日本国内でもメイド・イン・チャイナの商品が溢れ、純粋な日本製の商品は少なくなってきています。しかし、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者北野幸伯さんは、実は世界中が日本製品を欲しがっており、大きなマーケットが隠されていると語っています。
安かろう悪かろうの中国製品
ロシアには「スクポイ プラーティットゥ ドゥヴァジディ」ということわざがあります。
「ケチは、二回払うことになる」という意味。
日本でいえば、「安物(やすもの)買いの銭(ぜに)失い 」(=安価な物を買うと、品質が悪かったり、すぐに買い替えなければならなかったりするので、かえって損になるということ。)と同じ意味になります。
で、日常生活でどう使われるか?
ロシア人男性が、中国製のおもちゃを買ってきた。
1日遊んだら、壊れてしまった。
それを見た奥さんが、
「スクポイ プラーティットゥ ドゥヴァジディ!」
といってダンナさんにイヤミをいう。
実際、「スクポイ プラーティットゥ ドゥヴァジディ」という言葉。
ロシアでは、「中国製品」に関してつかわれることが圧倒的に多いです。
ロシアでは、「なんでも品質がいいのは、日本製だ」と思われています。
しかし、日本製はなかなか見つからない。
それで、「ドイツ製」を買っているのです。
中国製品について、日本にいれば「そんなに品質悪くないよね」と思うでしょう?
日本企業が中国で現地生産し、逆輸入している場合は、ほとんど問題ないのです。
しかし、「ずばり中国企業」がつくった製品について、ロシアでは相変わらず「安かろう悪かろう」ということになっています。
「メイド・イン・ジャパン」を切望するロシア人
私は、だいたい年に1度くらいしか帰国しません。
そして、ロシアの友人には、できる限り「隠密」で帰国します。
なぜかというと、「あれ買ってきて!これ買ってきて!」と頼まれるので、荷物が山のようになり、「お引越し状態」になってしまうからです。
どんな物を頼まれるのでしょうか?
・関孫六の包丁
なんでそんなこと知ってるんでしょうね。
ロシアでは、一流シェフは、「日本製の包丁しか使わない」のだとか。
・目薬
「なんでロシア人が日本で売ってる目薬の種類まで知ってるんだ!?」ととても不思議です。
・コラーゲン
・角質をとる靴下!
私は、ロシア人女性から頼まれるまで、存在すら知りませんでした。
・果汁グミ
・生チョコ
・煎茶
日本人が、若くて長生きなのは、「煎茶の効用」とひろく信じられています。
・炊飯器!
なぜ「隠密」で帰国したいのか、ご理解いただけるでしょう。
奥さんの目が輝いていた理由
先日友人の家に遊びにいったら、奥さんが目をピカピカさせ、満面の笑み浮かべながら、あるものをもってきました。
「ものすごい幸せそうだな。一体何があったんだろう?」と私は不思議に思いました。
奥さんがもっていたのは、「ネブライザ」。
ネブライザというのは、液体の薬を霧状にしてくれる機械。
霧状になった薬を、鼻や口から吸うと、喉や気管支、肺などの病気が好転するのですね。
ロシアでは結構ポピュラーで、風邪やインフルエンザの時にもつかいます。
そして、自宅に一台もっている人も多い。
で、奥さんは、なんで幸せだったのか?
そのネブライザは、「オムロン製」だったのですが、奥さんが指さしながら「ここ見てよ、ほら!」といいます。
見ると「Made in JAPAN」の文字が。
日本企業が作ったものでも、「メイド・イン・チャイナ」が多いですね。あるいは、東南アジアとか。
奥さんは、「ついにホンマモンのメイド・イン・ジャパンを手に入れた!」と喜んでいたのです。
私も、日本人として、うれしくなりました。
日本経済が沈んだ理由、再生の方法
1970~80年代、日本は「世界の工場」でした。
世界中どこにいっても、「メイド・イン・ジャパン」があふれていた。
ところが、避けがたい「国家ライフサイクル」により、「賃金が他国比で高く」なった。
これも、他の国で起こったことですが、日本企業は、「安い労働力」を求めて、どんどん外国に出て行ってしまった。
「外国」といいますが、主な引っ越し先は、「中国」でした。
中国は、安い労働力に惹かれる外国企業の投資によって、奇跡的成長を成し遂げます。
そして、強くなった中国は今、「日本には沖縄の領有権はない!」などといっている。
(証拠はこちら)
各企業が、「賃金水準20分の1だった中国に生産を移転させた」のは、仕方ない判断だったと思います。
しかし、「事実として」、それが日本国を衰退させる結果になりました。
起こったことは、起こったこととして、これからどうすればいいのでしょうか?
世界には70億人の人がいます。
ところが、世の中は不平等になっている。
だいたい、世界10%の人が、所得の約90%を占めているといいます。
たとえば「比較的平等」とされる日本でも、「年収1000万円以上は4%、年収2000万円以上は0.4%」なんですね。
正社員の平均年収は400万円強、非正規社員の平均年収は170万円ぐらいだそうです。
私は何がいいたいのか?
「世界の人口の約1割、7億人ぐらいは、少々高くても品質のよいものを求めている。つまり、メイド・イン・ジャパンを求めている」ってことなんです。
だから、少々高くても、日本で生産して、7億人の富裕層に売ったら、十分経済が成り立ちます。
「中国経済の破局が迫っている」
このことは、もはや「世界的コンセンサス」になっています。
「はやく、チャイナ・プラスワンで、ベトナムかインドネシアに移転しなきゃ!」
それもいいですが、円安ですし、「日本」に戻ってきたらいかがでしょうか?
「メイド・イン・ジャパン」が、喜ばれますよ!
そして、日本政府。
中国経済の破局が迫っている。
日本企業を救わないとダメでしょう?
日本企業が帰ってきやすくなるように、私は「東日本大震災被災県の法人税をゼロにすること」を提案しています。
外国から日本企業が戻ってきて、被災県に雇用が生み出される。
みんな幸せですね。
ぜひご検討ください。
image by: Lucian Milasan / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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