紹介。高級車が売れない中国にあって、ファーウェイ自動車事業部門のトップが自社製品を「自画自賛」する動画の内容を伝えています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ファーウェイ「マイバッハより2,000万円安く快適」セダンBEV
ファーウェイ「マイバッハより2,000万円安く快適」セダンBEV
ファーウェイ「鴻蒙智行(HIMA)」、「界」シリーズ第三弾、北汽集団との享界(STELATO)の初弾となる中大型セダンBEV「S9」の予約受付価格が45万元(約900万円)からに決まった。
中国勢で、この価格帯でセダンBEVを出しているのは蔚来(NIO)のeT7程度であり、主流は30万元(約600万円)。
だからシャオミーカー初弾「SU7」も20~30万元の価格帯に収まったのだが、この強気の価格設定の裏にあるものとは?
北京ショーで発表
「S9」は2024年4月開催の北京モーターショーで発表されたが、その際もそこまで話題にならなかった。
当時のファーウェイが自動車分野ではまだ助走段階だったこともある。
同ショーではシャオミがすべて持って行ってしまい、それ以外でむしろ注目されたのはそれこそNIOのeT7や、長安阿維塔(AVATR)の第二弾セダン「AVATR 12」だった。
高級車が売れない中国
また、現在までにNIOのeT7もそこまで販売を伸ばしておらず、中国消費者の価格に対する敏感度合いは今までの比ではないぐらい高まっている。
一昔前、出せば売れる、という時代は、中国でも終焉した。
華為トップが試乗
そんな劣勢の中で、ファーウェイ自動車事業トップの余承東氏が「S9」の後席に試乗する動画が発表された。
余氏は、社用で顧客を乗車させるメルセデス・マイバッハと比べても、「S9」の後席の乗り心地はより快適だ、と指摘。
「例えば、S9は後席を完全にフラットにすることができるが、マイバッハはできない。レーザーの投射によって、後席でも映画を見ることができ、シャーシも快適で、静音効果にも優れている。音響効果は極めて高く、これらはマイバッハと比べてより柔軟だ」とした。
この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ
マイバッハと比較
中国では150万元(約3,000万円)からというマイバッハSシリーズよりも、それを普段から使いこなしている余氏による発言だったから、なおさら「S9」のすごみが伝わり、話題になった。
全長5.1m、最大航続距離は800km、ファーウェイ最先端のADASである「ADS3.0」を搭載。
車室の快適性や静音、テレビや音響にも抜かりはない、中国勢を代表するフラグシップセダンBEVになる可能性がある。
S9の前後で違い
「界」シリーズ第二弾、奇瑞(Chery)との智界(LUXEED)の初弾もHIMAとして初めてとなる中大型セダンBEVの「S7」で、こちらは24.98-34.98万元。
じわり販売を伸ばしつつあるが、こちらに対して余氏はここまでのリップサービスをしなかったと思われる。それだけ「S9」に力を入れているのだろう。
さらに「S9」の成功が、より高い価格設定となると公言している超高級セダンブランドとなりそうな、「界」シリーズ第四弾、江淮(JAC)との「傲界」に受け継がせていくことを想定していると思われる。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/gz-arZbsjMnt9fuonOy_XA
※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。
この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ
image by: Tada Images / Shutterstock.com