営業の世界には、「もっと頑張らなきゃ」という努力信仰がいまだ根強く残っています。しかし、実際に安定して成果を出し続けるトップ営業は、意外なほどうまく休むことを大切にしています。メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんが、安定して成果を出すためのヒントをお届けします。
タフなトップ営業がこっそりやっている“休む技術”
知人Aさんのこと。Aさんは住宅設備メーカーのトップ営業スタッフ。長期で結果を出し続けている。
Aさんは“ツールを使って効率よく結果を出す”というタイプではない。ひと世代前の営業スタッフだ。
前日の予定を聞くとこんな感じ。
・午前中にお得意先を2件訪問
・午後は3件の現場打ち合わせ
・夜は新規の商談をする
とかなりハードだ。しかもリモートではない。すべて対面で話をしている。
お客様とのやり取りを聞くと“要望も細かくて手がかかる”といったタイプが多い。
担当している現場の段取りも複雑。とても一人ではこなせないように感じる。
しかしAさんはバテた様子がない。それどころか涼しい顔で「いつもこんな感じで動いていますよ」と言っていた。
私が「すごくタフですね。普通はそんなに仕事できませんよ」というと、Aさんは「タフとかじゃないんです。うまく休んでいるだけですよ」と言っていた。
そう言うAさんの“休み方の秘訣”を知りたいと思った。
まずAさんは「体力があるとタフに働けるはイコールではない」と言っていた。
いくらタフでもやみくもに動いていたらバテてしまう。効率のいいやり方があるのだ。
Aさんの話では「バーンアウトしないことが重要」ということ。
バーンアウトとは燃え尽きることで“意欲を失い、無気力になる状態”のことを言う。
こうなってしまうと回復が難しくなる。その日どころか翌日まで悪影響を及ぼす。
そうならないように「ちょっとでも疲れを感じたら、少し休む」というのだ。
たとえば
・車内で10秒間の深呼吸(5秒吸って5秒吐く)を3回行う。
・商談の10分間スマホでタイマーをセットし目を閉じる
・食後に15分タイマーをセットして寝る
どれもわずかな時間だ。これを習慣にしている。だからこそ体力が最後までもつのだ。さらにAさんはこんな分かりやすい例え話をしてくれた。
「スマホはバッテリー残量20%くらいまで減らしてから充電すると、時間かかかりますよね。そうではなく70%くらいでこまめに充電しておいた方が、チャージが早いんです。体力も同じです」
これを聞いた時「なるほど。確かに疲れきる前にチャージしたほうが効率的だな」と思った。
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タフな営業スタッフは適度に休み、バテる営業スタッフは限界までやってしまう。これか大きな差となる。これを知っているか知らないかは非常に大きい。
Aさんは休み方のほかに「自分のコンディションに敏感になる必要がある」とも教えてくれた。
朝起きた時、「今日はどんな調子かな?」と体調を軽くチェックする。
もし、「なんとなく疲れが残っている」と感じたなら最小限の仕事だけする。
その逆に「今日は疲れが取れて調子がよさそうだ」と感じれば、予定の仕事はもちろん、
“時間があればやりたいこと”を足していく。
こうして今日のコンディションにマッチした仕事をしている。これも参考になる考え方だ。
Aさんのように“疲れたら少し休む”という人は少ない。
ほとんど人が“休めない人間”である。
学校生活が長いこともあり“休む人は怠けもの”というイメージがあるのだ。
多くの人は疲れているのに気づかない。あるいは「ちょっと疲れが、気合でなんとかなる」と思っている。
そして、限界を超えてしまう。ある時、疲れがドッと出る。その結果、商談中に集中力が切れてミスをしてしまう。
ケアレスミスをし「いつもはできるのに、なんてつまらないミスをしてしまったんだ……」と頭を抱える。
その原因は“ちょっとした疲れを無視したから”なのだ。
基本的に“疲れを自覚した時点ですでに遅い”と考えたほうがいい。
そうなるとキレがなくなり、ミスが増える。確実に仕事の足を引っ張る。
結果を出す人はそれを理解しているからこそ、“疲れる前にうまくチャージする”ということを心掛けている。たからこそ常に高いパフォーマンスを出せるのだ。
結果を出すためにーーー(『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』2025年6月13日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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