何でも便利になった昨今ですが、その反面、誰でも簡単に「嘘」をつくことができ、隠れて悪いことをしても良心の呵責や抵抗感を感じなくなる世の中になっています。そうした「誤った道」へ進まないために、今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では著者の多田さんが警鐘のために課金問題や詐欺などの「トラブル事例」を紹介しています。
オンラインゲームの課金トラブル相談の実態から思うこと
多くの人がスマホを持って、ネットをしています。そうしたなかで、国民生活センターの会見を通じて、未成年者に関する相談の平均金額が、小学生が約10万円、中学生で約20万円に近い金額をオンラインゲームに費やしている報告があり、子供がそれだけのお金を使えてしまう時代にとても驚いています。
その多くは、両親や祖父母のクレジットカードを勝手に使ってゲームの課金をして、高額請求になっており、明細を見て保護者が気づくといった状況です。
子供はゲームが好きです。私の学生時代にも、インベーダーゲームやコインゲームが流行り、みんな何枚もの100円玉を握りしめて、ゲームセンターにいったものです。
この時の良さは、持って行ったお金以上は使えないことです。それで親にお小遣いをせびれば、理由を話せば怒られます。それに、営業時間や親の目もあり、いつまでもゲームができるわけではありませんでした。ある意味、節度を持ってゲームをできた時代といえます。
しかし今は24時間、スマホでゲームができて、保護者の目を盗んでクレジットカードを使うことで、使う金額に歯止めがかからない状況となっています。
これを防ぐ為には、保護者がスマホにあるペアレンタルコントロールを使うなどして、子供のゲーム時間に制限をかけてあげることが必要です。
心配なことは、こっそりと子供が親や祖父母のカードを無断で使う行動です。人のものを許可なく使用する癖がついてしまうことで、良心の呵責や抵抗感を感じなくなり、子供の心にも大きな影を落とすことが懸念されます。
未成年者のトラブルを防ぐことは、人生において誤った道へいくことを防ぐことにもつながります。
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誰でも簡単に、嘘をついて相手をだませる時代になった 闇バイターの広がりの懸念
ネットを通じて業者に依頼すれば、偽の身分証や会社員証などを作成してもらえる。部屋などを借りる際にそれを提示して、管理会社からの在籍確認などの問い合わせがあれば、その電話に応じてくれるという「アリバイ会社」の存在が、詐欺の温床になりかねないとして問題になっています。
今年1月に、女性が入居する時に実在する企業の保険証を偽造したとして、警視庁は詐欺などの疑いで、アリバイ会社の男らを逮捕しています。アジトからは、偽の社員証や保険証などが100枚以上押収されているといいます。いかに多くの人が、ネットを通じてアリバイ会社に仕事の依頼をしているかがわかります。こうした会社は一つではありませんので、アリバイの依頼をしている人の数はかなり多いと思われます。
もっとも懸念されるのが、詐欺への悪用です。
もし身分証などが偽造されて、どんな人でも嘘をついて入居できるとなれば、詐欺の電話をかける拠点になったり、だまし取った商品や現金を受け取る際の拠点が簡単に作られてしまうことになります。
何より、ネットで「報酬を出す」という募集をすれば、それに応じるような闇バイターたちが増えることにもなりかねません。
それに偽った身分証や架空の源泉徴収票を提示してお金を借りたり、携帯電話の契約も簡単にできてしまいます。
報道では、子供を良い保育園にいかせるために、選考で有利になるように、このアリバイ会社からの勤務に関する証明書を出してもらった人もいるということですが、アリバイ会社が摘発されて、利用者の嘘が発覚した場合には取り返しのつかないことになります。絶対に、安易な利用はしないようにして下さい。
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