イランによるミサイル攻撃の激化を受け、防空能力の限界が指摘されるイスラエル。都市インフラへの深刻な被害も伝えられていますが、今後の戦局はどのように展開していくのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、米国とイランの停戦交渉の行き詰まりや中東全体に拡大する軍事衝突の現在地を分析。その上で、イスラエルを取り巻く環境の急激な変化と、長期戦がもたらす国際秩序への影響について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:イスラエルの崩壊
廃墟と化したテルアビブ。ついに迎えるイスラエルの崩壊
イスラエルは防空ミサイルの枯渇により、イランの超高速ミサイルを防御できずにテルアビブなどの都市が崩壊。発電所も空港も破壊されている。ユダヤ協会はギリシャの島を買い、そこにイスラエルから退避させようとしている。この状況と今後を検討する。
米国はイランとの交渉を行うとして、停戦条件として、イランに以下の6つことを求めた。
- ミサイル計画を5年間停止すること
- ウラン濃縮を完全に停止し、濃縮レベルをゼロにすること
- ナタンツ、エスファハーン、フォルドゥにある損傷した原子炉を停止すること
- 遠心分離機および核施設に対する厳格な国際監視を受け入れること
- 地域的な軍備管理の制限を受け入れ、ミサイル数を最大1,000に制限すること
- ヒズボラ、フーシ派、ハマスを含む代理勢力への資金提供をすべて停止すること
もし、48時間に受け入れないなら、次の攻撃をするとした。
- 電力供給が全土で遮断
- 水処理施設・ポンプが機能停止
- 病院・緊急サービスも非常用電源頼みに
- 冷蔵・輸送の崩壊で食料供給にも支障
- 経済活動は急停止、特に大都市は壊滅的な状況に
この48時間以内は5日間に延期され、現在は4月9日までの延期となっているが、3月27日にイスラエルは、イランのインフラ攻撃を行ってしまった。
対して、イランが米国との停戦に向けた要求事項を発表した。
- 戦時損失の補償
- ホルムズ海峡の正式な管理権
- 弾道ミサイル計画に対する制限なし
- 将来の軍事行動に対する保証
ということで、全然、要求項目が違い過ぎている。イランは長期戦を視野に戦い、トランプ氏は短期戦にしたいのである。
トランプ氏は、イランとの交渉と同時に、第82空挺師団から3,000人を中東に送り、すでに7,000人の海兵隊を送っているので、動員される精鋭部隊の推定総数(米国+イスラエル):8,000~12,000人の兵士および要員で、イスラエルは約2,000~3,000名で、米国は約6,000~9,000名となるようだ。
しかし、イランはクウェートのブビヤン島の米軍・イスラエル軍基地をドローンとミサイルで攻撃したとイラン革命防衛隊はいう。
その後、サウジのプリンス・スルタン基地が直撃され、「E-3 セントリー(AWACS)」が損傷し、2機のKC-135空中給油機も損傷し、米兵12名が負傷し、うち2名が重傷という。
これが原因かどうか、米軍の派遣海兵隊で緊急の良心的兵役拒否の申請が多数提出されているという。トランプ氏の戦争を拒否する海兵隊がいることになる。
この要員でカーグ島やホルムズ海峡のララク島、ゲシュム島、もしくはそれ以外の小さい島を占拠するというが、海兵隊員の士気が上がらないために、トランプ氏は、イランへの地上攻撃を直ちに計画しているわけではないとした。
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中東全域に拡大する参戦の連鎖と陣営再編の現実
これに対して、イランは12歳の子供も徴兵して、米軍の上陸作戦に備えるし、米国との交渉相手とされるイラン国会議長モハンマド・バゲル・ガリバフは、「いくつかの情報報告に基づけば、イランの敵は地域のある国の支援を受け、イランの島の一つを占領する準備を進めている。我々の部隊は敵のあらゆる動きを監視しており、もし一歩でも踏み出せば、その地域の国の重要インフラすべてが、容赦なく絶え間ない攻撃の対象となるだろう」とした。
しかも、イラン国営テレビは「もし米国が誤った行動を取れば、イラン軍はUAEおよびバーレーンの沿岸を掌握し、地域の構図を作り替える用意がある」という。
地域の重要なインフラは、湾岸諸国の淡水化装置であり、これを破壊されると生活ができなくなる。バーレーンの工業地帯が爆撃されているので、淡水化装置も破壊された可能性がある。
このため、カタールは米軍基地を閉鎖して、中立化すると宣言し、UAEとバーレーンは米軍とともに、イランへの攻撃に参加するとしたが、UAEはイランによるアブダビ経済圏への攻撃で外交で解決すべきとトーンダウンした。
サウジは、ウクライナと安全保障協定を結び、迎撃ドローンを導入するようである。サウジは多額の報酬をウクライナに払い、その費用でウクライナは、対ロ戦争の経費にするようである。
続いて、UAEとカタールもウクライナと安全保障協定を結び、多額の報酬を支払うようだ。ウクライナが中東に出てきた。ウクライナ戦争とイラン戦争は一体のものになった。湾岸諸国は米国ではなく、ウクライナを頼ったことになる。
イラクは、米国とイスラエルによる攻撃への反撃を正式に宣言して、イランに同調しているし、イエメンのフーシ派も参戦して、イスラエルにミサイルを発射した。
トルコもイスラエルと断交し、湾岸アラブ諸国に、イスラエルの味方をしてイラン攻撃をしてはならないと自制を求めている。そして、パキスタン、サウジアラビア、トルコ、エジプトが4カ国協議で、イラン戦争の対応を協議している。
これでイスラエルは、東からはイラン、北からはヒズボラ、南からはフーシ派のミサイルが飛んでくることになり、迎撃ミサイル発射装置を3方向に向けておく必要になり、その分迎撃ミサイルの消耗も大きくなる。
インドとマレーシアは、イランと協議して味方認定をされ、ホルムズ海峡の通過を許可されている。中国とロシアはイランの味方であり、徐々にエゼキエル書の様相に近くなってきたようだ。
それ以上に、原油不足になっている東南アジア諸国は、イランとの協議を開始している。味方認定を受けてホルムズ海峡を通過できる必要があるので、イランの味方は増えることになる。
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「防空崩壊」で露呈するイスラエル軍の限界と戦局転換
イスラエルのテルアビブには、イランのミサイルが多数飛んできて、その25%が目標に着弾しているという。イスラエル軍も超高速ミサイルを撃ち落せていないし、防空ミサイルが枯渇して、1世代前の防空ミサイルを使っているので、精度が悪いことが原因という。
イランも長期戦を見て、超高速ミサイルの使用を制限して、普通のミサイルで攻撃している。しかし、改良型「セジル」ミサイルは、重量約25トン、100-200kg級の弾頭を4基搭載するミサイルを使用して、テルアビブはメチャクチャになったようだ。
現在、イランは1日あたり約30-40発のミサイルと50-100機のドローンを発射しているという。これに対して、イスラエル軍は最新防空ミサイルは、重要施設への攻撃に対して使用している模様である。
このため、テルアビブの街がガザ化しているという。避難所からテルアビブ市民は出られないし、水道も電気もない状態になっている。
もう1つ、防空ミサイルの枯渇で、ヒズボラのロケット弾への対応もできなくなり、ロケット弾がイスラエルに到達するリタニ川以南のレバノン南部の占拠を目指して、レバノン侵攻を開始した。
しかし、イスラエルが誇るメルカバ戦車が、自爆ドローンで攻撃されて、ヒズボラがわずか15日間で100両以上の先進型メルカバ戦車を破壊したという。イスラエル軍参謀総長ザミルは「兵士たちは持ち場を放棄し制服を脱ぎ捨てて、軍は崩壊している」という。状況は衝撃的な速さで、イスラエル軍が崩壊しているようだ。
ウクライナ戦争で装甲車の脆弱性を示していたが、その状況をイスラエル軍は見ていないようである。ドローンによる戦術の変化が起きているが、イスラエルは、対応をしていなかったようだ。
このため、イスラエル北部の街は、ロケット弾で建物が壊滅して廃墟になったと市長が嘆いている。このような状態になり、イスラエル国民の大量国外脱出が始まっている。イスラエルの負けが確定し、亡国の危機になっている。
そして、ユダヤ人協会はイスラエル国民の避難場所を確保する必要になっている。このため、ギリシャのエーゲ海の島を確保しようと動きだしている。イスラエルの主権を主張する可能性があり、ギリシャ政府は困惑している。
イスラエルは、核兵器使用も視野に入れ始めたが、ロシアのプーチンが、イランに核兵器を使用したら、ロシアはイスラエルに核攻撃をすると脅している。核戦争の予兆が出てきた。
米軍とイスラエル軍は、大きな爆撃でもイランのミサイルの30%程度しか破壊できていないという。まだ、相当な量のミサイルがあることになる。
トランプ氏は、このままイラン戦争が続いたら、中間選挙で負けるが、イランのテロ攻撃をでっち上げて、陸上作戦を行い、非常事態宣言を出し、中間選挙をしない可能性もある。大きな犠牲を伴うテロが起こると、タッカー・カールソン氏は警告している。
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危機管理の欠如が招く日本の試練と次世代国家構想
国民の生活防衛策として、ガソリン価格の引き下げを行っているが、長期に原油が入らないことも考えて、国民に節約をお願いするととも、200円程度に価格を引き上げる必要がある。そうしないと、国民の危機感が出てこない。
それと、秋口には、食糧危機が起きることが予想できる。今から秋に向けて、食料の備蓄も国民にお願いする必要があり、危機感が重要なことになっている。高市首相は、国民の危機意識を感じさせないようにしているが、それが一番問題である。
そして、日本は、次の時代の準備をする必要がある。どう、世界秩序を守り、平和な世界にするのかを真剣に考える時である。
空母+戦闘機と戦車の時代は終わり、レールガン(ビーム)+レーザー+ドローンの時代が来ている。その先端を走るのは、日本とウクライナである。この2ケ国が次の時代を切り開くことになる。
日月神示では一二三(米露中)の仕組から三四五(中欧日)の仕組になり、次に五六七(日ウ?)の仕組となるという。徐々にその仕組が見え始めてきている。2030年ごろには次の時代がおぼろげながら見えてくるように思う。
「?」は、イランや韓国などの可能性がある。まだわからないが軍事技術で世界を指導できる国が出てくることになる。米国は衰退がはじまるし、覇権国ではなくなる。
日本は「他者への配慮」を中心とした国際的な仕組みを確立することで世界を平和にすることである。
このため、日本は、次の時代の政治思想を作り、その中心に日本が立つ必要がある。各国の貧富の差を縮小させて、国内不和を助長せず、皆が中流だと思える社会にして、他者に配慮できる社会を作ることである。その思想を作るしかない。日本はアニメなどで、その文化をすでに広めている。
それと、イスラエルが困っているので、手を差し伸べる必要がある。彼らの逃げ場所を日本に作り、歓迎することである。ユダヤ人は、米国でも除け者にされる可能性が高い。
この人たちを、ニセコより雪質の良い北海道の宗谷地域に移住させることである。ユダヤ人協会が資金を出し街を整備するから、それほどには、日本の資金は必要がない。その地域に自治政府を作ることを要望するはずであり、それをどうするのかは話し合いになるはずだ。
どちらにしても、イスラエルがパレスチナ地域にいると紛争が絶えないことになる。日本にくることは、天国に来ることと同じであると思わせることで、ヨハネの黙示録を完了させることだと思う。
この準備が必要でもある。日本は天国だという神話を作り、その天国に行けることを喜んでもらう必要がある。
(『国際戦略コラム有料版』2026年3月30日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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