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横浜の傾きマンション、立場の弱い「賃借人」はどうなるのか?

横浜の傾きマンションの建て替えについて、所有者はともかく、賃借人の場合はどうなるのでしょうか。もちろん借りている人だって、急な引っ越しはできません。今回のマンション傾き事件を追ってきたメルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、賃借人が退去を求められた場合などの事例について詳しく紹介しています。

マンション賃借どうなるのか

昨日、えの合意形成に関して、簡単に引っ越せない事情があるも少なくないという話を書きました。

じゃあ、説明を聞く機会も意見を言う権利もない賃借どうなるんだろう…という不安の声が寄せられました。

簡単に引っ越せない事情という点で、所有して暮らしている賃貸で暮らしているも同じですから。

所有しているマンションを貸す場合の借家契約に2通りがあります。

1.通常の借家契約
通常の借家契約で、契約期間1年以上で設定、契約期間を2年とすることが多いです。借り主からの中途解約に関する特約を定めることができますので、解約の予告期間や直ちに解約する場合に支払う金銭の額について定めていることが多いようです(契約書を確認してください)。で、ここがポイントですが、借り主が引き続き住むことを希望している場合に貸主から解約することや、契約期間終了時の更新の拒絶、貸主に正当な事由がない限りできません

2.定期借家契約
契約の更新がない契約で、契約期間自由に定めることができます。契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、貸主確実に明け渡しを受けることができます。中途解約に関して個別に特約を結ぶこと可能です。また、貸主と借り主が合意すれば、再契約すること可能です。転勤等で一時的に家を貸す必要がある場合等に結ばれる契約で、更新がない分、家賃安く設定されています。

ですから、物の不具合が発覚し、えの検討が始まったマンションに居住している賃借の方も、1.2どちらかの契約をその部屋の区分所有者と方と結んでいるずです。

、今回物の不具合が発覚したということが、借り手からの契約期間途中での契約解除の理由になるかと言うと、危険物として使用禁止となったわけでもなく、通常の生活ができる住宅を貸主提供していますから、一般的に難しいと思います(詳細、契約内容を専門家に見てもらってください)。

地震等で損壊があった場合でも、借主貸主に当然修復の請求でき、それによって、そこに住めない期間があったら、その期間、家賃を払う必要ありませんが、修理が必要な状況になったことが即、契約解除の理由にならないと考えるのが一般的です。

、契約期間満了で、契約を更新しないで退去する場合どうでしょうか。

もし、えなんていう話が出ていなければ、更新したかったところだから、更新しないで出ていくに、引っ越費用ぐらい負担してもらいたいと思うところでしょうが、え決議されていない状況で、それを求めるの難しいのでないかと思います(大家さんと交渉の余地あると思いますが…)。

、近い将来、えることを考慮して、1の通常の借家契約を結んでいる貸主の方から、検討されていることを理由に、更新時に契約を更新したくない、又2の定期借家契約に変えたいという申し出があった場合どうでしょう。

前述の通り、借主それを拒否することができます。もし、敷金の返還や退去時の引っ越し費用等の負担をしてもらえるなら考えてもいいと言うことであれば、貸主と交渉できると思います(契約内容を専門家に確認してもらってください)。

借り手の退去や家賃の減額による損害に対する補償の問題も決まるにまだ時間がかかるでしょうから、現段階で、貸主の方から、積極的にえを前提に部屋を空ける…というの考えにくい気もしますが…。

え決議が成立した場合どうでしょう。

現行法でえ決議がされたこと、そのことをもって、借家契約解除や更新拒否の正当な事由となりません

え事業が、三井がすべて買い取るような形で実施されるか、え円滑化法よるえになるかよって状況変わりますが、え事業体が、借家との立ち退き交渉もすることになります。6か月前の通知の際、敷金引越料等+αの支払いが提示されるのが一般的です。

一定期間、マンションの住民として、区分所有者である住民とお近所付き合いしながら暮らしてきた関係であれば、敷金が戻って、引っ越しや新しい住居を借りるのに必要な費用がまかなえればそれで良しとして納得されるケースがほとんどだと思います。

それ、区分所有者が引っ越す場合でも支払われるものですから。

賃借の方、いざえが決まった場合、それなりの対応があると思って今心配しないで、ただ、自分たちの生活設計上、ベストの引っ越し時期を考えて頂ければといいのだと思います。

ですから、管理組合や三井の方々に、今から賃借の方にも、え事業の大事な協力者であるという視点で接して頂きたいと思います。

しかし、え決議まで時間がかかると、残念なことに、途中から、立ち退き料が目的かというような賃借が入居してしまう場合もあります。

収益確保のため、そういうに貸してしまう区分所有者もいるのです

そういうの言動が、普通の賃借の方に対する偏見につながってしまうことも…。

そういうことを防ぐために非居住賃貸のために所有している区分所有者の方の声もきちんと拾っていく必要があります。

管理組合大変です。

賃借の方の不安を和らげるために、一般的なお話を書きましたが、、居住する区分所有者や家族、賃貸している外部区分所有者、賃借や家族、みんなの心を揃えないとなかなか進まないものだと改めて思います

え円滑化法の第90条 で、「施行者、基本方針に従って、施行マンションに居住していた賃借及び転出区分所有者の居住の安定の確保に努めなければならない」として、賃借の居住の安定もうたっています。

なお、法務省と国土交通省が連名で公表している、「分譲マンションえ等の検討状況に関するアンケート調査の結果を踏まえて行ったヒアリング結果の概要について」の中に、え決議がされたマンションにおける賃借物明渡しに関するヒアリング結果をまとめたものがあります。

それを読んで感じるの…やり、コミュニケーションが大事!ということです。

image by: Shutterstock

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
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