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三菱UFJ銀行「貸金庫窃盗」めぐる報道の不自然。広告主への配慮か取り付け騒ぎ警戒か?「単独犯なわけがない」指摘も

三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円を盗んだ40代女性元行員。これほどの被害規模でありながら、マスコミが実名・写真報道をしないのはなぜなのか?人々の疑念は静かに、だが着実に高まりをみせている。

40代女性元行員「実名報道なし」に深まる疑念

三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の現金や貴金属が盗まれた窃盗事件。各紙報道によると、犯人の40代女性元行員は練馬支店と玉川支店で管理職だった2020年4月から2024年10月にかけて2支店の金庫を解錠し、少なくとも顧客約60人の資産時価十数億円相当を盗んだとされる。盗んだ金は、FX(外国為替証拠金取引)などの投資につぎこまれたという。

先月22日の事件発覚から3週間あまりが過ぎた16日には、とうとう半沢淳一頭取自ら会見を開く事態に。「信頼、信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると厳粛に受け止めており、お客様や関係者の皆様に心よりお詫びを申し上げます」と前代未聞の不祥事を謝罪するはめになった。

ただ、半沢頭取がしめした“誠意”は、顧客には響いていないかもしれない。

「SNSでは、三菱UFJ内部のずさんな管理体制や説明の遅さを批判する人が増えています。これは当然と言えば当然です。ただ、今回の不祥事で特徴的なのは、それ以上にテレビや新聞など大手マスコミの報道姿勢に疑問の声が相次いでいることでしょう」(ネットメディア編集デスク)

実はこの事件、十数億円相当の巨額窃盗にもかかわらず、40代女性元行員の実名・写真がまったく報道されていないのだ。

「同銀行は天下の“三菱御三家”だけに、マスコミは大口広告スポンサーへの配慮から報道を自粛しているのでは、との憶測が浮上しています。この特別扱いはいったい何なんだ、という不満がリアルタイムで広がり続けている状況です」(前同)

広告主への忖度ではなく「取り付け騒ぎ」を警戒か

実名報道が常に正義というわけではないが、同時期に発生した他の事件と比較すると、この40代女性元行員ばかりが“過剰に守られすぎている”印象はたしかにある。やはり、何らかの忖度がはたらいているのだろうか?

だが、ある金融機関関係者は「これが広告がらみの報道自主規制ならまだマシだ」と懸念をにじませる。本邦金融当局やマスコミは別の“最悪シナリオ”を警戒しているという。

「メディア側に、大口CMスポンサー様に対する配慮が皆無ということはないでしょう。でも、恐らくそれは本丸ではありません。金融当局やマスコミが本当に警戒しているのはズバリ、今回の不祥事がメガバンクの取り付け騒ぎという最悪事態に発展するパニックシナリオです」

「単独犯なわけがない」取り付け騒ぎから金融パニックに発展も?

先の金融機関関係者が続ける。

「考えてもみてください。40代女性元行員が本当に単独犯だと思いますか?いくら管理職だったからといって、怪盗ルパンじゃあるまいし、4年半にわたって他の誰にも知られず十数億円の顧客資産を盗むなんて、本来できるわけがないじゃないですか。

でも現実に彼女は、その不可能を可能にしてしまった。これは、今回の窃盗事件が組織ぐるみの犯行である可能性を強く示唆しています。いったい何人の人間が関与し、被害総額はいくらになるのか予断を許しません。貸金庫から客の金を失敬するのが特定の支店に代々伝わる“役得”だったというケースも考えられますし、銀行全体の“伝統”だった可能性すらある。類似の問題が他銀にまで波及する恐れも否定できません。

そのため、金融当局やその意向を受けたマスコミは、この事件を極力、穏便におさめたいのでしょう。何らかのキッカケで貸金庫だけでなく普通預金にまで人々の不安が波及し取り付け騒ぎが発生してしまえば、全顧客の全預金引き出しに対応できる銀行など、日本はおろか世界中のどこを探しても存在しませんからね」(金融機関関係者)

天下の三菱がまさかと思うが、金融パニックが起これば日本社会は大混乱に陥るだろう。現にSNSでは「預金のほうは大丈夫なのか」「実はスッカラカンでしたとかありそうで怖いよな」「これで取り付け騒ぎにならない日本人は平和ボケ」といった投稿が増えつつある。

半沢頭取の謝罪会見後、「銀行幹部は『SNSが収まらない』と苛立ちを隠せなかった」(東京新聞)と報じられており、三菱UFJ側も神経をとがらせているようだ。

そんな中、大阪エリアの同銀行副支店長が山口組トップの司忍(つかさしのぶ)氏を騙って顧客企業を脅迫していたことを18日の文春オンラインがスクープした。反社会的勢力(ヤクザ)の名前まで飛び出し、三菱UFJに対する信頼と信用はいよいよ地に落ちつつある。

「恐らく三菱UFJにとっての最善シナリオは、この女性行員が実はホスト狂いで、男に貢ぐためについ魔が差してしまって――といったものでしょう」(前同)というが、ここまでくるとソフトランディングは難しそうだ。

となると、せめて取り付け騒ぎの最悪シナリオを避けるには、報道管制を敷いてでも問題を隠ぺいするしかないのだろうか?筆者にはその体質こそが、SNSの不安心理をかき立てているようにも思えるのだが…。

image by: yu_photo / Shutterstock.com

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