MAG2 NEWS MENU

外国人を我が家でお・も・て・な・し!東京で“民泊”も可能に?

自分の家を旅館として外国人に提供する“民泊”。メディアではその人気ぶりや、おもてなしの内容ばかりがクローズアップされていますが一歩間違うと大変なことに! 無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』では、民泊を始める前に知っておきたい旅館業法について現役弁護士がわかりやすく解説しています。

無許可で『民泊』は違法?

京都市でマンションの大半を借り、無許可で中国人観光客を宿泊させたとして、京都府警が東京の旅行会社を旅館業法違反で捜査していることが判明したそうです。

京都では、外国人旅行客の増加に伴い、宿泊施設が慢性的に不足しているという状態で、マンションの空き部屋などを利用する「民泊」が最近増加しているとのことですが、無許可営業や管理が不十分なケースが相次ぎ問題となっています。今回は、約3ヶ月の間に約300人を宿泊させたという、これまでにない大規模な無許可営業であったため、書類送検が行われるようです。 

今回は、問題となっている旅館業法について取り上げたいと思います。

旅館業法とは、旅館業の業務の適正な運営を確保することによって、旅館業の健全な発達を図るとともに、利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進することを目的としています。厚生労働省が管轄しています。

法律は、「旅館業」について、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義しており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」と定めています(法2条)。「宿泊料を受けること」が要件となっていますので、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。

旅館業を経営しようとする人は、都道府県知事の許可を受ける必要があります(法3条)。

営業者には、宿泊者の衛生に必要な措置を講じる義務があり(法4条)、さらに宿泊者名簿を備え、提出の要求がある場合には提出しなければなりません(法6条)。また、周辺の学校等との立地規制もあります(法3条)。

許可を受けないで旅館業を経営した場合は6ヶ月以下の懲役又は3万円以下の罰金に、名簿の備え付け等に違反した場合は5000円以下の罰金に処される場合があります(法10条、11条等)。公衆衛生、善良な風俗の保持、犯罪やテロの対策といった見地から、このように旅館業を営む人には様々な義務が課されています。

もっとも、近年外国人が日本を経済活動の拠点にしたり、観光目的での訪日が増えてきている状況に鑑み、国家戦略特別区域法(特区法)の第13条では、旅館業法の特例というものが設けられ、滞在期間が一定の期間以上であること等一定の条件をみたしたものは旅館業法の適用除外となり、マンションやアパートなどの空き部屋を外国人観光客向けの宿泊施設として利用することを可能としています。

大阪府では民泊に関する条例が今年の10月に可決されており、東京都大田区も実施を目指して検討しているところのようです。

「民泊」をめぐる状況は今後変わっていく可能性があります。

image by: Shutterstock

 

『知らなきゃ損する面白法律講座』
わかりやすくて役に立つ弁護士監修の法律講座を無料で配信中。誌上では無料で法律相談も受け付けられます。
≪登録はこちら≫

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け