高市首相「存立危機事態」発言が中国に与えた“攻撃”の大義名分。日中の文化交流まで崩壊させた“最悪の連鎖”の責任を誰が取るのか?

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高市首相の「存立危機事態」発言に対し、怒りを隠すことがない中国政府。その矛先は日本人アーティストや市民交流イベントにまで向けられる展開となっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、高市氏の不用意な発言により文化交流の現場で生じている「中国による圧力」の実態を詳しく紹介。その上で、「幼稚な帝王学」に毒された高市首相に対する批判を記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:高市発言の代償

止まらない公演や市民交流中止ドミノ。高市発言の代償

とうとう「世界のジャイアン」ことドナルド・トランプ大統領からも電話で叱られちゃった高市早苗首相ですが、11月7日の党首討論でついウッカリと口を滑らせてしまった「存立危機事態」発言によって、日本に対する中国政府からの厳しい攻撃が加速的に拡大しています。

8,000万円もの宣伝費をバラ撒いて手に入れた椅子とは言え、一応は「日本の首相」に就任したのですから、もう少し考えてから発言すべきでしたし、本来なら他国の内政に関わる問題など不用意に触れるべきではありませんでした。

これまではとにかく「中国憎し!」で、「安倍首相の国葬に反対するSNS上の書き込みの8割は隣りの大陸からのものだと政府の調査で判明した」などとデマまで垂れ流して中国を貶めて来た高市首相ですが、過去の数々の発言が特に問題視されなかったのは、中国政府が日本の一議員の発言などいちいち相手にしていなかっただけの話。「日本の首相」という立場になっても、これまでと同じ感覚で他国を刺激するようなことをペラペラと垂れ流されたら、国民が大迷惑です。

そもそもの話、中国政府は「女安倍晋三と呼ばれる反中の極右が日本の首相になったのだから、すぐに中国に関する発言でボロを出すだろう」と、就任以来、手ぐすね引いて高市首相の発言をチェックにしていたのです。そんな状況なのに、自分の立場など1ミリも考えずに、側近や防衛官僚からのレクも受けずに、自分を支持する保守層へのリップサービスで不用意に自論を垂れ流してしまった高市首相。危機管理の観点から見ても完全に落第です。

一方、中国政府としては、まさに「飛んで火にいる夏の虫」です。これで日本は中国に、首相自らが攻撃の口実を与えてしまったのです。小学生レベルの思考回路が働けば、いくら頭の中で思っていても、相手に攻撃の口実を与えるような発言などしないのが普通です。「さなえちゃん」なら、そういうことは大学ノートの裏表紙にでも鉛筆で書いておく程度に抑え、口頭ではこれまでの歴代首相と同じ答弁を繰り返すのが、本当の意味での「保守」の取るべき選択だったのです。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…というわけで、日本の首相の発言は個人の見解ではなく「日本政府の見解」であるということも分からなかったのか、とにかく高市首相は「絶対に言ってはいけないこと」を言っちゃったのです。そして、その代償として、数多くの日本人が苦しめられ、莫大な経済損失へと繋がってしまったのです。

…そんなわけで、高市首相の「存立危機事態」発言によって、日本各地で開催が予定されていた日中友好イベントに影響が出続けています。たとえば、11月22日に予定されていた日本の相模原市と中国の無錫(ヌシャク)市との友好都市締結40周年記念のイベントは、参加予定だった無錫市側から直前に訪日を中止するとの連絡がありました。

イベント自体は開催されましたが、無錫市からの参加者がゼロになったため、とても残念なイベントになってしまったのです。無錫市から参加する予定だった人たちの中には、聴覚障害の子どもたちもいて、その子たちは伝統的な獅子頭を使った創作ダンスを披露するために、何カ月も前から一生懸命に練習して来たそうです。そして、日本の人たちに観てもらうこと、日本の子どもたちと仲良くなることを楽しみにしていたと言います。本当に可哀そうです。

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