昔からとにかく緊張するタイプで、人前で話をするのは苦手なのに接客やイベントを担当する部署になってしまった! そんな読者からのお悩みに答えるのは公認心理師の永藤かおるさん。永藤さんはメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』で、その異動はビッグチャンスだと思うとして、苦手を克服する方法を伝授しています。
緊張しすぎるあなたへ
Question
30代、会社員です。
今までは完全に内勤の仕事だったのですが、10月に部署移動があり、お客様との接客応対のみならず、イベントや説明会なども担当する部署になってしまいました。
私は、とても緊張するタイプで、子どもの頃から人前で話をするのは本当に苦手です。
それなのに、そんな部署に配属されることになってしまい、本当にどうしたらいいのかわかりません。
3年在籍した前の部署の上司に相談したのですが、「あなたはいつも笑顔だし、声もいいし、向いていると思ったからその部署に推薦した」と言われてしまいました。
笑顔でいられたのも、内勤でよく知っている人たちだったからであって、最初のうちは本当に緊張していたのですが、そんなことはすっかり忘れられていました。
声がいいかどうかは自分ではわかりません。
でも、とにかく緊張してしまうのです。
会社自体はずっと希望していた業界だったし、福利厚生なども充実しているし、やめたくはありません。
もう、どうしたらいいのでしょうか?
永藤さんからの回答
あー、これはですね、長い人生でたった数回しか訪れない、めちゃくちゃでっかいチャンスがあなたの目の前に今訪れているんだと思いますよ。
30代で、笑顔が素敵で声がいいと上司に推薦されるほどのあなた。
「緊張するから人前に出るのが苦手だ」というあなた。
でも、もしその苦手が克服できたとしたら?
これから先の仕事人生、可能性が無限大にひろがるのではないでしょうか?
今、世の中で人前で話をする仕事はあまたあります。
かくいうワタクシも、その末席を汚しております。
多い時では100人以上の人前で話すこともある。
でも、最初から人前で話すことが得意だったわけではない!(ドンッ!)
なんなら最初のうちは、これから人前に立つというその寸前におなかがピーピーになることだってあった!
でも、とにかく場数を踏むうちに、いろいろいろいろアガリ克服法を試して、いつの間にか大丈夫になったのです。
アガリ克服法の中で、私が最も効果的だと信じているのが「準備とリハーサル」。
これをきっちりやっておけば、緊張もアガリも半分、いいや8割以上抑えられます。
私が最初に人前に立ったのは、日本語教師として外国の方たちの前だったのですが、その時の師であるS先生の教えとして、「1教えるときには10準備しておきなさい。10教えるときには100準備しておきなさい」というもので。
当時はキツかった。
寝る間も惜しんで準備しても追いつかないくらい、準備準備の日々。
でも、おかげさまで、本番で人前に出て一瞬頭が真っ白になったとしても、視線を落とせばびっちり完璧に仕上げた教案がそこに。
「でも、その準備したものが読めないくらいアワアワしちゃったら?」
そう、そこで重要になるのが、リハーサルです。
別に本番と同じ場所じゃなくても、自宅でもどこでもいい。
不安があるなら同僚の方にチェックしてもらってもいい。
タイムスケジュール通りに準備したものがこなせるかどうか、不安な個所はないか。
リハーサルと準備さえしておけば、多少途中でミスしたとしても、確実に軌道修正ができるのです。
もちろん不安だと思うし、苦手に直面するのは嫌だと思います。
でも、本当に本当に、またとないチャンスだと思って、チャレンジするだけしてみてください。
新しい世界が広がることをお祈りしています。
「やっぱ無理!」となったら、その時に一緒に考えましょ。
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