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粗利率がブレる理由は「在庫日数」にあり。適切な管理の条件とは?

飲食店では、その管理が難しいゆえに重要とされる在庫日数。それが最悪の事態を招くことにもなりかねないことをご存じでしょうか。外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんの発行するメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では、堀部さんの支援先の事例を見ながら、在庫日数の管理方法について詳しく紹介しています。

業態モデルを考える時に意識して欲しい在庫回転日数

3月の需要期を迎えるにあたり色んなご支援先とMTGしていたのですが、そこで見られたのが「在庫日数」に関して。

繁忙期なのに粗利率がブレてしまって想定の利益を得ることができなかった。これは最悪ですよね。

しかし得てしてブレるお店は「在庫日数」が多すぎます。

今日は3社のご支援先のパターンから、在庫日数の考え方をまとめてみます。

■前提条件

そもそも在庫日数をどう出すのか。これを見ていきます。

I)当月仕入高を出す

ここで数字が苦手な企業さんは定義が間違う事が多々あります。

得てして「当月購入額」を仕入高として出しちゃうんですよね。

でもこれって違いますよね。月初にも月末にも在庫は余ってますし。

なので、

当月仕入高=月初棚卸+当月購入-月末棚卸

これで算出をお願いいたします。

ii)在庫比率を出す。

例えば、

当月仕入高:1,000,000円

月末棚卸 :300,000円

この場合だと、

在庫比率30%=300,000円÷1,000,000円

こうなります。

100万円で回せる店ながら、全体の30%の30万円も持っている訳です。

iii)営業日数をかける

在庫日数=在庫比率×営業日数

3月のように31日営業の場合。上述のii)と照らし合わせると、

9.3日=30%×31日

こうなってくるわけですね。

極論、9.3日新しい仕入れなくとも、額としては十分な在庫があるという訳です。

上記はエクセルで簡単な数式を入れて出せるので、もし未算出の企業さんは是非お願いします。

この前提条件の上で3社さんのパターンを見ていこうと思います。

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■年商10億円の居酒屋企業

高収益店(フードのみで算出)

期末在庫 :227,266円

当月仕入高:1,009,960円

在庫日数 :6.98日

基本的には大体これくらいで回されています。

これでも多いなという印象ですが、今から改善していく計画です。

ただこれに対して問題店がありました。

期末在庫 :2,129,460円

当月仕入高:4,165,793円

在庫日数 :15.85日

これは在庫持ちすぎですよね。半月分の在庫を抱えている訳ですから。

こうなるとやっぱり管理は大変すぎます。

・冷凍庫の奥に眠っている不良在庫

・温度変化による品質の劣化

・先入先出の未徹底

・管理工数の手間

などなど。では何故こうなったのか?理由は「ストッカーを入れすぎた」です。

最初は良かれと思って設備投資の一環でストッカーなどを導入。

不思議なもんで保存キャパがあると、どんどんものが増えていきます。

・発注のケースが大きいんです

・たくさん買った方が安いんです

一見、それっぽい内容。

でも数字の管理が甘くて原価がブレるなら、そのメリットよりもデメリットの方が大きいという事。

ここの場合は設備投資の見直し。これがテーマになって来ました。

・強制的に使わないストッカーの設定

・使わずしてそれを他店に移動

・食材別の在庫管理のルールを導入

・発注のルールの見直し

・発注を誰でもできる仕組みへ

ここが足元で動いています。

■年商15億の居酒屋企業

期末在庫 :127,973円

当月仕入高:1,572,929円

在庫日数 :2.52日

これは素晴らしいですよね! 在庫がほぼない状況なので、常にフレッシュな在庫回転。

これを実現する為に様々な取り組みが。

・需要予測精度の高さ

・食材SKUの絞り込み

・CKとの連動

・季節商品を完全売り切り

このような状況です。「今」必要なもの以外は在庫がない。

これが最もシンプルながら成果に繋がっている内容ですね。

皆さんの冷凍庫にも冬フェア商品がちょっとでも余っていたりしませんか?

このようなものが確実にないのは大きいです。需要予測に関しては特にAIなどはなく、シンプルに繁盛店というのが大きいです。

必ず満席になっているので、後は曜日別の回転率だけの話。

ただこちらも在庫がブレる店長の店は、大体1-2日分の在庫が多い状況。

・不安だからたくさん買う

・たくさん在庫があるから管理が大変

・場合によっては品質が悪い

この悪循環。

エリアマネージャーの仕事の一つで、適切な在庫管理ができているか。これも導入されています。

■年商80億円の居酒屋企業

この店舗数になると1店舗辺りの初期投資が大きいと年間でのキャッシュアウト額も大きく異なります。

そのため、在庫回転に関しては非常にシビアなルールになっています。

店長さんからすると「もっとスペースを。。」と最初の頃は思われるかもしれません。

しかし高在庫回転によってーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2025年3月17日より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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