MAG2 NEWS MENU

10年で10億円荒稼ぎの猛者も。元国税調査官が暴く「財務省キャリア官僚OBの“闇”収入」が隠し通せる巧妙なカラクリ

物価高にあえぎ、主食のコメの購入さえ躊躇する苦境に置かれている我々庶民。そんな納税者をよそに、国民の公僕たる国家公務員が退職後にまで私腹を肥やしている実態をご存知でしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、財務省キャリア官僚たちが天下りで巨額の報酬を得ている事実を詳しく紹介。さらに彼らが自身の「闇収入」を隠すため講じた手口を白日の下に晒しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:財務省OBが10億円稼ぐカラクリ

やりたい放題の国家公務員。財務省OBが10億円稼ぐカラクリ

財務官僚は桁外れの高額所得者

前回は、昨今、富裕層や大企業には大幅な減税がされているけれど、それは財務省キャリア官僚自身が富裕層だからだ、ということを述べました。

今回は、財務省のキャリア官僚たちがいかにして巨額の収入を得ているか、そのカラクリを明かしたいと思います。

まず一般の人に強く訴えたいのが、財務キャリア官僚というのは、官僚の報酬自体もそれなりに高いということです。

現在、財務キャリア官僚の報酬は、平均700万円~800万円程度です。一般のサラリーマンの平均年収が400万円台なので、かなり高いといえます。

サラリーマン全体の平均年収は、この30年下がり続けていますが、財務キャリア官僚の報酬は、この30年上がり続けているのです。30年前は、財務キャリア官僚の報酬は、一般サラリーマンよりも少し高い程度でしたが、現在はかなり高いという状態になっています。

また財務キャリア官僚は、その額面以上に生活が豊かなのです。というのも、彼らのほとんどは公務員宿舎に住んでいるからです。公務員宿舎も一応家賃は取られますが、世間の相場の3分の1以下です。ほとんど無料のようなものなのです。

都会のサラリーマンの住居費は給料の3~4割くらいかかることも多く、彼らにとって、一番大きい支出は、住居費です(実家暮らしを除いて)。しかし、財務キャリア官僚たちは、その一番大きい支出を国から補助されているということです。

そして、国家公務員というのは、福利厚生も充実しています。全国の景勝地に保養所が設けられており、格安で利用できます。スポーツ、レジャー等にも様々な補助制度があり、超一流企業並みの福利厚生を持っているのです。

彼らの実質的な報酬は、額面の2~3割増しということになります。だから、実質的には、1,000万円程度の報酬を受け取っているのと同様の生活をしているといえます。

これだけでも、彼らは十分に「高額所得者」といえるのですが、彼らの「本当の報酬」は実はこんなものではありません。彼らには莫大な闇報酬があるのです。

それは「天下り報酬」です。このメルマガでも何度か触れましたが、この天下り報酬がべらぼうに高いのです。

財務省のキャリア官僚は、不祥事に辞めたりしたものは別として、普通に退職した者は、まず間違いなく天下りのイスが用意されます。

財務省のキャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下りしています。たとえば三井、三菱などの旧財閥系企業グループをはじめ、NTT関連、トヨタ、JT(日本たばこ産業)、旭化成、日本生命、ニトリ、伊藤園、プリンスホテル等々、各種の銀行、金融機関など等々です。日本の一流企業では天下り官僚を何らかの形で受け入れているとさえいえるのです。

しかも、彼らは数社から「非常勤役員」の椅子を用意されるので、ほとんど仕事もせずに濡れ手に粟で大金を手にすることができます。

その報酬は桁外れです。この退職後の報酬により、10年足らずで、10億円近く稼ぐ人もいるのです。

キャリア官僚が、生涯でどれくらいのお金を稼いでいるのか、統計調査などは行われておらず、正確な実態は明らかになっていませんが、大武健一郎というキャリア官僚が、「自分の先輩がどのくらい稼いでいるのか」を調査し、その記録が流出したことがあります。

この記録によると、年間5,000万円以上の報酬を受け取っている者もおり、生涯で10億円稼ぐものも珍しくなかったということです。

この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう

メルマガ購読で活動を支援する

※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥330/月(税込)初月無料 毎月 1日・16日
月の途中でも全ての号が届きます

莫大な報酬を巧妙に隠す財務官僚

そして信じられないかもしれませんが、この20年ほどの間に、財務省キャリア官僚の天下り報酬は激増しているのです。多くの国民が長い不況に苦しみ、実質賃金が下がり続けているのに、税や社会保険料負担は増加し続けているというのに、です。

しかも、財務官僚たちの報酬が激増していることは、世間にほとんど知られていません。財務官僚たちは、自分たちがボロ儲けしていることを巧妙に隠しているのです。

そのカラクリを説明しましょう。

多くの国民は財務官僚の天下りに何らかの規制があるのではないか、と思っているはずです。強大な国家権力を握っている官僚たちが、自由に天下りしていれば、日本の政治経済に大きな悪影響を及ぼすことは、容易に想像がつくからです。

当然「官僚での業務に関係する企業には天下りできない」などの規制はあるはずと、一般の人は思っているでしょう。が、信じられないことに現在、日本では国家公務員の天下りに関して、事実上、規制はありません。

管理職以上の国家公務員は、再就職する場合には総理大臣に届け出る義務はあります。しかし、これは届け出るだけです。届け出た後、総理大臣から「これはマズいんじゃないか」「これはダメ」などの指示があるわけではありません。

また国家公務員は在職中に、関係企業に再就職を決めてもいいのです。その場合も、届け出を出せば何も問われないのです。だから財務省の官僚が、在職中に指導監督を行なっていた金融機関に対して、指導監督を行なっている間に再就職を決めても構わないことになっています。

つまり届け出の義務があっても、それは何の規制にもなっていないのです。そのため、財務省のキャリア官僚が、業務の直接関係する銀行や保険会社等に再就職するケースが非常に多いのです。

最近では財務省のトップである財務事務次官、財務官が外資系企業の投資会社や経営コンサルタント会社に天下りするという事例もありました。日本の国家機密を日本でもっとも持っている財務省のトップが、外資系の情報企業に天下りしているのですから世も末です。このことについては、『財務省の国家反逆罪』(かや書房)という本を来月発行する予定です。

この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう

メルマガ購読で活動を支援する

※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥330/月(税込)初月無料 毎月 1日・16日
月の途中でも全ての号が届きます

長者番付の廃止で「世間からの猛批判」の回避に成功

以前は、ここまで官僚の天下りは自由ではありませんでしたが、2007年に天下り規制が事実上撤廃されてしまったのです。

2007年以前にも官僚の天下りは行われていましたが、ある程度の規制はありました。それは、「退職後2年間は利害関係先への天下りは禁止」というものでした。

官僚OBというのは、退職後、時を経るごとに官庁に対する影響力がなくなります。官僚OBは、退職した直後は元の職場である官庁へかなり強い影響力を持っています。官庁の幹部たちは、自分の元部下であることが多いからです。

しかし、年月を経るごとにその影響力は落ちていきます。だから、天下りを受け入れる側としては、なるべく「退職した直後の官僚」を受け入れたいのです。退職した直後の官僚を受け入れれば、官庁に対して大きな影響力を持っているからです。退職して数年たった官僚よりも、退職した直後の官僚の方が、何倍も利用価値があるのです。

また官僚側も、退職して2年間は天下りできないとなれば、自分のもっとも売り時を逃すわけだから、都合が悪いのです。逆に言えば、この「退職後2年間は利害関係先への天下りは禁止」という規制は、ある程度、社会のためにはなっていたのです。企業が官僚OBを受け入れて、官庁と癒着するのを防ぐことができたからです。

もちろん天下りは全面禁止した方が社会のためにはいいのですが、「退職後2年間の天下りの禁止」だけでもそれなりの効果はあったのです。この「2年規制」が、2007年に撤廃されたのです。

この天下りの事実上の自由化により、財務省キャリア官僚たちは、天下り先が大幅に増え、報酬も激増したのです。報酬は数倍、数十倍に膨れ上がったものと見られます。

しかも、この財務省キャリア官僚たちの報酬激増は、「長者番付廃止」により隠蔽されることになりました。

長者番付(高額所得者公示制度)は、所得税の納税額が1,000万円以上の場合は、氏名が公示されるという制度ですが、天下りが解禁される前年に廃止されているのです。

もし長者番付制度が続いていれば、天下り官僚たちも当然公示されていたはずです。そして公示されれば、「天下り官僚がこんなに巨額の報酬を得ている」ということで、世間から猛批判を浴びたはずなのです。

しかし、ずる賢い官僚たちは、天下りが解禁される前年に、長者番付を廃止し、自分たちの報酬激増を巧妙に世間から隠したのです。

このことは、国民のほとんどは知りませんし、政治家やマスコミが追及することもありません。日本は本当に終わりそうなのです。

(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2025年11月1日号の一部抜粋です。「一人暮らしの高齢者は夫婦よりも年金が不足する」「書評『財務省と日銀・日本を衰退させたカルトの正体』植草一秀著・ビジネス社」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)

この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう

メルマガ購読で活動を支援する

※ワンクリックで簡単にお試し登録できます↑
¥330/月(税込)初月無料 毎月 1日・16日
月の途中でも全ての号が届きます

【ご案内】元国税調査官の大村大次郎氏が、事業者向けの専門記事をプラスした特別版」の有料メルマガを新創刊しました。さらに高度な情報をお楽しみください。

【関連】日本よ「こども家庭庁」をぶっ潰せ。知れば誰もが激怒する血税7.2兆円「中抜きし放題」の実態!省庁廃止で少子化が解決する理由(作家・元国税調査官 大村大次郎)

image by: xtremeLab / Shutterstock.com

大村大次郎この著者の記事一覧

元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 大村大次郎の本音で役に立つ税金情報 』

【著者】 大村大次郎 【月額】 初月無料!¥330(税込)/月 【発行周期】 毎月 1日・16日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け