KDDIが展開する衛星通信サービス『au Starlink Direct』は、2025年夏のデータ通信開始と発表されていたものの、いまだ「準備中」のようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは自身のメルマガの中で、なぜここまで開始時期を引っ張るのか、その理由について探っています。
KDDIにはまだ「夏」は訪れていないのか—-au Starlink Direct、データ通信は一部のアプリ限定か
KDDIは「au Starlink Direct」において、メッセージアプリによる写真や動画などのファイル送受信に対応したと発表した。ただし、対応するのはAndroidの「Googleメッセージ」アプリのみとなる。
KDDIではデータ通信に関しては「2025年夏」と公表している。
8月1日に行われた決算会見で松田浩路社長は「サードパーティのアプリベンダーと協議中で、遅い夏にはなんとか開始したい」とコメントした。
ここで気になるのが「アプリベンダーとの協議」という点だ。データ通信ということで、インターネット接続がし放題なのかと思いきや、OS側での対応が必要で、なおかつアプリ側も対応が必要のようだ。つまり、データ通信に対応したからといって、すべてのアプリが使えるというわけではないらしい。
もうひとつ気になるのが開始時期だ。
すでにキッズたちは夏休みに突入し、8月に入ったにも関わらず、KDDIにはまだ夏は訪れていないらしい。
ここまで引っ張るとなると、ひょっとして「9月のiPhone発売直前にサービス開始をアナウンスして、他の3社を衛星を使ったプロモーションで出し抜く戦略なのか」と思ったのだった。キャリア個別のアップデートではなく、OSのアップデートが必要だとすれば、iOS26が配布される時期というほうがしっくりくる。
松田社長に「遅い夏とは9月のことか」と突っ込んだのだが、松田社長は「頑張って8月、夏休み中には」という回答をしたのだった。
となると、8月21日にグーグル「Pixel」の次期モデルが発表されるだけに、そのタイミングが合いそうな気もしなくもない。
ちなみにアメリカはどうなっているのかと思い、T-Mobileを調べたところ、10月以降に一部のアプリでデータ通信が使えるようになる、ということであった。
となると、au Starlink Directは世界でもかなり早い時期にデータ通信ができるようになる、ということなのだろうか。
今週、楽天グループが「Rakuten AI Optimism」を開催したが、楽天モバイルの矢澤俊介社長が2026年第4四半期に開始予定の最強衛星サービスに「いま、社内でもう少し前倒しできるように頑張っている」と語っていた。
すでにKDDIがサービスを提供し、NTTドコモとソフトバンクもKDDIと同等のサービスを来年中に始めるとアナウンスされている。このままでは楽天モバイルは「最遅衛星サービス」となってしまうだけに、かなりの前倒しが必要になってきそうだ。
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