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“トランプ2.0革命”に抱く大きな期待。「またトラの必然」の意味を深く考える上で真に受けてはいけないこと

来る1月20日、ワシントンで行われるトランプ氏の大統領就任式。4年間のブランクを経て再びアメリカのトップに立つトランプ氏を巡っては、事実として賛否さまざまな声が上がっています。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、自身が「トランプ再登板の必然」の意味を深く考えるようになった理由を解説。さらに「グリーンランドの買収」や「パナマ運河の返還」といったトランプ氏の発言が、どのような背景に基づいて行われたかについての見立てを綴っています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ドナルド・トランプ氏の米大統領再登板前夜にあたって

プロフィール辻野晃一郎つじの・こういちろう
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

深く考えるに至った「再登板の必然」。トランプ2.0革命に寄せる大きな期待

いよいよ来週、米国時間1月20日(月)にドナルド・トランプ氏が米国第47代大統領として正式に復帰します。2016年に同氏が第45代大統領に選ばれたときには、私は「とんでもないことになったな」との思いで、顔を見るだけで嫌悪感を覚える典型的な反トランプ派でした。

しかし、その後いろいろと勉強し直し、また、バイデン政権下の4年間での世界の惨状やそのバイデン政権にべったりだった日本の惨状を目の当たりにして、考えをすっかり改めました。トランプ個人がどうこうと言うよりも、あるいは、トランプ派とか反トランプ派といった単純な枠組みを超えた「トランプ再登板の必然」ということの意味を深く考えるようになり、いわゆるトランプ2.0革命に大きな期待を抱くようになったのです。

「トランプ再登板の必然」を考える上では、世界史や米国史を改めてしっかり勉強し直す必要があると思います。そこをさぼっていては、トランプ再登板の本質を見誤ってしまいます。日本のメディアや、テレビに出てくる評論家の意見などを真に受けていると、世界の流れを大きく見誤ることになるので注意が必要です。

直近の米大統領選や上下院選を振り返っても、彼らのほとんどは共和党と民主党の接戦、あるいは民主党の勝利を予想していました。しかし、実際は大外れで、共和党がトリプルレッドとも言われる大勝を果たしました。それでも懲りずに相変わらず表層的なトランプ批判を続けています。世界の風向きを読み取ることや風向きの変化を受け入れることが出来ないのだと思います。

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もはや救いようのないテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』

今朝も、テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』という番組で、トランプの半生を描いた『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』という映画が日本でも公開されることになった、との話題を取り上げていましたが、この中でトランプのことを「怪物」と表現していました。

そもそも、この映画は米大統領選でのトランプに対するネガティブ・キャンペーンの一環として、反トランプの民主党系政治ジャーナリストが反トランプの映画として制作し、大統領選の1ヵ月前に米国で公開した極めて政治的でチープな映画です。トランプも「内容はデタラメだ」として上映差し止めを訴えていましたし、多くの映画評論家も愚作としているものです。

番組では、そのようなこの映画の素性については一切触れることなく、事前にこのフィクション映画を観たという若い女性コメンテーターに至っては「トランプという人間はこうして出来上がったんだと納得しました」というようなコメントをしていて呆れました。意図的なネガティブ・キャンペーンに簡単に染まるような人物をコメンテーターに起用しているわけですから、もはや救いようがありません。

さて、世界史や米国史を学習する上での論文や書籍は山のようにありますが、私が特に参考になったと感じるのは、以前にも紹介したことがある以下の3つの著作です。

● 長沼伸一郎著『世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器』(PHP)
● 会田弘継著『それでもなぜ、トランプは支持されるのか:アメリカ地殻変動の思想史』(東洋経済)
● エマニュエル・トッド著『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』(文藝春秋)

実に素晴らしく心に染み入るトランプの国連での名演説

今年は、このメルマガでもトランプやトランプの行動に言及することが多くなると思いますが、今回はシンプルに以下の動画を紹介して終わりにします。Xへの私のポストにどなたかがリプライで添付してくださったもので、2019年9月の国連でのトランプの演説の一部です。

● https://x.com/lotl_frodo/status/1637020771959840770

それぞれの国には大切な歴史、文化、遺産があり、それは守り、祝うに値するものです。そしてそうすることが我々の可能性や強さに繋がっています。

自由な世界はその国の基盤を受け入れねばならず、それを消し去ったり置き換えたりしようとしてはなりません。壮大で偉大な地球を見渡せば真実は一目瞭然です。

あなたが自由を求めるなら自国に誇りを持ちなさい。民主主義を望むなら主権を保ち続けなさい。平和を望むなら自国を愛しなさい。賢明な指導者は常に自国民を優先し自国を第一に考えるものです。

未来はグローバリストのものではありません。未来は愛国者のものです。未来は主権国家、独立国家のものです。国民を守り、隣人を尊重し、違いを尊重することがそれぞれの国を特別でユニークなものにしているのです。

あらゆる先入観やノイズを取り払って素直な心で傾聴すれば、実に素晴らしく心に染み入るまさに歴史に残る名演説だと思います。

既に、グリーンランドの買収、パナマ運河の返還、メキシコ湾の名称変更、関税の強化、不法移民の強制排除等々、就任前から話題を振り撒いているトランプですが、私はこれらの話は、多くの評論家やコメンテーターが言っているような単なるトランプの後先考えない思い付きやディールの為のブラフではなく、トランプ2.0革命による世界秩序の本格的な再構築に向けて考え抜かれた戦略的な動きだと見ています。

実際のところ、1月20日以降の米国と世界がどのように変わっていくか、このメルマガでも引き続き追いかけて行きたいと思います。

※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ 』2025年1月17日号の一部抜粋です。興味をお持ちの方はぜひこの機会にご登録ください。

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辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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【著者】 辻野晃一郎 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日 発行

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