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飛行機内「スタンディング席」登場に元CAも驚愕。私たちはどこまで「安さ」を求めるのか?

欧州のLCC(格安航空会社)が2026年の導入を予定している“スタンディング席”。空の旅は大きく進化しました。しかし、今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で、 ANAの元CAという経歴を持つ健康社会学者の河合薫さんは、LCCの台頭による深刻な問題について紹介しています。

空の「立ち見席」の代償は?

今回は欧州で話題になっている空の上の話をとりあげます。

「スタンディング席」です。

これはヨーロッパの格安航空会社が、2026年から導入予定の座席で、乗客は自転車のサドルほどのスペースの座面にまたがり、傾いた背もたれに上半身を預ける形で “ほぼ立って” 空を移動します。

スタンディング席の導入で、乗客定員を20%ほど増加させるのが可能となり、その分、航空券が安くなる見通しです。

また、標準的なエコノミーシートよりも重量が50%軽く、部品点数も少ないので“最小限のメンテナンスコスト”で済むとも報じられています。

シートは「スカイライダー2.0」と呼ばれ、すでに予備的な安全試験を受け、緊急着陸時の迅速な避難など、航空規制当局が義務付ける複数の要件をクリアしているそうです。

ただし、導入便は2時間以内の短いフライトに限定されます。

若い人たちはスタンディング席を好意的に受け止めているようですが、緊急時を不安視する声も多く、一方でスタンディング席の導入がオプション料金の高騰につながるとの懸念もあるなど、今後の動きが注目です。

ついにここまできてしまったか……と、いうのが率直な感想です。

個人的な話になりますが、私が空を飛んでいた1990年代は「コンコルド」が注目を集めていました。ニューヨークーロンドン間をたった約3時間半で結ぶ高速性が最大のウリ。コンコルドに乗務したくてエールフランスのCAに転職する人もいるほどの人気ぶりでした。

ですから、未来の飛行機は、コンコルドのような高速ジェットだらけになり、「NY日帰りが当たり前になる」と信じていたのです。

スタンディング席も然りです。時代はバブルでビジネス・ファーストクラスが常に満席で、「格安」という言葉も一般的ではありませんでした。

ところが、気がつけばLCCが世界の空を席巻し、スタンディング席が誕生! 全くの想定外の方向に時代がむかっていることに戸惑いしかありません。

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しかし一方で、LCCの台頭は、別の深刻な問題も引き起こしました。

パイロット不足です。

LCC(格安航空会社)の参入の拡大で、必要なパイロットの数が飛躍的に増大。パイロットの養成には年単位の期間と高額な費用がかかるため需要に供給がまったく追いついていません。

それに拍車をかけるのが、高額な学費や厳しい労働環境です。働き方の意識も変わり、パイロットに憧れる若者も減ってしまいました。

ボーイングなどの予測によると、2042年までに世界で63万人以上、特にアジア太平洋地域で新規パイロットが必要とされています。

日本国内でもパイロットの高齢化による「2030年問題」が以前から懸念されており、構造的な問題として対応が求められています。

航空会社や専門学校が、シミュレーターの導入や新たな訓練拠点の整備を積極的に行ったり、航空大学校や私立大学の航空学科など、自社養成以外の多様なパイロット養成ルートの定員増加や質の向上、外国人パイロットの登用など、さまざまな方面から対策が進められていますが、問題解決への道筋は混沌とした状態が続いています。

私たちが求める「格安」の代償は、座席の快適性だけでなく、安定した運航を支える「人」の確保にも及んでいる……とするなら、あるべき未来の空とはどういうものなのか?

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: beeboys / Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

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