営業活動では、売上や契約件数などの数字を追い求めることが重要です。しかし、成果ばかりを優先すると、お客様や同僚との信頼関係がおろそかになり、かえって成績が伸び悩むことがあります。メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんが、数字だけを追いかける営業が行き詰まる理由と、目の前の人を大切にする姿勢が成果につながる仕組みについて、具体的な体験談を交えながら解説します。
数字や結果だけを追いかけていると行き詰まる理由
営業活動をしていれば、成績について考えるものだ。
「売上を伸ばさなければ」
「ライバルに勝ちたい」
「もっと社内での評価を上げたい」
「なんとか最低ノルマは達成しなくては・・・」
もちろん結果にこだわることは悪いことではない。
目標を追いかけ、達成を目指す。数字を上げることも営業として大切なことだ。
しかし、数字や成果だけに執着してしまうと「大切な人との関係」をおろそかにしてしまう。
人はどうしても「お金、役職、売上・・・」といった分かりやすい評価に意識が向くもの。
しかし、それだけでは必ずどこかで行き詰まる。
知人Aさんのことだ。
以前のAさんは結果重視型の営業スタッフだった。
契約を取るためなら、多少強引な進め方もいとわない。
・今月の数字を最優先にする
・同僚とは仕事以外の話はしない
・成績に関係なければ関わらない
・スタッフは使うだけ使う
などなど。
かなり徹底していた。ここまですれば、結果は出るものだ。
しかし、周囲との関係は良くなかった。
いつもギクシャクしていた。まあ、そうなるだろう。
あるとき、Aさんは同僚から「いつも好成績で凄いな」と褒めたうえで、「でもお前のことを信頼している人間が、社内に何人いると思う?」と言われた。
その言葉を聞いた瞬間、Aさんはハッとしたという。
少し考えて「おそらく、誰もいないだろうな」と気づいたという。
この同僚はAさんのことを本気で考えてくれる人だ。
同僚からのこの一言が、Aさんの胸に深く刺さった。
それからAさんは考え方を変える。
この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ
まずはお客様から。
直接、契約に関係のないお客様に対しても「できるだけ丁寧に接する」ということを心掛けるようにした。
そして、他の営業スタッフが困っていれば、「何か手伝えることある?」と声をかけるようにもなった。
しかしAさんは最初、正直「こんなムダなことをしていたら、成績が落ちるのではないか」と思っていた。
しかし、3ヶ月もしないうちに変化が起き始めた。
以前に一度だけ会った人から「実は検討しようかと思っていまして」と連絡が入るようになった。
まわりの営業スタッフからも、「このツールを使うと半分の時間で資料ができますよ」と親切に声をかけてくれるように。
会社に行くのが楽しくなった。
営業も楽しくなった。
半年後、必死にやっていた頃より成績が上がっていたのだ。
Aさんは「今までなんて馬鹿なことをしていたんだ」と本気で今までを後悔したという。
Aさんの話を聞いて「なぜそうなるのか」と思う人もいるだろう。
これはごくシンプルで当たり前のことだ。
ほとんどの人は「嫌な人から買いたくない」と思うものだから。
お客様の前だけいい顔をしていても、「裏ではいやなヤツ」というのは、見透かされるものだ。どんなに隠してもなんとなく感じるもの。
どれだけ良い商品でも、どれだけ優れた提案でも、
そんな人間からは買わない。
そう聞くと「そんなの当たり前だ」と思うかもしれない。しかし日々の忙しさの中でつい忘れてしまう。
数字を追いかけているうちに、「売ること、契約を取ること」だけが目的になってしまう。
しかし本来、営業とは「目の前の人の役に立つ」ということだ。
その姿勢が伝わった時、お客様は「なんかこの人いいな」と感じる。
あなたに安心感を持つ。
安心したお客様は、自然と悩みや要望を話すように。こうなればいい方向に展開するものだ。
これは私自身も経験したことだ。
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住宅営業スタッフ時代の私もひどいものだった。
結果が出ない時期、焦れば焦るほど「何でもいいから契約が欲しい」と思っていた。
契約になりそうなお客様だけ、いい顔をする。
それ以外は放置。
会社の人との関係も、必要最低限だった。
その結果どうなったか。
数字は上がらず、職場にも居場所がない。
ダメ営業スタッフとはつるんでいたが。
とにかく最悪の状態だった。
そんなある日、転機になったことがある。
あるお客様を接客した時のこと。
少し話をすると「別の営業スタッフが担当したお客様」ということが分かった。
それを知った時「このお客様を丁寧に接客しても仕方がないな」と思った。
本当に最低な考え方だったと思う。
ただ、そのお客様がいい人だったので「自分が知っていることは伝えよう」という気持ちになった。
気づけば、そのお客様と1時間程度話をした。
お客様は満足してくれたように思えた。
そのことを担当に伝えた。
それからしばらくしてのこと。
担当から、「あのお客さん、菊原のこと褒めていたし、感謝していたよ」と伝えられた。
正直、そのお客様に何をしたのかそれほど記憶にはない。
でもすごく嬉しかった。
その時「誰にでも丁寧に接することは気持ちがいいな」と感じたのだ。
この経験が、私の営業スタイルを変えることになった。
目の前の人を大切にすることを心掛けるようになった。
それからは結果が出るように。
本当にいいきっかけとなった。
では、具体的に何をすればいいか。
難しいことは何もない。
今日からやってほしいのは「成績に関係なく、目の前の人に丁寧に接する」ということだ。
・契約につながらないお客様にも丁寧に接する
・困っている同僚がいれば、一声かける
・スタッフを気遣う
などなど。
こういった小さな積み重ねが、やがて大きな信頼になる。
信頼が人を呼び、人が数字を連れてくる。
Aさんが半年で変わったように、私もひとつの接客から変わったように、考え方や行動を変えれば、必ず結果は変わる。
数字を追いかけることは営業として大切なことだ。
しかし、それ以上に「目の前の人に対して敬意を表する」ということ。
それが、長く結果を出し続ける営業スタッフになる秘訣だ。
【本日のポイント】
・数字だけを追いかけていると、信頼という最大の財産を失う
・「目の前の人の役に立つ」という姿勢が信頼を生み、数字を連れてくる
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