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がん闘病生活中に経済評論家・山崎元が気づいた「お金と人生の本質」とは何か?

お金の使い方、貯め方を見直したいと思ってもどうすればいいかわからない、そんな人に読んでもらいたい一冊を、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』著者・土井英司さんが紹介しています。経済評論家・山崎元さんが、がん闘病中に気づいたお金と人生の本質とは。

【山崎元氏の遺稿】⇒『がんになってわかったお金と人生の本質』

がんになってわかったお金と人生の本質

山崎元・著 朝日新聞出版

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、2022年に食道癌が見つかり、2024年に亡くなった、経済評論家・山崎元さんによるエッセイ集。

著者によるnoteの記事、ダイヤモンド・オンライン「山崎元のマルチスコープ」、楽天証券の投資情報ウェブサイト「トウシル」、NewsPicks、『AERA Money』でのインタビュー記事および未公開音源のほか、未公開の原稿をもとに著作権者と編集部で加筆修正の上、構成したもののようです。

著者が闘病生活から気づいた人生の本質、人生設計の正解、投資の秘訣、お金の使い道を論じたもので、若い世代から高齢者まで、参考になる内容です。

若い世代なら、自己投資と資産運用のバランス、ある程度年を取った人であれば、地位財競争から降りること、身辺整理のすすめなどが参考になると思います。

自身のキャリアや収入などの情報を開示しつつ論じているので、かなりリアリティを持って、著者の主張が理解できると思います。

闘病生活に興味のある方も、読んだら参考になるのではないでしょうか。

本書の最大の読みどころは、第5章の「お金より大事なものにどうやって気づくか」ですが、ここでは、20代、30代の働き方や投資、それ以降の身の処し方について論じられています。

20代、30代にあって「自分の人的資本への投資」になるような使途と、「この時期にしかできない経験」に対する支出は、NISAを解約してでも行う

とのアドバイスは、若い世代に、ぜひ読んで欲しいところです。

著者が読者の質問に答えるため、捻り出したという、<「お金より大事なもの」にどうやって気づくか>の答えは、本書で一番読んで欲しいところです。

ここを読むだけで、本書を読んだ甲斐があったと思う、名回答でした。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

情報は欲しいのだが、情報は、判断するという行為とセットではじめて有益になり得るものであって、判断できない情報や判断に時間が掛かり過ぎる情報は却って邪魔になる

結論から言うと、筆者はがん保険に入っていなかった。しかし、それで何の問題もなかったし、がん保険に入らないという意思決定は、筆者以外の広い範囲の人にとってこれからも正しい

保険一般として、利用の判断基準は、「損か、得か?」ではなく、「損だけれども、必要か?」であるべきだ

宝くじは、別名「無知への税金」とも言われているボッタクリ商品

保険それ自体は、(1)滅多に起こらないことだけれども、(2)起こった場合の損失が破滅的に大きい、リスク・イベントに対して、人が集団で対処する巧妙で賢い仕組みだ。(中略)保険を利用することが経済的意思決定として正当化されうる必要条件は、この(1)と(2)を満たすことだ

地位財は、その効用が相対的に決定し、他人との競争がエスカレートしやすい。その結果、地位財への支出はしばしば、非地位財への支出を圧迫し、生活の幸福度を下げる原因になる。非地位財の典型は「余暇の時間」だ。例えば、競争に巻き込まれて分不相応な不動産を購入してしまって、ローンの返済のためにストレスの多い職場で長時間働かなければいけなくなるような状況では、幸福度が下がる

働き方・稼ぎ方は、10年に一度程度リニューアルしないと古びて効率が落ちてくる

山崎式・終活のセオリー6箇条

(1)なるべく長く働く

(2)住居は縮小し、モノを減らしてシンプルに暮らす

(3)便利な場所に暮らす

(4)介護が必要になったら、施設へ

(5)相続は、本人のアタマがしっかりしているうちに

(6)お墓・お寺と縁を切って、弔いはシンプルに

長期投資でリスクを低減できるとよく言われるが、これは金融論的には誤り

若い頃から収入の一定割合を貯蓄して大きな金融資産を早く作ろうとすることは、お金の有効な使い道を逃しているという意味で人生がもったいない。あるいは、自分が死ぬ直前に生涯最大の金融資産額を持っているような人生は、お金の使い方として無駄が大きい

「怒り」が「損得」を上回った時に、人は、損得を離れて、損得以上に大切なものに目を向けることができます

投資に関する部分は、正直、参考になりませんが(連載当時、参考にした人がいれば、今頃大損しているはずです)、著者ががんになって悟った人生の本質については、本当に勉強になると思います。

なかでも、人は怒りによってお金より大事なことに気づく、という視点は斬新でした。

ぜひ読んでみてください。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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