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腸内フローラを劇的に整える、たった2つのサプリメント

テレビ等で紹介され大注目の腸内フローラ。そのバランスが崩れると、様々な生活習慣病を招くばかりか人格まで破綻するという研究結果もあるというから驚きです。そんな腸内フローラを整えるにはどうしたらいいのでしょうか? ダイエットを科学的に分析するプロトレーナーの山本義徳さんが、ふたつのサプリメントを紹介しています。

腸内フローラを整えるふたつのもの

NHKの番組で腸内フローラについて取り上げられてから、腸内環境がヒトの様々な代謝に思っていたよりも大きな影響を与えることが知られるようになってきました。

肥満のヒトの腸内細菌をマウスに移植すると、そのマウスはどんどん肥っていった…、というのは多くの視聴者を驚かせたのではないでしょうか。

腸内細菌は乳酸や短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)などを生成し、これらは糖新生の原料になります。

特に酪酸は大腸でエネルギー源として使われます。

断食をすると、最初の数日は下痢が続くことがあります。これで「デトックスされた!」と喜ぶ人もいるのですが、真実は違います

断食によって腸内細菌のエネルギーが不足し、酪酸を産みだすことができなくなったため、大腸で水分を吸収する能力が低下し、下痢してしまうのです。

NHKでは短鎖脂肪酸が体脂肪を燃やすというような表現を使っていましたが、それは言い過ぎです。ただし酪酸が腸脳神経回路を通して糖新生の遺伝子発現を活性化し、それはプロピオン酸を材料として起こる(※1)というのは有益な発見です。

さらに短鎖脂肪酸には遊離脂肪酸受容体が存在し、ケトン体であるβヒドロキシ酪酸も含め、Gタンパク共役受容体を介した神経系への作用や全身のカロリーコントロールなどに関する研究が進められています。(※2、※3)

さてNHKで取り上げられたトピックの中でも意外なのは、腸内環境が性格にも影響するというトピックではないでしょうか。番組では活発なマウスと臆病なマウスの腸内フローラを入れ替えたところ、性格も逆転したという研究結果を紹介していました。

このあたりはまだ追加実験のないところで鵜呑みにはできないのですが、最近の報告で「高脂肪食のマウスは性格が破たんする」というような内容の論文が出てきました。(※4)

高脂肪食だと体重は変わらないものの、探索的活動や認知機能、ステレオタイプな行動に破綻をきたし、腸のバリア機能が壊れ、体内を循環するエンドトキシン(毒素)が増え、リンパ組織における炎症関連タンパクが増加し、最終的には脳血管ホメオスタシスを破綻させるという内容です。

これまでに何度も紹介している通り、ローカーボ・ダイエットによって発生するケトン体は有益な作用が非常に多いのですが、高脂肪食による腸内環境の悪化は問題です。

>>次ページ 腸内環境を整えるふたつのものとは?

そこで腸内環境を整えるふたつのものをここで紹介しましょう。

まずはイヌリンです。別名「フラクトオリゴ糖」。

これは上行結腸においてビフィズス菌を増加、横行結腸においてビフィズス菌と乳酸菌を増加&大腸菌(悪玉)を減少、下行結腸においてビフィズス菌と乳酸菌を増加&大腸菌とブドウ球菌(悪玉)を減少させてくれます。

さらにイヌリンによって増えたビフィズス菌が、プロピオン酸や酪酸などの短鎖脂肪酸の産生能を高めることも明らかにされています。またイヌリンが悪玉菌によって産生されたアンモニアを減少させることも示しています(※5)

摂取量としては一日に10g弱でいいでしょう。この程度の量でしたら、腹部膨満感などの胃腸症状を伴わずに使用できたとされています。(※6)

もう一つお勧めしたいのが、ラクツロース(ラクチュロース)です。

これはガラクトースとフルクトースを人工的に合成した糖質で、ビフィズス菌や乳酸菌を増やすことが分かっています。

最近話題になっている「水素水」というものがありますが、水素には活性酸素を除去する作用があるため、原理上は効果があるはずです。しかし、実はヒトの腸でも水素ガスは発生しており、その量は「一日に1リットル」です。これをグラムに直すと、約89mgです。

いっぽう、水素が飽和した水を1リットル飲んでも、水素は1.6mgしか摂取できません。
そこで、腸内環境を整えて水素ガスの発生を増やすことを目指します。

さて、ラクツロースを12.5g摂取したところ、水素ガスの発生が通常の8倍になったという報告があります。(※7)

ラクツロースはもともと薬剤で、肝性脳症や高アンモニア血症患者のアンモニアを減らすことを目的として開発されました。便秘の薬としても使われるので、下痢気味の人には向かないかもしれませんが。

ともあれ、ローカーボ・ダイエットで高脂肪食となっており、どうも腸の調子が悪いとか便秘気味になっているという方は、イヌリンやラクツロースの摂取を検討してみるといいかもしれません。

<<今日のまとめ>>


※1:
Microbiota-generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits.
Cell. 2014 Jan 16;156(1-2):84-96. doi: 10.1016/j.cell.2013.12.016. Epub 2014 Jan 9.

※2:
Short-chain fatty acids and ketones directly regulate sympathetic nervous system
via G protein-coupled receptor 41 (GPR41).
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 May 10;108(19):8030-5. doi:
10.1073/pnas.1016088108. Epub 2011 Apr 25.

※3:
β-Hydroxybutyrate modulates N-type calcium channels in rat sympathetic neurons
by acting as an agonist for the G-protein-coupled receptor FFA3.
J Neurosci. 2013 Dec 4;33(49):19314-25. doi: 10.1523/JNEUROSCI.3102-13.2013.

※4:
Obese-type Gut Microbiota Induce Neurobehavioral Changes in the Absence of Obesity.
Biol Psychiatry. 2015 Apr 1;77(7):607-15. doi: 10.1016/j.biopsych.2014.07.012. Epub 2014 Jul 18.

※5:
Prebiotic effects of chicory inulin in the simulator of the human intestinal microbial ecosystem
FEMS Microbiol Ecol. 2004 Dec 27;51(1):143-53.

※6:
Gastrointestinal tolerance of chicory inulin products.
J Am Diet Assoc. 2010 Jun;110(6):865-8. doi: 10.1016/j.jada.2010.03.025.

※7:
Colonic hydrogen absorption: quantification of its effect on hydrogen accumulation caused
by bacterial fermentation of carbohydrates.
Gut. 1993 Jun;34(6):818-22.


『【世界中の研究結果から学ぶ】博士のダイエット研究所』 Vol.147より一部抜粋

【Vol.147の目次】
1.世界中の研究結果から学ぶ ~腸内環境が性格を変える? ~
2.Q&A 「博士!このダイエットは効きますか?」
3.お知らせ

著者/山本義徳
プロアスリートから一般の方までのパーソナルトレーニングを行い、非常に高い信頼と結果を得ている。自身もボディビルの全米大会日本人初の重量級での優勝を達成。メルマガでは、日々進化を遂げるダイエットの最新情報をお届け。
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