事業再生は1人でなんとかできるものではありません。ビジネス分野においては、それぞれに専門性が求められ、どれかひとつを誤れば道が閉ざされることすらあります。メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、実際の再生現場でどのように専門家が関わり連携しながら事業再生を成功させるのか、その重要性を伝えています。
専門家同士の連携の大切さ
事業再生を実現していく上で、考えなければならないことは山ほどあります。当然ですね。
たとえば、
・黒字化をどう実現するか? - 売上を増やす?経費を減らす?
・債務超過や過剰債務をどう減らすか? - 法的整理?私的整理?稼いで返す?
・資金繰りをどう改善するか? - 借りる?集める?在庫処分?体質改善?
などなど。
あるときは、法律的な解決方法が必要になります。
軽い順に、取引先との契約関係の見直し、支払猶予、債権放棄のお願い(私的整理)、民事再生、破産、第二会社方式など。
また、その過程で、会計や税金のプロにお世話になる場面もあります。企業価値の算定、財務内容の精査(DD)、債務免除益など課税リスクの検証など。
人員削減や労働条件見直しの場面もあるでしょう。そういうときは、労務のプロのお世話になる必要が出てきます。
担保不動産の任意売却や、リースバック、遊休不動産の処分などの場面では、不動産任意売却会社の出番です。鑑定が必要な場合は不動産鑑定士です。
再生が上手くいきはじめて、前向きな設備投資をしたい場合には、補助金を活用するのがいいでしょう。ここでは補助金のプロである認定支援機関などの出番です。
リスケジュールが必要なときは、リスケに強い認定支援機関に頼めばコンサル料の2/3を国が補助してくれる場合がありますから(通称「405」)、その道のプロに依頼すべきでしょう。
事業承継の際に、その手段としてM&Aを検討したい場合は、実績豊富なM&A支援機関へ。
このように、事業再生のプロセスにおいてはやる事・考える事が沢山あり、それぞれ、その道の専門家がいます。
この記事の著者・吉田猫次郎さんのメルマガ
1人の専門家だけを過信してはいけません。
その道の専門だから専門家というのであって、専門外の事は詳しくないのです。税金なら税理士、法的手続きなら弁護士、労務なら社会保険労務士です。
私の場合、法律や会計などの専門家ではありませんから、本腰を入れてその会社の事業再生に取り組む際には、よく、案件ごとにチームのようなものを結成します。
たとえば、重度の債務超過を抱えた会社が、息子さんに事業承継させたい場合、第二会社方式が、その最有力候補になります。
息子さんに新会社を設立してもらい(登記は司法書士さん)、全体のコーディネートは私がやり、要所要所のリーガルチェックや事業譲渡契約書の作成や債権者交渉代理や旧会社の債務整理などは弁護士さんに依頼し、事業譲渡の際の譲渡価額の算定やタックスプランなどは税理士さんに、従業員を旧会社から新会社へ転籍させる際には社労士さんと弁護士さん、工場や自宅などを任意売却(によって守る)場合は任意売却不動産会社、第二会社に移行した後の資金調達や事業計画策定は私や中小企業診断士のようなコンサルタント、・・・といったように。
ここで、私はコーディネーター役ですので、専門家の人選もよく任されます。地域、業種、人間的相性などを考慮して、最も適した専門家を紹介します。
私は恵まれています。
23年間、全国各地で出張相談やセミナー講師などを続けてきた過程で、数えきれないほどの専門家の先生方と知り合う機会に恵まれました。これはカネに代えられない財産です。
この財産があるから、私一人ではできないような難易度の高い事業再生が実現できるのです。
専門家同士の連携の大切さについてのお話でした。
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