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お話にならない国民民主の減税案と参政党の悪質デマ。食料品減税案を“親の仇”のように攻撃する2党に促したい猛省

物価高が家計を圧迫する中、大きな議論を呼んでいる食料品の消費税減税。低所得者への恩恵が乏しいとの批判も聞かれますが、果たして本当に「効果がない」政策なのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、エンゲル係数や収入に対する負担軽減率をもとに、食料品減税が低所得者にもたらすメリットを分析。さらに参政党や国民民主党が掲げる消費税の一律減税案と比較しつつ、「高市案」が格差是正の第一歩になり得る理由を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:食料品減税は格差解消の突破口になる!

デマやウソに騙されるな。食料品減税は格差解消の突破口になる!

高市首相が、消費税の食料品減税を決定して以来、野党や新聞テレビは「食料品減税は効果がない」「愚策だ」などとバッシングの嵐であり、与党からも反対の声が上がっています。

なので、今回本当に食料品減税が効果がないのか、愚策なのか?検証しておきたいと思います。

日本のエンゲル係数は、昨今、急激に上昇しており現在は28.6%になっています。日本人の収入の約3割は、食費に充てられているということです。

このエンゲル係数は、所得が低い人ほど高くなることが知られています。だから、所得が低い人の場合は、エンゲル係数が50%に近い人も多いのです。

普通に考えて、そんな中で食料品だけでも消費税が実質ゼロになればかなり助かるはずです。

食料品減税に反対している河野太郎氏などは、「食料品減税は高額所得者の方が減税額が大きい」などと述べていますが、これは「実額」の話です。「収入に対する負担の軽減率」を見るならば、低所得者ほど大きな恩恵を受けるのです。

たとえば、エンゲル係数が50%の低所得者の場合は、ざっくり言えば、収入の4%を食料品の消費税に取られていた計算になります。食料品の消費税がゼロになれば、収入が4%上がるのと同じなわけです。

そして、エンゲル係数が5%の高額所得者の場合、ざっくり言えば、食料品の消費税は収入の0.4%にしかなりません。ということは、食料品の消費税がゼロになっても、収入は0.4%しか増えないことになります。

つまりは「負担感の軽減」「お得感」で言えば低所得者の方が、恩恵がはるかに大きいのです。

河野太郎氏などが言っているのは、減税の実額の話です。高額所得者の方が高いものを食べているので、食費自体は低所得者よりも高くなります。だから、減税額自体は高額所得者の方が大きいことになります。

たとえば、年収2,000万円の人は食費に160万円くらいはかけているかもしれません。だから、減税額は12万8,000円となります。一方、年収300万円の人が食費に90万円掛けていた場合は、減税額は7万2,000円になる。

だから、年収2,000万円の人の方が「減税額自体」は大きくなります。それは、もともとの収入、消費額が大きいのだから、そうなるのは当たり前です。

しかし、「減税率」「還元率」を見るならば、年収が低い人の方がはるかに恩恵が大きいのです。

日本は消費税に限らず、この3~40年、中間層以下の税負担率を上げ、高額所得者の税負担率を下げてきました。これが日本が格差社会になった原因の一つです。

格差を是正するには、中間層以下の税負担率を下げ、高額所得者の税負担率を上げていかなくてはなりません。その第一歩として、食料品減税は打ってつけといえるのです。

食料品減税のような、「年収の低い人の負担が軽くなる減税」を増やしていき、「年収が高い人の負担が大きい増税」を増やしていけば、格差は解消に向かうのです。

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「消費税」という世界で「最も雑」で「最悪」な税金

今後は食料品だけではなく、生活必需品の消費税もゼロにする。そうすれば、収入のほとんどが生活費に消える低所得者にとって、消費税はほぼゼロに近いものになります。

その代わりに、生活に必要のない贅沢品の税率を上げるのです。

たとえば消費税が導入されるときに廃止された物品税という税金がありました。物品税というのは、宝飾品、ブランド品、自動車などに課せられていた税金です。これらの贅沢品の税率を上げれば、生活必需品の減税分くらいは簡単に賄えるのです。

そして、宝飾品、ブランド品、自動車などは、高額所得者ほど消費する機会も額も大きいものです。だから、贅沢品の税率を上げるということは、高額所得者の負担を増やすという事でもあるのです。

そもそも、生活必需品の課税を少なくし、贅沢品の税率は高くするというのは、世界中の国々が普通に行っていることです。

このメルマガでも何度も触れましたが、日本の消費税のように、ダイヤモンドにも生活必需品にも同じ税率を課す税金というのが稀なのです。消費税は世界でもっとも雑な、世界最悪の税金なのです。

日本が格差社会と言われるようになったのも、消費税導入以降のことであり、消費税が格差拡大に大きな影響を与えていることは間違いないのです。

現在の日本は、先進国の中でも最悪レベルの格差社会となっています。相対的貧困率は、OECDの30数カ国の中で下から5~6位です。

相対的貧困率というのは、その国民の平均所得の半分以下しか収入を得ていない人たちがどのくらいいるかという割合です。たとえば国民の平均所得が500万円の場合は、250万円以下で生活している人がどのくらいの割合で存在するか、という数値です。

相対的貧困率は、そのまま貧困者がどれだけいるかという数値ではありません。相対的な貧困率なので、その国の平均所得の多寡によって貧困具合は変わってきます。が、「どれだけ格差が大きいか」ということを知る上では重要な指標となります。

また、日本の場合、昨今、国民の平均所得はOECDの中でも下のように属するので、相対的貧困率が低いということは、絶対的貧困率もかなり低いということになります。つまりは、貧困層が急激に増えているということです。

日本より相対的貧困率が高い国は、紛争が絶えないイスラエルや、たくさんの民族が共存している他民族国家ばかりです。多民族社会というのは、どうしても貧富の差が生まれやすいものです。先に住んでいた民族や経済力のある民族と、後からきた民族などでは経済格差があるのは当たり前だからです。日本のように、ほとんど単一民族でこれほど貧富の差が激しい国というのは稀です。

かつての日本はそうではありませんでした。90年代までの日本は、一億総中流とも言われ、「貧しい人がない社会」をほぼ実現していたののです。

しかし90年代から坂道を転がり落ちるように、格差が広がり、現在では世界でも有数の激しい格差社会となりました。そして消費税は1989年に導入されたものなのです。消費税に格差を広げる作用があることは前々から指摘されており、これは決して偶然ではないのです。

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「複数の税率は逆効果」という詭弁

消費税の食料品減税に反対する意見の中には、「商品によって税率が変われば事業者の負担が増えたり、消費者が混乱するので逆効果」「税率は一律の方が絶対がいい」などというものもあります。しかし、これもまったくの詭弁です。

消費税が導入される前に日本で施行されていた「物品税」では、5%、10%、15%、20%、30%、40%と6段階に税率が設定され、物品によってはさらに細かい税率となっていました。

それでも、事業者は普通に商売をしていたし、消費者が混乱することもありませんでした。戦後復興、高度成長期を通じて、物品税は普通の稼働していたし、物品税のある時代には「格差社会」ではなかったのです。

また消費税を導入している世界中のほとんどの国で、生活必需品や食料品の税率は低く設定するなど、複数税率を採用しています。ダイヤモンドにも生活必需品にも同じ税率を課している日本の消費税の方が絶対におかしいのです。

参政党、国民民主党の減税案こそ欠陥だらけ

ところで、消費税の食料品減税に関しては、消費税減税を主張していた野党たちも猛反対しています。特に、参政党、国民民主党の攻撃は凄まじく、参政党の神谷代表などは、食料品減税のことを「天下の愚策」などと述べて、激しく批判しています。

同じ消費税減税派なのに、方法が違うだけでここまで反対するのか?と疑問を持つ人も多いはずです。同じ消費税減税という目的を持っているのだから、協力し合った方が絶対に国民のためになるはずです。しかし、彼らは協力するどころか、まるで食料品減税案を親の仇のように攻撃しています。

これについては、参政党、国民民主党などの野党は、明らかに党利党略でしか物を言っていないといえます。彼らは、自分たちが先に消費税減税を主張していましたが、最終的に、高市首相が先にこれを実現しそうになっているために、見苦しくも必死に足を引っ張っているだけなのです。

これまで筆者は、参政党や国民民主党には、それなりに期待していました。参政党はコロナワクチン被害の追及や被害者の救済を、日本の政党の中で唯一明確に打ち出しているし、国民民主党は「年収の壁」を壊すなど国民生活に寄り添った政策をしてくれる政党だと思われたからです。

しかし、消費税論争に限っては、この2党の見苦しさ情けなさは目に余るものがあります。

参政党、国民民主党は、「食料品減税を行なえば飲食店が打撃を受ける」などと言っていますが、これは明らかに取ってつけた話です。

以前も触れましたが、コロナ禍以降、飲食店は未曽有の不景気に見舞われており、倒産件数も過去最高を何度も更新しています。そのことについて、参政党、国民民主党が救済に動いたようなことは一切ありません。にもかかわらず、食料品減税の微々たる影響を針小棒大に喧伝しているのです。

現在の消費税は世界最悪の税金であり、どんな形でも少しでも減税が実現するのであれば、筆者は賛成の意を持っていました。だから、参政党、国民民主党の消費税一律5%案にも、それが実現できるのであればそれでもいいという発言をしてきた。

が、参政党、国民民主党の「食料品減税」に対する「あら探し」があまりにひどいので、ここで彼らの減税案の欠陥について明確に指摘しておきたいと思います。

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消費税の「逆進性」はむしろ現在よりも大きくなる参政党案

参政党や国民民主党は、「食料品減税」に関して、小さな穴を必死に見つけては、仰々しく批判してきたが、彼らの案の方の方がよほど大きな穴が開いているのです。

参政党の主張する一律5%減税案というのは、実は欠陥だらけです。というのも、まず消費税を一律5%にすれば、10兆円以上の減収となります。減収が5兆円で済む食料品減税と比べて倍のコストがかかるのです。そこでまず大きなハードルがあります。

そして消費税を一律5%にするということは、贅沢品を含む食料品以外の消費は5%の減税になりますが、食料品の減税は3%しかされないということになります。

何度も触れましたが、低所得者にとって一番大きい支出は食費であり、支出の5割近くを占める人も多いのです。

5%減税案であれば、食料品の減税率は8%から5%になるわけなので、わずか3%の減税に過ぎません。食料品が今より3%安くなったとして、生活において「減税」を感じることができるでしょうか?

そして贅沢品を含む食料品以外の商品は5%の減税になります。食料品以外の商品の消費割合は、所得が高くなるほど高くなるので、高額所得者ほどその恩恵が大きくなるのです。ダイヤモンドにも生鮮食料品にも同じ税率5%ということなり、消費税の「逆進性」はむしろ現在よりも大きくなります。

消費税の最大の欠点というのは、「収入における消費割合が高い」低所得者ほど負担が大きくなる「逆進税」ということです。

何度も繰り返しますが、日本の生活必需品にも、贅沢品にも同じ税率を課されており、低所得者に対する配慮がまったくないのです。

食料品とほかの消費の税率に格差を設ければ、この逆進性は緩和されることになります。が、一律5%の減税では逆進性の緩和にはまったくつながらないのです。一律5%減税案は、消費税の最大の欠陥「逆進性」を是正する効果はまったくないのです。

食料品減税案では、高額所得者の方が減税額自体は大きいけれど、負担割合の軽減は低所得者の方が大きくなるということを前述しました。が、一律5%案では高額所得者の方が減税額も大きく負担割合の軽減も大きくなるのです。

食料品減税案と一律5%減税案の比較

●税収コスト

●低所得者にとっての割安感

●格差の解消

●事業者の手間

国民民主党の減税案はお話にならない

また国民民主党は「税収が10兆円も減るので、実現性が低い」という批判にこたえたつもりなのか、「一律8%減税案」というものを持ち出してきました。この一律8%減税案というのは、参政党の案よりもさらに矛盾だらけで、お話にならないというレベルなのです。

一律8%であれば、税収のコスト自体は6兆円で済みます。しかし、この案では食料品の税率はまったく下がらない上に、他の商品の税率もわずか2%しか下がりません。

「減税感」「お得感」を感じることはほとんどないだろうし、格差解消にもまったくつながらないし、むしろ逆進性は強くなります。国民民主党は、自分たちでも一律8%案の稚拙さに気づいたらしく、現在はこの案は引っ込めているようです。

このように、参政党や国民民主党は、自らの減税案が欠陥だらけであることはまったく顧みることなく、それよりも全然マシな食料品減税案を激しく叩き続けているのです。

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参政党の悪質なデマ

しかも参政党は、自分たちの減税案に固執するあまり、食料品減税に対して悪質なデマを連発するようになっています。食料品減税の足を引っ張るためならば、どんなこともするという錯乱状態になっているのです。

たとえば神谷代表は言うに事欠いて「自分はスーパーの店長をしていたから知っている。食料品減税をしてもスーパーの商品の値段は下がらない」などと述べています。

中間層以下の人たちにとって、もっとも物を買う機会が多いのはスーパー、コンビニです。もし、食料品減税をしてもスーパーで値段が下がらないのならば、一律5%減税をしても値段が下がらないわけであり、「自分たちの案も効果がない」と言っているようなものです。

また参政党が飛ばしているデマの中でもっとも悪質なものは「食料品減税案は財務省の差し金」という話です。

参政党は、「財務省解体デモ」を支持するなど、これまで「財務省と戦う政党」というポーズをとってきました。そのため、食料品減税案も財務省の案だというデマを流すことで、世間に「財務省と戦う政党」というポーズを取り続けたいわけです。

しかし財務省の動きを見れば、食料品減税に反対していることは明白であり、財務省の片棒を担いでいるのは参政党の方なのです。

現在、高市首相と財務省がバチバチにやり合っていることは、普通にアンテナを張っていれば誰でもわかるはずです。8月の財務省の人事異動では、財務省のエースとされていた一松氏が、左遷ともいえる東京税関長への異動となりました。一松氏は、消費税の食料品減税に反対し、政権の足を引っ張ってきた人物です。

また財務省の下部組織である国税庁のホームページでは、「食料品等に関する軽減税率の導入問題」と題し、婉曲的ながらも食料品減税に反対する論文を掲載しています。

税制というものは政治が決めることであり、官庁が税制について意見を述べるなどと言うのは、あってはならないことなのに、その禁忌を破って国税庁は「食料品減税に反対」の意を表しているのです。

さらに、財務省とツーカーの国会議員たち、麻生太郎氏、石破茂氏、小渕優子氏などが食料品減税に反対していることから見ても、財務省は食料品減税に反対しているというのは、明々白なのです。

にもかかわらず、参政党は「食料品減税は財務省の意向」などというデタラメを吐き続けているのです。詭弁にもほどがあるというものであり、党利党略のためなら、どんなデマも流すという姿勢なのです。

しかも残念なことに、参政党にはカルト的な信者が少なからずおり、彼らは本気で「食料品減税は財務省の意向」と信じ、Xなどで発信し続けています。

かつて竹中平蔵氏にも、そういうカルト的な信者が多数おり、彼の怪しい点には一切目をつむり、彼の発言を一字一句信じ続けていました。その結果日本がどうなったかは、ご存じの通りです。

参政党の支持者の方がにはぜひ心に留めて置いて欲しいものです。

政党や政治家というのは、時には間違った判断もするのです。もし本当に参政党に期待しているのであれば、参政党の主張をすべて鵜呑みにして信じ込むのは逆効果です。おかしいものはおかしいと言わなければ、党は変な方向に向かってしまうでしょう。

参政党も国民民主党も、このまま行けば「消費税減税の足を引っ張った党」として国民に認識され、凋落していくでしょう。彼らには猛省を促したいと思います。

(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2026年9月1日号の一部抜粋です。「老後は持ち家が圧倒的に有利」を含む全文はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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