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「幸せになりたい」と願いながらも犯罪を犯してしまう少年たちの思考回路

累計170万部を突破した、『ケーキの切れない非行少年たち』。その続編が話題を呼んでいます。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』著者・土井英司さんが紹介するその一冊は、幸せになりたいからこそ、犯罪に手を染めてしまう子供たちの心理が語られています。

【幸せを求めて不幸にならないために】⇒『歪んだ幸せを求める人たち』

歪んだ幸せを求める人たち

宮口幸治・著 新潮社

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、累計170万部を突破した、『ケーキの切れない非行少年たち』シリーズの第3弾。

ケーキの切れない非行少年たち

著者は、神戸大学医学部を卒業後、児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務した経験を持ちますが、本シリーズは、その時の経験や聞き取り調査が元になっています。

本書でいう、『歪んだ幸せを求める人たち』とは、<他人を不幸の渦に巻き込んででも自分の幸せを求めすぎてしまう人>のこと。

困難な状況にも関わらず、火事場からペットを助けて欲しいと甥っ子に頼み、甥っ子を死なせてしまった叔母の話、祖母を悲しませたくないからといって殺害しようとした少年の話、窃盗を繰り返して少年院に入り、出所後、お金を貸してくれた恩人にきちんとお金を返そうと思って再び窃盗を働いた少年の話など、驚くような事例がいくつも紹介されています。

みんな幸せになりたいと思っていながら、なぜ不幸につながる行動を取ってしまうのか?

著者は、そこに5つの「歪み」があるからだと説いています。

「怒りの歪み」

「嫉妬の歪み」

「自己愛の歪み」

「所有欲の歪み」

「判断の歪み」

第2章では、それぞれの「歪み」の詳細について書かれており、なぜ非行少年たちが、常軌を逸した行動を取るのか、そのロジックが理解できます。

ここで軽く触れておきましょう。

「怒りの歪み」→他者は分かってくれないと強い怒りを感じる

「嫉妬の歪み」→自分より認められている人に酷く嫉妬する

「自己愛の歪み」→特に才能のない人が、自分には特別な才能があると思う

「所有欲の歪み」→ずば抜けた報酬を得ることに執着する

「判断の歪み」→他者が成功できないよう執拗に妨害する

危ない人から身を守るため、また対人関係の秘訣としても、ぜひ読んでおきたいところです。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

人は「幸せ」になりたいから、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうのです。人は「幸せ」を感じたいから誰かに意地悪なことをしてしまうのです

「みんな幸せになりたい。だけど、そのやり方がよくないのだ」そう考えると、みなさんの周りにいる意地悪をしてくる人たちを多少は理解でき、ほんの少しだけでも寛容な気持ちになれるのではないでしょうか

いまは平穏に暮らしているあなたでも、幸せになりたい思いが強すぎると、その先の判断を歪めてしまうことは十分にありえる

人の根底には“軽んじられたくない”“尊敬されたい”といった気持ちがあります。そこから得られるだろう幸せを強く求め過ぎてしまうと、判断を誤り結果的に「歪んだ幸せ」を求めることになるのです

嫉妬を生むきっかけとなる4つの条件

(詫摩武俊『嫉妬の心理学』)

・自分と同等か、それより劣っているものが優位に立つ

・自分の嫌いなもの、軽蔑しているものが優位に立つ

・自分と同性のものが優位に立つ

・自分より優れたものから優位を誇示される

ブルース・フッドは著書の最後に250以上の研究から結論を出した研究結果を以下のように引用して締めくくっています。「人生において物質主義を追求すべきだと信じ、優先させる態度と、さまざまなタイプの個人の幸福度とのあいだには、一貫して明らかな負の相関がある」

人の情動は、大脳新皮質より下位部位の大脳辺縁系が関与しているとされ、五感を通して入った情報が認知の過程に入る際に「情動」というフィルターを通りますので、情動は判断過程にも様々な影響を及ぼします

不同意わいせつを行った少年たちに聞いてみますと、そういった行為をしたくなった理由に、イジメ被害などでイライラした気持ちをスッとさせたかった、といったものがありました。イジメ被害による怒りで正常な判断が困難になったのです

「いい人をやめよう」は、その言葉を真に受けた人物を不幸にもしてしまう無責任な言葉かけ

相手のストーリーを知ると寛容になれる

すべての根底にある3つのポイント

・みんな幸せになりたい

・みんな自分を見てほしい

・みんな人の役に立ちたい

医療少年院で、歪んだ教育、思考、判断の末路を見てきた著者が書いているだけに、説得力があります。

人間の行動が情動に左右される限り、どんな人間でも、幸せを求めて間違うことはある。

転ばぬ先の杖として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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