居酒屋で事業拡大した企業が、今後10年でこのままの業態でいいのかと悩んでいる──。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんの支援先で大きな議案となっていることを紹介しています。このお悩みへの回答は?
居酒屋で事業拡大した企業が、今後居酒屋で良いか悩んでいる理由
地方都市ながら経営の多角化を行い、年商30億円規模で地域になくてはならないポジションまで成長をされたご支援先。
こちらの主要業態は「居酒屋」です。そして足元の売上は好調。
しかし。
次の10年を考えたときに本当に居酒屋で良いのか。これが戦略面で大きな議案になっています。
この辺りの背景や、実際どうするのか。今日はそこをまとめました。
■居酒屋で展開する合理性
コロナ禍でもう居酒屋はきついのか? このような風潮もありました。
しかし繰り返してきた「絶対に居酒屋は大丈夫ですよ!」という発言。
なぜか? それは圧倒的な市場規模の大きさです。
2023年は2019年と比べると33%減の3.5兆円でした。
確かに大きな減少。しかし大きな市場規模!
特に地方都市になると出店エリアは限られます。もしそこでフレンチをやると出せても1店舗。とんかつ屋を出しても1店舗。
このような立地であっても、居酒屋だったら複数店舗の出店が可能です。
こちらの企業さんも、
・海鮮居酒屋
・豚中心の居酒屋
・蕎麦居酒屋
・大衆居酒屋
・寿司居酒屋
・高単価居酒屋
など、これがカニバリせずにドミナント展開が可能になり成長されています。
■何故利益率が高いのか?
事業拡大もしつつ、利益率も高い。繁盛店だからという前提もありますが、1店舗辺りの利益の大きさは魅力です。
こちらは1店舗辺りで月150万円前後の営業利益を作られるのが基本モデル。
原価率:23~25%
昔ほどアルコールで粗利率は高められないので、飲料部門だと25-27%くらいになります。
つまり、食材部門だと20-23%になる訳です。それでも売上もリピート率も好調!
それは居酒屋が「習慣」のビジネスだからですね。
・取り敢えず毎週金曜日に行く
・取り敢えず毎日飲みにいく
単品専門店ではあり得ない来店動機がある。これは強いですよね。
■繁盛店だからこその強みと弱み
地方多店舗型は属人性が強い。これに尽きます。
上記で「習慣」と書きました。でもその為にやる事があります。
1.料理
・グランドメニューがちゃんと美味しい
・飽きられない為の継続した商品企画
・陳腐化しない為の継続したブラッシュアアップ
この辺りが大切になってくる訳ですが、上述の通り、業態モデルがバラバラ。
そうなると、料理長への業務依存度が高くなる訳です。
これが単一業態なら仕組み化しやすいですが、複数業態なら工数×店舗数になるので、どうしても属人要素は強くなります。
2.接客
居酒屋で差別化になるポイントは今も昔もやっぱり接客。
来店時よりも退店時にお客様が元気になって帰って頂けるか。
省人化を進めたとしても、それをどこまで愚直にやり切れるかは大切。
これができなければ低価格ゾーンの戦いですが、それは中小企業の展開ではイバラの道。ただこれも、採用・教育の難易度は高い話です。
こちらのご支援先では地方都市でこれを何年も積み重ねて来られたので、それが強み・差別化になり繁盛店に。
しかし。
経営者・幹部・店長陣も年齢を重ねます。年齢の新陳代謝はあれども、それを次の10年以上でやり続けるか。
もちろん根性論では当たり前でしょう!ですが、仕組みとして本当にやり続けられるのか。これは考えておく一つになった訳です。
■事業ドメインの見直し
定着率の視点で、「飲食は好きだが夜中心が大変」の層がこちらのご支援先でも増加。
そのため、昼型業態を作ることは決定。また詳細の業態は詰めていませんが、
・大箱のカフェベーカリー業態
・蕎麦を中心としたランチ業態
・馴染み×付加価値型の定食業態
この辺りを考えています。
ただ上述の通り、カニバリは生じるため、出店可否判断もセットで考えることに。
この昼業態だけで年商10億円作るには、平均月商からの逆算で必要店舗数が出せます。
1店舗だけだとやはり効率性も落ちるため、そこは前提にモデルを構築します。
次の10年に向けての展開の中心はこちらに。
■居酒屋の考え方
展開ありきから、ーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年9月9日号より一部抜粋。続きは、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com