クレジットカード決済代行会社、全東信の破綻が波紋を広げています。20年近くにわたり粉飾決算を続けてきたとされ、飲食店や夜の店などの加盟店は売掛金が飛ぶなど大混乱に陥る一方、関係者は鮮やかに姿を消しました。『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、著者で作家の冷泉彰彦さんが、この破綻劇に潜む債務超過の謎、あまりにも整いすぎた計画倒産の実態、そして大手カード会社や金融機関の対応という3つの疑問を、鋭い視点で読み解いていきます。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
全東信破産のドラマ、3つの疑問。債務超過はどこから来たのか
クレジットカード決済代行会社、全東信(大阪市中央区)の破綻には驚きました。同時に非常に根深い3つの疑問を感じます。
1つ目は、債務超過の問題です。債務超過をしておきながら、粉飾決算を20年近く続けてきたらしいのですが、その債務超過がどうして起きたのか、3つに分けて考えてみたいと思います。
a)名義貸しがバレてメガバンクが逃げ、更に高金利のダメージを受けて逆ザヤが膨張した以降のマイナス
b)それ以前の平常運転状態での収支がマイナスだったのかどうか
c)そもそも株式会社化した時点で資産不足だったのか
今のところは不明ですが、b)がマイナスだったという場合は、金利差で稼げていなかったのか、あるいは日常的に誰かがカネを抜いていたかということになります。
更にc)に関しては、そもそも健全な資本があって株式会社にしたのか、それとも怪しい状態で設立当初から帳簿はインチキだったのか、ここが注目されます。最初から逆ザヤで、最初から債務超過体質だったとして、最初から粉飾ありきだったとしたら、その動機も気になります。
絶対にバレない自信があったのかもしれませんが、そうではなくて、仮に最初から粉飾ありきだったのであれば、もっと合理的な理由が必要です。荒唐無稽かもしれませんが、怪しい国家とか犯罪集団の絡んだ広義のマネロン組織だった可能性は排除できません。
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鮮やかすぎる計画倒産
2つ目は、ミエミエの計画倒産だったということです。破産宣告の際には、管財人が決まっていて、関係者は全員トンズラしており、余りにも鮮やか過ぎます。貸している銀行も平然と損金処理したり、混乱が少な過ぎます。加盟店側がクレカ端末が使えなくなり、売掛金が飛ぶなど大混乱となっているのとは、あまりにもコントラストがひど過ぎます。
これはいずれ明らかになると思いますが、契約には色々あって、1月遅れの支払で良い優良顧客から、5日単位の入金が必要なアップアップの顧客もいたようです。そんな中で、売掛金の入金のタイミング(サイクル)を考えると、一番被害額が膨張するタイミングで飛んだのかは気になります。
一方で、融資のサイクルも気になります。与信枠設定がされていて、その範囲内なら自動的に貸し借りしていたようですが、その返済のタイミングは各銀行間で巧妙にズラしてあったはずです。そんな中で、どうしてあのタイミングで飛んだのか、これも気になります。特に関係者、特に大口融資していた信組などとの関係が気になります。キャッシュの流れ、飛んだ際のダメージの波及、関係者のトンズラ幇助など、疑問は沢山あります。
見抜けなかった大手の責任
3点目は、大手の関係者です。VISAやJCBなどは、払う側で一種の被害者ですが、少なくとも末端の契約者(レストランやバーなど)もカードの加盟店であり、権利義務はあるはずです。という中で、これだけ大規模な逆ザヤが発生していて見抜けなかったというのは、非常に問題だと思います。
銀行の関係もそうで、粉飾の手口について、報道されている内容が正しければ極めてお粗末です。預金残高のインチキとか、帳簿のいい加減な計上とか、どれも初歩的なテクニックであり、ここまでアッサリ騙されていたとなると、金融機関としてヒド過ぎると思います。
ちなみに、メガバンク、特に三菱UFJさんと、三井住友は逃げ足が速かったと話題になっていますが、これは名義貸し問題がコンプラに抵触しただけで、別に目利きがいたとかそういう問題ではないと思います。反対に、地銀とか信金に関しては、コンプラなど無視で貸し続けていたわけで、お粗末な限りです。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2026年7月14日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。メイン・コンテンツ「USAレポート」の「AI時代の教育改革を考える」、人気連載「フラッシュバック81」もすぐに読めます。
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