MAG2 NEWS MENU

なぜ、致死性の高い殺虫剤の入手が困難になると自殺の救命率が上がるのか

自殺したいと思ってしまった時に、致死性の高い薬品がすぐ近くにあったら、それを選んでしまうのは当然なのかもしれません。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、有毒性の高い殺虫剤が販売禁止になったことにより、服毒自殺の方法に影響があったかどうかを調べた研究を紹介しています。

殺虫剤の禁止と服毒方法の推移

◎要約:『有毒性の高い殺虫剤の禁止は、服毒の方法を変化させた可能性がある』

今回は、スリランカにおいて、有毒性の高い殺虫剤の禁止が、服毒の方法にどのような影響を与えたのか調べた研究をご紹介します。

スリランカにおける殺虫剤の制限と服毒
Restrictions on Pesticides and Deliberate Self-Poisoning in Sri Lanka

スリランカにおける研究で2002年から2019年における服毒による病院受診者79,780人(平均24歳、50.1%男性)が対象となりました。

スリランカにおいては、パラコート等の有毒性の高い殺虫剤が2008~2011年にかけて禁止されて行き、その後2015年には有害性の低い殺虫剤に関しても制限されました。

結果として、以下の内容が示されました。

・有毒性の高い殺虫剤が禁止された後は、殺虫剤の服毒による病院受診が18%、致死率が67%減少しました。

・同時期に、薬剤や他の化学物質による服毒は増える傾向がありました。

・有毒性の低い殺虫剤の制限は、病院受診や致死率に影響を与えていませんでした。

致死性の高い方法の入手が困難になることで、自死企図が生じてしまった場合でも救命率が高まったことが考えられる内容でした。

image by: Shutterstock.com

もりさわメンタルクリニックこの著者の記事一覧

もりさわメンタルクリニックが発行する精神医学論文に関するマガジンです。最新の論文を主としておりますが、テーマを掘り下げてやや以前の論文を振り返ることもあります。毎日1本の論文を取り上げて要約をお伝えします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 精神医学論文マガジン 』

【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け