楽天モバイルが800万回線を突破したことが話題となっています。このままの勢いでユーザーが増えれば当然準備をしなければならないのが、速度の維持ですよね。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、楽天モバイルの今後を予測しています。
楽天モバイルが800万回線を突破—-ネットワーク品質維持に必要な「次の周波数」
楽天モバイルの契約者数が2024年10月18日をもって800万回線を突破したという。サービス本格提供開始から約4年半での達成となる。同社では800~1000万回線が黒字化に向けた目標値と公言していただけに、あとはいかにARPUを上げていくかが課題だろう。
同社のリリースでは楽天モバイルのメイン利用率が上がっていると主張する。実際、NTTドコモのahamoが20GBから30GBに増量。それに対抗するかのように、KDDIもUQモバイルとpovo、ソフトバンクがワイモバイルとLINEMOでデータ容量の増量を発表している。
まさに楽天モバイルの勢いに既存3社も無視できなくなってきたのだろう。
当然、このままの勢いで楽天モバイルはユーザー数をさらに増やしていきそうだ。
あとは今後もどれだけ設備投資を続けられるかが気になるところだ。楽天モバイルとしては当然、設備投資は抑えて、できるだけ黒字化に近づけたいだろう。
しかし、データ消費の多いユーザーが集まってくれば、それだけネットワークはひっ迫する。楽天モバイルとしてはこれからいかに1.7GHz帯の4GからSub6の5Gにデータを流していくかが課題となってきそうだが、先日、KDDIのネットワーク品質説明会では「4G周波数を転用し、5Gの面を広げて、Sub6にスムーズに移行させていく」のが理想と解説されていた。
だが、楽天モバイルの場合、4Gは3MHz幅のプラチナバンドと1.7GHz帯しかなく、転用するというのも難しそうだ。
また、既存3社と比べると、今年、プラチナバンドは獲得できたものの、比較的つながりやすいミッドバンドをほかに全く持っていないというのも弱点となってくる。4社において、ミリ波(400MHz幅)を除くと、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクはグループ含めて440MHz幅以上を持っているのに対して、楽天モバイルは180MHz幅しかない。周波数の幅は、通信速度にダイレクトに効いてくるだけに、総務省は早急に楽天モバイルに「使い勝手の良いバンド」を割り当てる必要があるだろう。
もちろん、そんな都合良いバンドは残っていないのは事実だ。
ただ、今後、ユーザーがさらに増え「速度が遅くなった」と指摘される前に、総務省は楽天モバイルのための新たな周波数の開拓に向けて準備が必要だろうし、楽天モバイルも割り当てに備えて、追加の設備投資を覚悟する必要がありそうだ。
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