公安介入で公演中止に追い込まれた現場の生々しい様子
これは、高中正義さんの「北京公演の延期」が発表された11月20日の翌日、11月21日に報じられたので、あたしの認識は前後してしまいましたが、11月19日夜に北京で開催を予定していた日本人のシンガーソングライター、KOKIAさんのライブが、開演直前に突然、中止となりました。日本の報道では「会場の設備が故障したため」という関係者の説明しか報じられなかったので、あたしは香港の「東方日報」で広東語の記事を探し、グーグル先生に翻訳してもらいました。
【日本の女性歌手KOKIAの中国での公演が急遽中止 観客が不満で騒動】
日本の首相、高市早苗の「台湾有事論」をめぐる騒動が続く中、最近、多くの日本の芸能人の中国での公演が相次いで中止または延期されている。日本の歌手KOKIA(吉田亜紀子)が北京で行なう予定だったコンサートも急遽中止となり、不満の声が上がった。水曜日(19日)の夜、KOKIAが予定していたコンサート『Our Story Goes On 心と心が交わる歌』は開演直前に突然中止となり、遠方から来ていた観客の間で不満と騒ぎが起こった。マネージメントチームが警察に通報した後、警察が介入した。
KOKIA側は、出演チームはすべて準備を完了していたが、会場側から突然「公演を許可できない」と通知されたと説明。主催会場の世紀劇場は木曜日(20日)に公式発表でコンサート中止について謝罪し、理由として『劇場設備の直前の故障』を挙げた。(12月21日付)
KOKIAさんは12月1日、2026年1月30日に予定していた上海でのライブも中止になったと公式サイトで発表しました。2カ月も前に中止を発表したのですから、その理由が「劇場設備の故障」でないことは明らかですし、この記事にしても、香港の新聞が日本人歌手の公演中止を報じる上で、まずは高市首相の問題発言について触れた上で書いているのですから、この「劇場設備の故障」という苦し紛れの説明が事実でないことは一目瞭然です。
他にも、1人1人挙げていたらキリがないほど多くの日本人アーテイストの中国公演が「中止」または「延期」を余儀なくされていますが、中には中国で開催されるオーケストラの演奏会で「日本人の楽器奏者だけが参加禁止にされた」というアカラサマな例もありました。そんな中、中止に追い込まれた現場の様子を生々しく伝えてくれたのが、ジャズドラマーの本田珠也さんでした。
本田珠也さんは、11月22日に北京の「芸術センター」で開催が予定されていたジャズベーシスト、鈴木良雄さんのライブにドラマーとして参加することになっていたのですが、本番のわずか2日前の11月20日、自身のツイッター(現・X)に、とても悲しい投稿をしたのです。
本田珠也 Tamaya Honda
@MondoTamaya残念ながら中国北京公演は中止となりまし。(ママ)皆んな音楽を愛し国境を越えて一つになろうとしたその瞬間に夢は国におけるいざこざによって潰えてしまいました。でもいつの日かこの夢が本当に叶う時を願っています。
残念ながら中国北京公演は中止となりまし。皆んな音楽を愛し国境を越えて一つになろうとしたその瞬間に夢は国におけるいざこざによって潰えてしまいました。でもいつの日かこの夢が本当に叶う時を願っています。 pic.twitter.com/Nk3jhmhtmm
— 本田珠也 Tamaya Honda (@MondoTamaya) November 20, 2025
● https://x.com/MondoTamaya/status/1991490253572780204
そして、自身の投稿に追記する形で、次の投稿を続けました。
本田珠也 Tamaya Honda
@MondoTamayaリハーサルを終えてサウンドも最高の状態でしたがそこに公安がやって来ました。僕らもですが、スタッフ、オーガナイザー、そこにいた全ての人が悲しんでいます。本当に市民は無力です。
リハーサルを終えてサウンドも最高の状態でしたがそこに公安がやって来ました。僕らもですが、スタッフ、オーガナイザー、そこにいた全ての人が悲しんでいます。本当に市民は無力です。 https://t.co/P3cISMviAG
— 本田珠也 Tamaya Honda (@MondoTamaya) November 20, 2025
● https://x.com/MondoTamaya/status/1991491017254772781
すべてのファンに最高の音楽を楽しんでほしくて、これまで何度も何度も音を合わせて来て、現場での最終リハも無事に終わり、サウンド調整も最高の状態に仕上がり、後は本番を待つだけ…という時に、公安警察が踏み込んで来て、すべての努力と希望を奪い去って行ったのです。これほど残酷で悲しいことはありません。そして、これと同じようなことが、中国のあちこちで繰り返されているのです。
それもこれも、高市早苗首相の安倍晋三ゆずりの「自分を強いリーダーに見せたい」という子どもじみた虚栄心による問題発言が原因なのです。そして、この最悪の状況は、安倍晋三ゆずりの「謝ったら負け」という幼稚な帝王学に毒された高市首相が保身のための意地を張り続ける限り、この先もずっと続いて行くのです。
(『きっこのメルマガ』2025年12月3日号より一部抜粋・文中敬称略)
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