未だ割高感が拭えぬコメ価格を背景に、激安を売りに消費者からカネを騙し取る「偽コメ通販サイト」の被害が激増しています。一部報道で「振りコメ詐欺」とも呼ばれるこうした手口に遭わないために、どのような点に注意すべきなのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では多田文明さんが、偽サイトを見抜くために確認すべきポイントを教示。さらに警察を騙る詐欺の特徴と自衛手段を紹介しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:お米の偽サイトが次々に登場 大阪府警をかたる偽サイトが登場!「仮装身分捜査」による初摘発 17年前の芸人さんたちも「仮装身分捜査」だった!?
続々登場。コメの偽通販サイトやニセ警察からどう財産を守るべきか
備蓄米が政府より出されて、2,000円前後の安いお米が飛ぶように売れており、ネット通販でも売り切れが続出しています。この状況に便乗するように、激安価格を表示した偽の通販サイトが現れました。
報道では、検索すると、正規のアイリスオーヤマの販売サイトよりも、偽サイトが上に出てきているということで、多くの方が被害に遭う可能性があります。
改めてお米偽サイトの実態を記事にもしようと思いますが、少しだけ先出しします。
ある偽通販サイトでは、やはりアイリスオーヤマの名前をかたったお米も出品されています。偽サイトの特徴は激安価格にありますが、ここでも1万9,078円に横線がつけられて、70%OFFの5,723円となっています。
これまでは、日本語の怪しさなどから偽サイトだと気づけたのですが、最近は生成AIなどを使っているのでしょう。なかなか最初に出てきた画面だけでは、おかしさはみられないようになっています。このお米の販売サイトも同じで、一見するとおかしいところはないように思えます。
まず偽サイトかどうかを見抜くためにみるべき点は、会社名と所在地です。
A県B市になっていて、連絡先はメールアドレスだけで、電話番号はありません。これでは、返金してもらおうと思ってメールを送っても無視をされれば終わりで、お金は戻ってこないことになります。
この住所を調べると、全く別業種のお店になっていました。このサイトの場合、これで怪しさに気づけますが、最近では本当のお米の販売店のサイトを模していることもあり、こうなると住所を検索しても、本当のお米屋さんがヒットしますので、見抜けないこともあるかもしれません。
このサイトの場合、上部にお米のアイコンがあり、ここにカーソルをおくと次のような文章が出てきます。
高品質の健康的な主食 – 私たちのお米はすべて、あなたにとって理想的なものです!
翻訳されたような日本語で、このサイトが国内のお店でないことがわかります。しかしこれ以外は完璧な日本語なので、被害に遭う方は多くいるかと思います。
そこで他にも色々とクリックしておかしな点がみえています。
被害に遭わないためにも、初めての通販サイトではしっかりと細かい部分までみることが大事になります。
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ニセの「大阪府警」サイトが表示させる架空の文書
今、警察官をかたる詐欺による被害が多く起きていますが、偽の「大阪府警」サイトが登場しました。本物そっくりのサイトですが、バナーをクリックすると口座情報の入力画面が表示されて、それを入力させるようになっており、他のところを押すと「守秘義務命令」という架空の文書を表示させるとのことですので、注意が必要です。
この手口は今に始まったものではなく、2024年にも、警視庁をかたるサイトが出ています。その時は「あなたに逮捕状が出ている」と嘘の容疑をかけて、警察のサイトに誘導してお金をだましとる手口でした。
今回は、大阪府警の偽サイトですが、他の都道府県の警察をかたった偽サイトもあると思われます。これは、本物の警察のサイトのようにみせかけることで、相手に容疑がかかっていることへの信ぴょう性を高めるためとみられています。
それもあると思いますが、私の見立てとしては、口座情報などを口頭でいちいち聞き出すと時間がかかるので「入力させる」ことで効率的に相手の情報を把握することも狙いなのではないかと思います。
いずれにしても、私たちの住んでいるところからかなり離れた警察署をかたって電話をかけてきます。そして「すぐに出頭してください」といってきます。
被害に遭いかけた東京在住の女性は、「すぐに出頭してください」と偽の岩手県警からいわれて「わかりました」とすぐに行きますと返事をしたところ、用事があるとかで「急にこられても困る」と言われています。
逮捕状を見せておいて、来られても困るとはおかしな話ですが、この時点では、女性は詐欺に遭っているとは気づかず、LINEに誘導されて、警察手帳などをみせられて、1時間にわたって話をしています。大事なことは、いったん電話を切って、相手の話す警察署に電話をかけて身元を確認することです。
(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2025年6月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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