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まずはYouTubeのシークレットモードで検索してみる。ネットで政治を動かすことも可能なタイミングで“最適な選択先”を見つける力の養い方

東京都知事選での石丸伸二氏の大躍進や兵庫県知事選における斎藤元彦氏の再選など、今やネットの力で政治までもが動かせる時代。しかしながらSNS上にはさまざまな悪意や信頼に足らない情報が溢れているのもまた事実です。そんな社会を生きていくうえで重要な力の養い方を紹介しているのは、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍している尾原和啓さん。尾原さんは自身のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』で今回、YouTubeで簡単かつ手軽にできる「どの色眼鏡にも引っ張られない訓練法」をレクチャーしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:どうせ色眼鏡を外せないなら、複数の色眼鏡をかけてみよう

どうせ色眼鏡を外せないなら、複数の色眼鏡をかけてみよう

「僕らは色眼鏡で見てしまってる。どうせ色眼鏡で見るなら、いろんな色眼鏡で見てみよう」ということで、先週、兵庫県の斎藤知事の再選が決まった後、ネットメディアに対して、テレビとかマスメディアが、いろんなことを言ってきて。

なんか、「えっ!?」ていう話とか、いろんな反感が起きるよっていうことの予言と、でも皆さん、1週間、できれば1ヶ月、そういったメディアの物言いを嫌いにならないで、ちょっと待ってもらえませんかっていうお願いをさせていただきました。

結論から言うと、テレビとか、いわゆるオールドメディアの進化早え!ですね。常々僕は、今のネット社会の信じられるところは、学習の圧縮経験が早い、凝縮して学ぶ力が強いっていう風に思ってるんですね。

というのは、今回斎藤県知事が再選にあたって、SNSであることないこと、言ったことを信じた人たちが、波になってこういう結果になったんだとか、ないしは、テレビっていうものは、公職選挙法だったり、放送法の制限の中でやってるのに対して、ネットはやり放題だからネットは制限した方がいいとか、いろんな表現があって、斎藤県知事を支持した方含めて、「いやいや、ちょっと待てよ。お前ら、報道も何も動いてないのに俺たちの批判ばっかりしやがって!」みたいなプチ炎上だったりとか、いろんな反発が起きたわけなんですけれども。

今、放送法とかの縛りがない中で、テレビ番組がいろんな議論が出来る中、一番大事なことは、政治っていうものについて語るっていうことが視聴率が取れるエンタメになったっていうこともあって、各テレビ番組、放送作家の方であれ、出るキャストの方であれ、必死でちゃんと今の時代にアジャストするということを学びますから。

そうすると、あの番組でこういう炎上が起こったから、やっぱりこういう言い方がいいんだよねっていう話だったりとか、「今回の問題って、○○の問題と××の問題と△△の問題を混同させますよね。○○と××の2つに関しては分からないんですけど、根源的な△△に関してはこういった議論があって、そこはきちんと検証した方がいいんじゃないですか?」っていう、多面的にものを見ることによって、一方的な決めつけっていうことをなくしていくし。

こんがらがった問題っていうものを、分かりやすく区分けることによって、何が解決済みの問題なのか、何が解決してない問題なのか、さらに言えば、今後追いかけるべき課題は何なのかっていうことが、日に日に、プチ炎上して次の日の別のチャンネルの番組、プチ炎上して次の日の番組、っていう感じにどんどん良くなっていくっていうことを見ていくと、ちゃんとオールドメディアという風に切り捨てがちなメディアの方々も学んでらっしゃるし。

むしろ、「こっちの見る方向を追加したのね。次はこっちの見る方向を追加したのね。さらに言うと、問題の切り分け方って、確かに俺も全然こんがらがってたのを、こういう切り方で分けてくれると整理できるんだ」っていう風に、僕たちはこの1週間、あえてもうマスコミがダメだっていう風にするのではなくて、彼らの学びの仕方を見ることによって、逆に僕らが学ぶことができるっていう1週間だったんじゃないかなと思うわけです。

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複数の色眼鏡で見ることを習慣にする

こういう事に対して、良い表現はないかなって思ったら、ちょうどコテンラジオが、いま深井さんがちょっと睡眠がきちんと取りにくいっていうことで、1ヶ月から2ヶ月お休みされて、ヤンヤンさんと樋口(聖典)さんのお2人で、ヤンヤンさんが中心になられて老荘思想をやってた時に、その話って、前にコルクの佐渡島さんが言っていた、人間というものは、自分の生まれだったり、いろんな心情だったりっていうことから、物事を見るときに、自分の色眼鏡で見るっていうことは、もう逃れられないものなので。

だったら、赤色で見てるとしたら、青色の眼鏡かけてみる、緑色の眼鏡かけてみる、黄色の眼鏡かけてみるみたいな形で、複数の色眼鏡をつけてみることによって、相対的にバランスが取れた見方ができるんじゃないんですかっていうことの表現をされていて。

これは、本当にいい表現だなということで、先ほど言った、「どうせ自分の色眼鏡が外せないんだったら、複数の色眼鏡で見ることを習慣にしようね」っていう話になるわけですし、さらに言えば、最初にお話をした、この色眼鏡っていうものを、テレビというものが、特に政治に対しての議論というものがエンタメになり、テレビの語ったことを、ネットメディアが、「いや、あんなことを言って、実はこうじゃないですか?」っていう批評というエンタメになったために、高速でテレビのメディアが複数の色眼鏡をちゃんとかけていくっていうことをやっていくように番組が変わっていっているので、「あ、この色眼鏡足した。この色眼鏡足した。なるほど、これでバランス取れてきたね」っていう風に学ぶ機会に絶好のものになってるよっていうことを言いたいんですよね。

この「複数の色眼鏡で見て初めてバランスが取れる」っていう感覚が、僕たちにとっては一番大事なことで。そういう意味では、複数のテレビチャンネルの、1つの言論に対する言い方の変化っていうことの中で、僕たちは複数の色眼鏡の見方みたいなことが簡単に学びやすくなった時代でもあるし。

さらに言えば、周りであんまりやってる人がいないんだけど、みんな、YouTubeのアカウントって、5種類ぐらい持ってないんだね。まず、これにちょっとびっくりして。

尾原は、元々色々IDを変えることによって、色んな調査をするっていうのがあるんですけれども、少なくともYouTubeは、自分の嗜好性によって、「あなたこれが好きですよね」っておすすめされるんですけれども、尾原がチェックすると、コテンラジオだったり、ゆる言語学ラジオだったり、岡田斗司夫だったりとかがたくさん出てくるし。

英語と日本語のアカウントを混ぜると、今日は英語を頑張って見続けるんだっていう時に、日本語のYouTubeが出てくるとクリックしちゃうので、まずは尾原はアメリカの英語を見るアカウントと、日本語の英語を見るアカウントを分けてるんですけれども、英語の方のアカウントの方に行くと、All-In(Podcast)だったり、20VCだったりとかっていう、割とスタートアップ系だったり、レックス・フリードマンだったりとかっていう、長尺で解説するポットキャスト系の方が出てくるみたいなことをやっていたり。

あともう1個が、その尾原の中の「闇チャンネル」っていうのがあって。時々、世の中の陰謀論だとか、情弱をこういう手口で騙すんだっていうYouTubeをみて、わざと広告をオフにしてなくて、「こういう動画見てるとこういう広告出るんだ、なるほどな」みたいなことを、横で流し見しながら、世の中を闇にうまく引っ張る方々のやり方、ハックの仕方みたいなことを学んでたりとかするわけですね。

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まずはシークレットモードから試してみる

YouTubeであれ、TikTokであれ、フィルターバブルという言い方をしますけれども、何か1個自分が好きっていうものを見るっていう行為をした時点で、「あなたこれ好きですよね」っていうものの周辺をおすすめしてしまうので。僕たちは、自分の嗜好性に合った1つ目の色眼鏡で世の中を見るようになっているので、これを対抗するために一番簡単なのは、アカウントを分けることなんですね。

アカウントを分けるのなんて、Googleのアカウントを複数持つだけですから、10分あれば簡単にできることなんですけれども、それもちょっとめんどくさいな、試してみようかっていう時は、匿名モードないしはシークレットモードってやつが今のYouTubeにはあるんですよね。

それは、YouTubeの右下の、自分のアカウントのロゴがついているところをクリックしていただいて、そこをクリックすると、右上に歯車が出るページがあって、名前の下のところに帽子に眼鏡をつけたアイコンの、シークレットモードっていうのがあるんで、これをオンにして、1回見てください。

そうすると、昔はこのシークレットモードになったら、万人受けする動画っていうのがバーって並んだんですけど、Googleはやめたんですよ。多分、フィルターバブルを減らすためなのか。そうすると1個目、なんでもいいから検索ワードを入れてくださいっていう風になってて、入れると、その動画が出て、そのあとクリックした傾向でどんどんおすすめされるようになるので。

最近僕がよくやってるのは、Twitter上で見て、こういう流れでワーッて言ってる人がいるんだなということであれば、例えば103万円の壁みたいなことを、このシークレットモードでYouTubeを検索すると、103万円の壁に関して議論してる動画が出て、そのいくつかをクリックすると、その103万円の壁に対して反対をしてる人たちにはこういう動画が見えてるんだなっていうことが深掘りできるようになるので。

なので、手っ取り早く、他の色眼鏡をかけてものを見るということにおいては、YouTubeのシークレットモードにしてみる。それで、他の色眼鏡をかけてる人が使っている言葉をTwitterで拾ってきて検索してみて、複数の色眼鏡で見ることによって、結果的に相対的にどの色眼鏡にも引っ張られないっていう訓練ができますよということでございます。

本当に、つながる未来っていうものが、ネットのつながりによって、いよいよ地方であれ国であれ、政治を動かすことができるっていうタイミングに入ってる中で、どのつながりを選択していくのかっていう力を少しずつ養っていくヒントになればです。

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image by: rafastockbr / Shutterstock.com

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

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