アメリカによるベネズエラへの軍事侵攻に対し、すぐさまトランプ政権への批判的な姿勢を見せた先進各国。そんな中にあって高市首相は、だんまりを決め込むかのような態度に終止しているのが現状です。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、そのような高市氏のスタンスを厳しく非難。さらに首相の「沈黙」が我が国に招きかねない危機について考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:世界の真ん中で孤立する日本
言うべき時に物言わぬ高市。世界の真ん中で孤立する日本
日本維新の会のクズ議員どもの悪質極まりない「国保支払い逃れ問題」について書きまくろうと思ってたら、高市早苗がツッコミどころ満載の年頭所感を発表したので、こっちを先に取り上げようと思ったのも束の間、今度は複数の韓国メディアが「旧統一教会が選挙応援した日本の国会議員は自民党だけで290人に達する」と報道し、こりゃあ大変だとこっちにシフトしようとしたら、ドサクサに紛れて中部電力が浜岡原発の耐震設計審査で意図的にイカサマをしてたなどとシレッと発表したので、新年早々あたしの身体に松田優作さんの霊体が憑依して「なんじゃこりゃーーーー!!」と叫んだとたん、ドナルド・トランプがベネズエラを武力攻撃して、ニコラス・マドゥロ大統領と妻の身柄を拘束してアメリカに拉致した上で「ベネズエラはアメリカが運営する」などと抜かしたもんだから、あたしの開いた口から松田優作さんの霊体だけでなく、あたしのエクトプラズムまで流れ出て幽体離脱しちゃった今日この頃、皆さん、明けましておめでとうございます!
…そんなわけで、東京のお雑煮は具が小松菜だけのシンプルなスタイルなのに、世の中はあまりにも具だくさんな状態で、あたしはどこからお箸を付けたらいいのか分からなくなってしまいました。そして、そんなあたしが真っ先に心配したのが、口の軽すぎる高市早苗がまた余計なことを言って、国益を大きく損なうようなことにならないかという一点でした。
なんせこの人、昨年11月7日の党首討論では、言わなくてもいい「存立危機事態」発言を垂れ流して中国を激怒させ、今もなお日本の経済損失が続いており、その総額は5兆円を超えると言われているからです。そして、その舌の根も乾かないうちの「そんなことより」発言、どうしてこんなに口が軽いのでしょうか?
また、ドナルド・トランプが来日した時のハシャギっぷりにも呆れました。その上、あんな人物を「ノーベル平和賞に推薦いたします」って、はぁ?こんな軽率な人が今回もトランプと会うために訪米の根回しをしてたもんだから、あたしはトランプのベネズエラへの武力攻撃が報じられた時、高市早苗がイスラエルのネタニヤフのように「トランプ大統領の攻撃を支持します!」などと言わないかとハラハラしていたのです。
でも、サスガに今回は周りの官僚たちが高市早苗の良く滑る口にガムテープを貼ったようで、余計なことは言いませんでした。ま、本来なら、今こそベネズエラを「存立危機事態」に追い込んだトランプを真正面から批判して、平和を愛する日本のリーダーとして、国際社会に向けて「武力による現状変更は絶対に許されない!」と声高に主張すべきタイミングだったのですが、トランプがイランの核施設を空爆した時も見て見ぬふりをしてたような人ですから、何も期待などできませんでした。
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高市が見せたあからさまなダブルスタンダード
そもそもの話、まだ何もしてない中国のことは批判したのに、実際に他国に武力攻撃を行なった上に大統領を拉致したアメリカには何も言わないなんて、ここまでアカラサマなダブルスタンダードは前代未聞です。今回、トランプがやったことは、国際法に違反しているだけでなく、議会も通してないのですから国内法にも違反しており、プーチンによるウクライナ侵攻と同レベルか、それ以上の戦争犯罪なのです。
それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…というわけで、何も言えない早苗ちゃん。言わなくてもいい余計なことはペラペラしゃべって日本の国益を損ないまくるのに、どうして言うべきことを言わないのでしょうか?
中国やロシアや北朝鮮などのポジショントークはともかくとして、西側諸国でも、すでにイギリスのスターマー首相は「アメリカは国際法を遵守すべきだ」と非難しましたし、フランスのバロ外相も「マドゥロ大統領を拘束したアメリカの軍事作戦は国際法の武力不行使の原則に違反している」と非難しました。スペインのサンチェス首相も「アメリカによるマドゥロ大統領の拘束は国際法違反だ」と非難しましたし、イタリアのメローニ首相も、一定の理解は示しつつも「武力で体制転換を図るべきではない」と非難しました。
欧州連合(EU)としても、加盟27カ国のうちハンガリーを除く26カ国が「いかなる場合でも国際法と国連憲章を尊重しなければならない」という共同声明を発表して、アメリカがマドゥロ大統領を拘束した手法を批判し、トランプが主張する武力攻撃の正当性を否定しました。国連のアントニオ・グテレス事務総長も「国際法が尊重されず深く懸念する」と述べ、トランプの行為は国際法に違反していると指摘しました。
ザックリ数えて、世界の先進国の9割前後がトランプを批判して、自国の立ち位置を明確にしたのです。それなのに、自分だけダンマリを決め込み、日本の立ち位置を明確にしない高市早苗。いや、逆にこれは「日本はアメリカの属国です」「日本はトランプを支持します」と言っているのと同じことなのです。
ま、イスラエルのネタニヤフが「国境なき医師団」など計37団体のガザでの活動許可を取り消したことについても、まったく批判しなかった高市早苗ですから、ネタニヤフの飼主のトランプを批判できるわけはありません。しかし、いくら敗戦国とは言え、日本は主権を持った国家なのですから、これまで何度も繰り返して来た「武力による現状変更は絶対に許されない!」「国際法を順守すべき!」という主張をアメリカに向かって言うべきなのです。
今回、高市早苗は、周りからのアドバイスなのか自分の判断なのか知りませんが、「アメリカ」という固有名詞をいっさい出さずに、当たり障りのないことしか述べませんでした。トランプと揉めたくないのはどの国も同じだと思いますが、ここは遠回しでもいいから今回のアメリカの行為を批判しておかなければ、次に同じことを中国などが始めた時、日本は何も言えなくなってしまうのです。目先の揉めごとを回避するために、中長期的に日本を危険に晒すことが、果たして最善策と言えるのでしょうか?
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もはや国軍ではなくトランプの私設軍と化すアメリカ軍
高市早苗は昨年10月24日の所信表明演説で「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」などと、まるで安倍晋三が乗り移ったようなセリフを述べました。でも、本当にそう思っているのなら、今こそドナルド・トランプという「世界のジャイアン」に対して「言うべきこと」を言う時なのではないでしょうか?
高市早苗は今年1月1日の年頭所感で「世界を見渡せば、我々が慣れ親しんできた自由で開かれた国際秩序は揺らぎ、覇権主義的な動きが強まるとともに、政治・経済の不確実性が高まっています」などと危機感を煽りました。でも、本当にそう思っているのなら、今こそ国際秩序を揺るがしているトランプ本人に、覇権主義的な動きを強めているトランプ本人に対して「言うべきこと」を言う時なのではないでしょうか?
国際法を無視し、議会も通さず、大統領が独断で他国を武力攻撃し、民間人を何十人も虐殺した上に相手国の大統領を拉致するなど、こんな無秩序な蛮行が許されるわけありません。たとえマドゥロ大統領が悪の限りを尽くした大犯罪者であったとしても、アメリカの武力介入を正当化することなど絶対にできないのです。そして、こんなデタラメがまかり通っても何も言えない高市早苗には、一国のリーダーとしての資格などありません。
日本はアメリカの属国なので、日本のマスコミはトランプの戦争犯罪の正当化のために、ベネズエラの多くの人々がマドゥロ大統領の強制連行を喜んでいるかのような捏造報道に加担しています。そして、リテラシーの欠落した一部の日本人は、そうした印象操作の報道を鵜呑みにしています。現地の報道を見ているあたしとしては、あまりのおめでたさに溜息しか出ませんが、マドゥロ大統領に批判的だったベネズエラの人々の大半は、アメリカによる覇権的支配にも批判的なのです。
最初は「麻薬」「麻薬」と騒いでいたトランプも、今ではベネズエラの石油が目当てだったと言い始め、当初の「麻薬」は武力攻撃のための口実だったことが分かりました。結局、中国とのG2を目指してモンロー主義に突き進むトランプは、ベネズエラの石油が欲しかっただけで、ベネズエラの民主化など興味なかったのです。そして、トランプは現地時間4日、次なる標的として、コロンビア、キューバ、イランを名指しして警告を発しました。
記者から「コロンビアにも軍事作戦を実行するのか?」と質問されたトランプは「それは良い考えだ」と答え、キューバについては「キューバは放っておいても崩壊するだろう」と述べました。大規模な反政府デモが激化しているイランについては「政府がデモ参加者を弾圧して殺害すれば、彼らは非常に強い打撃を受けることになるだろう」と述べ、イランのハメネイ最高指導者を間接的に脅迫したのです。
アメリカ軍はすでにイランの核施設を空爆しているので、次もまた国際法を無視し、議会も通さず、トランプは独断で武力攻撃を行なうでしょう。こうなって来ると、もはやアメリカ軍は国軍ではなくトランプの私設軍です。それでも高市早苗は、トランプを批判するどころか「ノーベル平和賞」に推薦し続けるのでしょう。しかし、このまま高市早苗がトランプのコシギンチャクを続けていたら「世界の真ん中で咲き誇る日本」どころか「世界の真ん中で孤立する日本」になってしまうのではないかと、あたしは危惧しているのです。
(『きっこのメルマガ』2026年1月7日号より一部抜粋・文中敬称略)
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