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「毎週30%オフ!」を突然やめたらどうなる?飲食企業が実証した“脱値引き”の成果

値引き施策は集客の切り札である一方、インフレ時代には粗利を圧迫する要因にもなります。今回、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんは自身のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』の中で、長年続けてきた大胆な割引を見直した支援先が、数字に基づいて意思決定を行った結果、起きた変化について紹介しています。

毎週の30%OFFを止めて生じた変化

都内を中心に複数ブランドを展開される年商25億円のご支援先。

こちらは商品力はどの業態も特徴があり、「◯◯ならここ!」のポジションがあってどこも人気のブランドを作られています。

そのため、一度集客ができてベースが上がるとその売上を継続できるという強みがあります。

そしてこのベースアップ。

その為にこちらは昔から「大きな値引き」を武器にされてこられました。

■繁盛感を出すために

中途半端な人気ではなく、大行列で繁盛感を演出したい。

この背景からこちらの企業さんでは今まで週に一回「30%オフ」をずっとやってこられました。

この日は本当に凄くでどの店舗でも、11時のオープンから14時過ぎまで行列。

そしてディナー開始しても、17時から19時過ぎまで行列と、「えっ、何この店!?」と思われる人気ぶり。

■何曜日に仕掛けるのか?

集客の基本原則は、「伸びているところを徹底的に伸ばす」です。

暇な曜日のテコ入れを思いがちですが、ニーズがないところを頑張っても、費用対効果も手間対効果も合いません。

そのため、こちらはオープン直後は伸びやすい週末のどこかの曜日に設定。基本的には土曜日が多かったです。

まずは週末を圧倒的に伸ばす。そして徐々に平日のベースも高める。

そして一定の売上ラインを超えたら、週末から平日の何れかの日に設定する。

これを一つのパターンで展開されました。

こちらのご支援先は集客に一切コストをかけず、かつGoogleも食べログも媒体は基本的にほったらかし。

この30%オフクーポンで25億まで各業態をしっかりと伸ばして来られました。

■転換点は何だったのか

しかし。

値引きで集客って基本的にはデフレの時。インフレ時代で物の値段が上がり続ける際、これによる粗利減の影響が物凄かったのです。

それを可視化したのは交差原価率。

今までは30%値引きしていても、

・その分、売上も上がっているし、、

・週に1日程度なら利益影響小さいのでは、、

・これをやるとお客様が来なくなる、、

などなど、各店長さんの感覚で議論。感覚の話なので、ここには正解も不正解もないので「確かにそれもあり得るか。。」と何も変われず。

そのため、全店舗で交差原価率を算出。

すると衝撃! 何とたった1日の30%オフデーの商品が、交差原価率での影響1位だったのです。

これで

・こんなに負担かけてるのに悪影響が大きい

・悪い表現だと貧乏暇なしなのか?

この辺りの空気感に変わってきたのです。

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■原価率は何%変わるのか。

仮に30%オフを完全にやめた場合。原価率は何%変わるのか。

何とこれだけで「1.05%」も原価率が改善する事がわかりました。

もし値上げで1.05%も原価率を改善するなら、こちらの企業さんの原価率で考えると、106.9%もの値上げが必要な訳です。

・30%オフデーをやめるのか

・106.9%の値上げを実施するのか

同じ粗利率改善を目的にするならばどっちが良いのか。

これを議論した結果、30%オフデーをやめて良いのでは。

こちらが大多数になったため、どうやめていくのか。こちらに議論が変わっていきました。

今まではずっと感覚での議論。これが具体的な数字と比較が生まれると建設的な議論になって良いですね。

■どう変えていくのか?

・徐々に値引率を下げる?

・週一を二週一にする?

なども議論。ただここまで来ると、「えいやー」の要素も大切。

後者の「週一を二週一にする」から始め、徐々にやめていく事にしました。

ただ全店舗絶好調な訳ではなく、2店舗だけ不振店が残っていたので、こちらは継続する事にしました。

最初の3ヶ月で割引頻度を減らし、業績の推移を見ました。

割引頻度を減らすだけだと、特に大きな問題を感じられなかったため、4ヶ月に遂に30%オフをやめる事に。

■やめる時に決めた数値目標

売上=客数×客単価

こう見た時に客単価は当たり前ですが上がる訳ですよね。

ただ元々30%引きだったので高額商品を頼まれるお客様も多く、その分がそのまま伸びる訳ではなく。

ただ結果的に客単価は120%程に改善。

売上=客数×客単価120%

こうなってくる中で、次は考える基準値ができます。

こちらは全社での売上は105%推移。つまり、値引きをやめて売上が105%なら、及第点としようと捉えた訳です。

そうなると、

売上105%=客数87.5%×客単価120%

この図式が見えてくる訳です。客数が87.5%以上ならば問題なし! それ未満なら戦略の組み立て直し。

こうする事にした訳です。

■実際に客数は何%落ちたのか?

やはり30%オフをやめる事で、客数は少し落ち込みました。

ランチの遅がけ、ディナーの遅がけ。

この辺りのテコ入れになっていたんだなと感じる結果ではありました。

では具体的に何%落ちたのかーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2025年9月1日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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