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またも人災。中国の重大事故は「付け焼き刃」的な政策が原因か?

12月20日に中国の深センで起きた大規模な土砂崩れ。建設残土の不法投棄が原因として指摘されていますが、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では事故を「習近平氏暴走のツケの表面化」とし、今後そのツケはさらに大きなものとして表れると予測しています。

【中国】相次ぐ人災は習近平の政策が原因

4階相当まで赤土 深セン土砂崩れ、人災ふたたび

深センで大規模な土砂崩れがありました。このニュースは日本でも大きく取り上げられ、メディアでは専門家らが詳細を解説していたので、よくご存知の方も多いでしょう。土砂崩れの現場は急速に開発が進んでいた地域で、事故の原因は開発における建設残土の不法投棄ではないかと言われています。これによる行方不明者は90名前後で、今でも救助活動が行われています。

この事故が起こった際、事故関連の情報が早くメディアに伝わっていたことに驚きました。視聴者による投稿という動画も様々流れ、事故直後には原因は建設残土の不法投棄による人災だとメディアが伝えていました。

情報隠匿が得意の中国らしからぬあり方です。どれだけ臭いものにフタをしようとしても、インターネット時代の今、人々の口を塞ぐことはできないのだということを、2015年の最後に強く印象付けた事故です。

人々の意識もすでに変わってきています。これまでは、禁句や禁忌とされるものには触れようとしなかった人々も、どんどん自らメディアに登場して自己主張をするようになってきました。

例えば、12月に海南島で開催された世界的なミス・コンテスト「ミス・ワールド」のカナダ代表は、法輪功支持の中国出身女性だったため、中国は彼女の参加を拒否し、参加させませんでした。それに対し、カナダ代表のアナスタシア・リンさん(25)は、アメリカで会見を開いて中国政府を堂々と批判しました。

ミス・ワールド カナダ代表が中国の入国拒否に抗議 中国政府の対応を批判

中国政府に脅されたから泣き寝入りするのではなく、世界に向けて堂々と反論する。こうした行為ができるのは、ネット世代だからこそではないでしょうか。

また、最近話題になっている脱北女性パク・ヨンミさん(22)は、北朝鮮での悲惨な生活や、中国人ブローカーに売られた脱北後の地獄のような生活を、自叙伝や講演会などで赤裸々に語っており、彼女の本は世界15ヶ国で翻訳されています。

彼女の本は、日本では「生きるための選択」というタイトルで発売されて、テレビや雑誌などでも広く紹介されています。彼女がこれまでの脱北者と違う点は、顔を隠さず北朝鮮批判とも取れる悲惨な経験を赤裸々に語っていることです。こちらも、堂々と世界のメディアに露出し、これまでタブー視されていた北朝鮮批判を繰り広げています。これもやはりネット時代の申し子と言えるのではないでしょうか。

ネット社会は国境を超え、世界を狭くしました。パク・ヨンミさんもアナスタシア・リンさんも、メディアで使う言語は英語です。逃げも隠れもせず、英語で堂々とメディアで自己主張をする。もしかしたら、彼女たちが世界のどこに逃げても、北朝鮮や中国がしつこく追いかけてスナイパーに暗殺するかもしれません。彼女たちはそれを分かっていながらも隠れない。それが今の時代のあり方なのです。

しかし、中国や北朝鮮といった共産主義国家にとっては、それはちょっと困ったものです。今年6月に長江で客船「東方之星」号が沈没し、数百人の乗客が死亡した事故がありました。その際は、李克強首相が急いで現地に向かい、メディアに緘口令を敷き、事故原因を曖昧なままにして被害者家族たちの口もなんとか封じることができました。

しかし、今回の深センでのがけ崩れは、事故直後にネットに動画がアップされ、被害者家族の声が発信されてしまい、どうやら原因は建設残土の不法投棄らしいという説がすぐに流れました。さらに日刊紙の北京青年報は、「今回の土砂崩れに天災としての要素はほとんどなく、明らかな人災だ」と批判しています。

大気汚染についてもそうですが、現状を改善する術を持たない政府に対しての不満は募る一方です。人口が増えすぎたと言っては1人っ子政策を押し付け、人口の年齢バランスが悪いと言っては2人っ子政策を押し付け、そのたびに人民は振り回され被害者が続出します。

1人っ子政策のせいで、ブラックチルドレン(黒孩子)と言われる無戸籍児になった子供は1,300万人とも言われています。無戸籍になれば、義務教育を受けられず健康保険証ももらえない。存在しない人間として一生を送らなければならない。

1人っ子政策の闇、「存在しない」子供たち

こうした中国の付け焼き刃的な政策の蓄積による弊害が、あちこちで出始めています。北京の、深センでの土砂崩れのほか、重大な事故や現象は数えきれないほどあります。

こうした環境汚染から逃れるために、中国人が世界に拡散しているのは周知の通りですが、自国の医療を信用できない中国人が世界各国の医療をも買い占めようとしているのはご存知でしょうか。最近では、日本の病院に健康診断に団体で訪れる中国人の姿が増えてきています。日本の医療機関は信用できるから、日本で検査をして問題がなければ安心できるそうです。

命も「爆買い」? 訪日医療ツアーに殺到する中国人と、中国国内の悲惨な医療事情

日頃から「日本鬼子」と言っている中国人の口から出る言葉とは思えません。結局、中国人は中国を捨て、日本や欧米などの先進国に行くことを望んでいます。しかし、先進各国は中国人に来てほしくありません。どちらにしても、中国が勝手に自滅するのは構いませんが、少なくとも地球を破壊するような行為は本当にやめてほしいものです。

深センは中国にとって「改革開放」の代表的なモデル都市です。数千人しかいなかった香港郊外の荒野を、囲い込みをして資本を導入し、たった数十年で資本や技術をはじめとする人流と物流の中心地に仕立てあげました。それにより、人口は数百倍になり、千万人単位の都市となったのです。これが深センであり、改革開放の成果を誇るモデル都市となったのです。

習近平時代になると、スターリン主義や毛沢東主義に憧れ、中国の伝統文化である贈収賄にメスを入れる「虎もハエも同時にたたく」という反腐敗キャンペーンを展開しました。そして、贈収賄によって私服を肥やすことができなくなった官僚たちは、一気にやる気をなくし、サボタージュするようになったのです。

そのため、胡錦濤時代に比べると、行政指導がかなり低下しているというもっぱらの評判で、深センの土砂崩れも、中国の政治闘争の後遺症のひとつだと指摘されています。

習近平は、胡錦濤時代に上海閥などの長老たちに牽制され、若い時は何もできませんでした。その教訓に鑑みて、自己流の権力を強化するにはネットをはじめとする言論規制をする一方で、ライバルを追放して権力を自身にどんどん集中させていきました。ナンバー2の李克強にさえ、経済政策をやらせずに、自分1人ですべてを行おうとしました。

しかし、それは権力集中と同時に、国家破綻の道でもあります。それが中国という国の定めなのです。毛沢東は自らの政策を断行するために、文革で自滅しました。

習近平は、「中華民族の偉大なる復興への夢」をかかげ、海洋強国を国策として猪突猛進していますが、21世紀はすでに「中国が決める」時代ではありません。力ではなく「法」のルールを守れという普遍的価値を、世界が共有する傾向があります。

中国の経済力の後退は、すでにはっきりしています。習近平の暴走によるツケは、これからも次々と表面化してくるでしょう。それは、大気汚染や土砂崩れレベルではない、もっと何か大きなもの。それは黄泉の国へと続く道かもしれません。

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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