こんにちは、土井英司です。
ニューヨークに毎月行っているので、海外進出で成功している企業、苦戦している企業は、ひと目でわかります。
華やかに店舗展開しながら、意外と買われていないユニクロをはじめ、お店が閑散としている日本企業は、意外と多いのです。
やはり海外には海外の事情があり、それぞれの地域の特徴がある。
そこをとらえて成功している企業に学ぶのが、成功への一番の近道でしょう。
本日ご紹介するのは、海外進出を始めて24年、その間、25カ所、301店舗を出店し、すっかりブランドを確立した無印良品(海外ではMUJI)の海外戦略をまとめた一冊です。
著者は、ベストセラー『無印良品は、仕組みが9割』の著者であり、株式会社良品計画前会長の松井忠三さん。
※参考:『無印良品は、仕組みが9割』
当事者ならではの生々しい言葉で、赤字続きの11年間、中国で偽造品と闘った日々を振り返り、さらに飛躍したきっかけ、海外で成功する秘訣を語っています。
- 現地の事業者に完全に任せてしまう方式だと目が行き届かなくなる
- 売り上げに対する家賃の比率を15%以下に抑える
- その国の首都か主要都市の、比較的いい場所に出店すること
など、ほかの企業でも応用できる考え方が示されており、海外進出の参考になること、間違いなしです。
さっそく、エッセンスをチェックしていきましょう。
中国に関しては、こちらから出店を打診することはほとんどありません。相手側から話が来るまで待っています(こちらからお願いしてお店を出すのと、相手側から話が来たときとでは、やはり出店の条件がまったく違ってきます。求められてから動くほうが色々な面で有利に進められるので、依頼が来るまでは動かないようにしているのです)
オートバイが多いというのは、その国が経済発展の初期にあることを示す
やはり、その地域に一番乗りするのが一つの勝ちパターンです。その地域に早く浸透すれば、ライバル企業が出てくる前に自社のポジションをしっかり固められます。中国の街中を走る高級車は圧倒的にアウディが多いのですが、それはフォルクスワーゲン社(アウディの親会社)が最初に進出していたからです
ステーショナリーを專門的にオペレーションしているグローバル企業は、今のところ、世界でも無印良品しかありません
MUJIの場合、売り上げに対する家賃の比率を15%以下に抑えられる場所でなければ原則的に出店しません。これを徹底してから、アジアでもヨーロッパでも、新しい店舗は1年半程度で黒字にできるようになりましたから、必勝パターンの一つと言えるのではないか
一等地の中で、“一丁目一番地”ではなく、二番目、三番目の物件を探して出店すること
企業にとって、一人の優秀な社員を抱えることは有利に働く部分もありますが、逆に優秀であるからこそ、他の企業に引き抜かれたり、独立して事業を始めたりするケースも考えられます。一人ひとりの社員が経験した成功や失敗から、重要な部分を取り出して標準化し、誰もがそれを利用できるようにしておいたほうが、長い目で見ると企業にとってはメリットがある
経済が成長しているアジアでは、お金を持っているのは圧倒的に若い世代
長く愛される商品や店にするには、ターゲットを絞り込むほうがいい
無印良品の商品はシンプルであるがゆえに、「何物にも代えられる」という特徴を持っています。使う人が自由に使い道を考えられる、いわば自在性があるのです
今後は、スマートフォン向けのアプリ「MUJI passport」にも、さらに力を入れるという、同社。2015年5月から中国での運用がはじまるそうです。
リアル店舗では2015年秋、ニューヨークのFifth Avenueにも出店するということで、これからの展開が楽しみですね。
無印良品のファン、株主はもちろん、海外進出を手掛ける経営者、ビジネスパーソンにとっても注目の一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。