日本の製造業の競争力を支えてきたのが、熟練技術者の経験やノウハウの蓄積です。しかし近年、AIの進化が設計や開発の現場にも急速に浸透し始めています。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、、日本が強みとしてきた先端製造技術の一角で起きている変化と、その先に見える産業構造の転換について香港の新聞を引きながら考察しています。
日本が誇る先端技術の試練
日本の先端技術の話。
日本の雇用を生み出している技術製品で競争力があるのは、自動車、工作機械、半導体製造装置等です。
精密加工、材料技術、品質管理の総合力が試されるからです。
これを象徴する部品としてベアリングがあります。
機械の動作にかかせない回転を、摩擦を小さくすることでスムーズにする部品です。
見た目は単純ですが、実際には超精密部品です。真円度、表面粗さ、熱処理技術、特殊鋼材、潤滑技術などが求められます。
そして今、世界のトップメーカーの半数を日本企業が占めています。
日本の強さの根源です。
その日本の基盤技術を揺るがす話が香港サウスチャイナモーニングポスト5月27日に掲載されていました。ご紹介しましょう。
記事抜粋
先月、中国の防衛工学誌に掲載された記事に「ベアリング設計AIエージェント」を開発した経緯が説明されている。
高度な機械用ベアリングを自律的に設計できるものだ。
従来、ベアリングの設計は、経験豊富なエンジニアへの依存度が高く、長期間にわたる試行錯誤のプロセスや、高温、高負荷、高速回転といった過酷な条件下での高コストな試験に大きく依存していた。
従来と比較して、ベアリング設計AIエージェントは設計時間を2~3時間から3分未満に大幅に短縮し、ベアリングの総重量を4%以上削減する。
研究チームは、このベアリングが「ヘリコプターのテールローター用ギアボックス、風力タービンのギアボックス、電気自動車のドライブトレイン」で試験されたと記している。
この研究の意義は、ベアリングそのものをはるかに超えている。
解説
説明の必要もありません。
そもそも日本が誇ってきた経験豊富なエンジニアは高齢化で減少しています。
それに対して、中国はすでに世界最大の製造拠点であり、広範な産業サプライチェーン、そして膨大な数のエンジニアリング人材を擁しています。
加えて、本記事のような設計AIエージェントが増えてくのは必然です。
日本の熟練技術のノウハウとチームワークの価値が一瞬でなくなります。
このままでは、先端製造技術の分野でも日中の逆転は想像以上に早く進むでしょう。
日本国内の雇用のみならず世界のパワーバランスにも大きな影響を与えます。
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