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追悼・徳田虎雄。罪はあったが医師会と闘い続けた男の消えない功績

「年中無休・24時間オープンの病院」を掲げ、76病院400施設の医療グループを一代で築き、出身地・徳之島を含む旧奄美群島区選出の衆議院議員も務めた徳田虎雄氏が7月10日に亡くなりました。享年86歳でした。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、98年に雑誌『宝石』で対談した際の徳田氏の言葉を数々紹介。既得権益にこだわり自分たちの儲けだけを考える日本の医師会に真っ向反発し闘ったと評価します。公職選挙法違反など、負の面もあった政治活動も、医師会と結びつき国民を顧みない自民党への憤りから。その意味で、徳田氏の次男が自民党に入党したことに落胆したと伝えています。

徳田虎雄の功罪

徳田虎雄を追悼しようとして、『宝石』の1998年4月号に載った徳田との対談を読み返した。リードには「患者は入院や手術の際に、医者に金品を包む習慣が横行している。平気で数百万円のお金を貰う医者の金銭感覚こそが、製薬会社や医療機器メーカー・医者・役人・政治家の悪しき癒着を生み、患者不在の医療を招いている」とある。

徳洲会病院をつくって「ミカン1個貰ってもクビ」にすることにした徳田は「日本の美徳にケチをつけるとはけしからん」と言われたとか。

次のような話にも驚いたが、現在も変わってはいないのだろう。医師会が自民党から離れる日は多分来ない。徳田は語った。

「そもそも日本の医療機械の価格は海外に比べると法外に高いんです。心臓ペースメーカーはアメリカで30万円のものが、日本では120~150万円。だいたい3倍から、ものによっては5倍もします。それだけ水増しした利益の中から、医者や官僚、政治家がいい目をして、それらの金が全部、機械の価格に上乗せされているんです」

徳田によれば、日本の医療は「薬を多く出しなさい、入院は長くしなさい」で儲かっている。10円で買って20円請求できる薬の場合は、1錠使えば10円、3錠出したら30円、6錠出したら60円儲かる、馬に食わすほど薬を出す」

1998年1月に薬価切り下げで薬剤費が医療費の31%から28.5%に下がったと報道された。徳洲会は「薬は出すな、できるだけ早く退院させろ」と指導しているが、その結果、徳洲会病院が保険請求する薬剤費は全医療の13.8%で他の半分以下だった。

ところで、保険点数の審査会は都道府県の医師会の支配下にあり、医師会幹部とシンパはすべて無審査。反主流派や徳洲会のような医師会批判派は徹底的に保険点数を削られる。徳洲会は月1~2億は削られてきた。

病院新設を認めない自治体に行政訴訟まで起こして闘ってきた徳田は最後にため息まじりに言った。

「この規制緩和が叫ばれている時に、医療界だけが規制強化の方向に向かっている。時代錯誤も甚だしいですよ。他の業界と違って医療界だけが外圧のない業界ですから国民のための医療というよりも医者や官僚のわがままが通るんですねえ」

タイトルが「弱き患者を食う人びとの実態を語ろう」というこの対談には60歳の徳田と53歳の私の写真が載っている。徳田はアクの強い革命児という感じだったが、選挙に立ち、鹿児島県奄美群島区で自民党の保岡興治と死闘を演じた。中選挙区制時代の唯一の1人区で、小選挙区制はカネがかからないというのは嘘だということを実証した。

しかし、息子の毅は自民党に入党する。中内功と同じく、革命児は挫折して結局「寄らば大樹」となるのかと私はがっかりした。但し、医療界の闇を明らかにした功績は消えない。

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