「サービスは無料」に慣れた日本人が違和感を覚える欧米のチップ事情

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サービスに対してチップを払う海外とチップの習慣がない日本。無料メルマガ「Joeyの日々雑考」の著者Joeyさんは、15年のカナダ生活の経験の中で感じた欧米人のチップに対する価値観について詳しく解説しています。

チップはサービスの対価

カナダで働いていた時に、給料とは別に「チップ収入」があり、いいお小遣いでした(笑)。

給料以外の収入はうれしいものです。

はじめてもらったチップはスキー場のレンタルショップでアルバイトをしていた時です。

途中休憩に戻ってきたお客様、スキーブーツを脱いで休憩していたのですが、ブーツのバックル(金具)に絡んでいた雪を払い、インナーがちょっと湿っていたのでドライヤーで乾かしたところ「うわぁ、乾かしてくれたの!感激!!」と$2くらいもらいました。

その後、レストランでシェフとして働いていた時もチップをいただいていました。

地元でかなりの有名店でしたので売り上げも良く、チップも多かったのを覚えています。

ちなみに、「チップ収入」も確定申告の対象ですので、所得税はひかれます (-_-)

スキー場で初めてもらったチップの話、日本人なら誰しも「当たり前」のように気づき、実施しそうなことですよね。

「濡れたバックルに触るの嫌だろうなあ。だったら取ってあげよう」、「湿ったブーツ履きたくないよなあ。だったら乾かしてあげよう」など、「その人の気持ちになって考えることは日本人にとってごくごく普通」のことですよね。

この「普通のこと」をやってお金をもらえたのですからすごくうれしかったと同時に不思議な感覚もありましたね。

チップはサービスの対価」というのが北米では当たり前のように浸透しています。

僕がおこなった「バックルの雪を取り払う」、「インナーを乾かす」という「日本人にとって普通の行為」は北米人にとっては「サービス」であり、「予想もしていなかったうれしいサービスを受けた」からこそ、その人は僕にチップを払ったのだと思います。

サービスは無料が当たり前の日本

サービスを提供する側からの話が続いていますので、今度は目線を変えて「サービスを受ける側」の立場で「チップ」を考えてみたいと思います。

例えば、日本のスキー場で休憩中に、ショップの店員が自分が脱いだブーツの雪を払い、インナーを乾かしてくれたとします。

もちろん感動します。

お礼も言います。

あとで友達に「こういうことがあった。本当にいい人だった」と話をします。

でもチップは払いません

笑顔感謝美談」が、そのショップ店員の「サービスに対する価値評価」になりますね。

サービスはお金に変わらない「サービスは無料」が日本に浸透しています。

おそらく、日本人にとって「当然やるべきこと」と北米人が考える「当然やるべきこと」の範囲が違うんでしょうね。

スキーのレンタルショップで休憩中のスキーヤーのブーツの雪を払い、インナーを乾かすのは「レンタルショップ店員の業務」には含まれていません。

ただ、日本人であれば当たり前のこと、北米人にとっては「業務以外の特別な行為=サービス」なわけです。

日本では、サービスをする側も受ける側も「当たり前の行為」ですから、海外であれば金銭授受のやり取りは発生しません。

しかし、うれしかった行為ですので、サービスを受けた側は「ありがとう」と笑顔で感謝を述べ、サービスした側は「とんでもありません。(当然のことをしたまでですから)」と言葉を返す。

日本以外の他の国の人々がなかなか持ち合わせない「相手の立場に立って考える」、「(相手の立場に立てることで)空気を読んで行動する日本人の美徳感が見て取れますね。

日本人の「おもいやり」が世界で高く評価されるのはこの辺りにあるのかもしれませんね。

image by: Shutterstock

 

Joeyの日々雑考
著者/Joey
メルマガではカナダ生活15年の経験をいかした現地事情に関するコラムを発信中。スキーのインストラクターやた仏・伊レストランのシェフを経験。その後2009年に日本に帰国し、現在では五感を活かしたボディムーブメントアドバイザーとして活躍中。
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