イランで続く経済悪化を背景に、反政府抗議活動が再び全国規模へと拡大しています。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、1月10日付のニューヨーク・タイムズの記事を抜粋し、イラン国内で何が起きているのか、そして米国やイスラエルといった周辺国の動きが、この不安定な状況にどのような影響を及ぼし得るのかを整理しています。
イラン、激化する反政府活動
イランで経済悪化への不満から抗議が始まり全国に広がっています。
矛先は、イスラム聖職者による指導体制にも矛先を向けられています。呼応して亡命中の元皇太子レザ・パフラヴィーの1月8日に一斉抗議を呼びかけました。
彼は、1979年のイラン革命により王制が崩壊して以降、亡命先からイランの民主化を訴え続けている人物です。
ご紹介するのはニューヨークタイムズ紙1月10日の記事です。
記事抜粋
12月28日に始まった抗議活動は、イラン全31州に広がった。
クルド人組織がストライキを宣言し、元皇太子レザ・パフラヴィーがイラン人に対し街頭へ出るよう呼びかけた後、抗議は激化した。
今回の引き金は、ドルに対するイラン・リアルの暴落だった。しかし核心的な不満は政府の失政、汚職、弾圧である。
新たな要素は、イランの脆弱性の深化だ。
6月のイスラエルとの12日間に及ぶ戦争は、イスラエルの浸透で腐敗した治安機関を露呈し、自国の空域すら守れない「張り子のトラ」たる体制の実態を晒した。
この脆弱性は、家計が成り立たない家庭、資源豊富な国での停電、首都の水不足の可能性によってさらに悪化している。
解説
イランの反政府デモ、深刻のようです。
イラン政府は全国的なインターネット遮断・SNS制限を実施し、外部への情報流出を遮断しています。しかしそれがますます反発を招いている様です。
こうした局面で、トランプ大統領はイランに向けて一連の発言をはじめています。
「米国は準備万端で待機中だ」と述べ、つづいてには「イランの抗議者が殺害された場合、米国から非常に厳しい打撃を受けるだろう」と発信しています。
大統領はまた「イランを再び偉大に」とサインされた野球帽をかぶった写真に写り、「現イラン政権がイランを再び偉大にできないなら、政権が変わるべきだ !」とも発信しています。
ベネズエラへの電撃作戦が成功した今、このトランプ大統領の発信はイランの指導者、民衆ともに強い影響力をもつでしょう。
しかし、ベネズエラの電撃作成と違って、米国政府側にイランの体制変化への十分な準備ができているとは思えません。
事前プランなく、イランの状況に応じて、その場その場で手を打つような形になるでしょう。
普通の指導者では決断できないでしょうが、トランプ大統領は良かれ悪しかれ決断できます。
それで現在は、イランの国内情勢とトランプ大統領の決断ばかりが注目されていますが、実際はイランの長年の宿敵であるイスラエルが鍵を握るでしょう。
間違いなくトランプ大統領の決断に強い影響力をもつからです。そしてイランの政権転換はイスラエルの悲願だからです。
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